第41話『港町からの贈り物!海の幸たっぷりピザ』
砂漠の国からのVIPをもてなした数日後、ラ・ステラに港町の漁師たちがやってくる。
彼らが持参したのは、朝獲れの魚介類と港町特有の食文化。
レンたちはその恵みをピザに生かし、潮の香り漂う一枚を焼き上げる――。
昼の営業が終わる直前、店の外が妙に騒がしくなった。
扉を開けると、海風を背負った逞しい漁師たちが、大きな木箱を抱えて立っていた。
「おお、ここが噂のピザ屋“ラ・ステラ”か!」
先頭の漁師が笑顔で声をかける。
木箱の蓋を開けると、中にはまだピクピクと動くエビ、
銀色に輝くアジ、そして大ぶりのホタテがぎっしり。
「こりゃ……すげぇ」
ガルドが思わず声を漏らす。
「俺たち港町ブルーヘイブンの漁師だ。
今度うちの町で“海の恵み祭り”があるんだが、その目玉としてお前さんのピザを出してほしい」
「……面白そうだな」
レンは即答した。
まずは食材を選別。
プリプリのエビは軽く塩ゆでして旨みを閉じ込め、
アジは薄く切ってレモンとオリーブオイルでマリネ。
ホタテは炙って甘みを引き出す。
ベースには濃厚なトマトソースではなく、あえてオリーブオイルとガーリックのソースを使う。
そこに魚介をたっぷり乗せ、最後に香り付けのバジルを散らす。
石窯の中で魚介がジュワッと音を立て、
磯の香りがふわりと広がる。
「……これはヤバい匂いだ」
リリィが鼻をくすぐられて目を細める。
試食した漁師たちは目を丸くした。
「港町の味がする! しかも、なんだか懐かしい!」
「これは祭りで売れるぞ!」
数日後、ブルーヘイブンの港で開かれた祭り。
ラ・ステラの屋台には行列ができ、海の香りを求める客で賑わった。
子供たちも魚介を怖がらずに食べ、笑顔で手を振る。
夕方、祭りの責任者がやってきた。
「ありがとう、レン。港町の人たちが、この味を忘れないだろう」
その言葉に、レンも自然と笑顔になる。
港町の祭りで海の幸ピザは大成功。
ラ・ステラは町の外でも少しずつ知られるようになった。
次回は、その評判を聞きつけた山奥のチーズ職人からの誘いが届く。




