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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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37/106

第37話『王様の晩餐会!一枚のピザに込めた想い』

王宮に招かれたラ・ステラの面々。

豪華な晩餐会の場で、国王陛下のための一枚を焼き上げることに――。

緊張と期待が入り混じる中、果たしてピザは王様の心を掴めるのか?

 巨大な大理石の階段を登り、金色の扉が開かれる。

 そこには長く豪奢なテーブルと、煌びやかなシャンデリア、そして着飾った貴族たち。

 その中央、玉座に座る人物――国王アレクシス陛下がこちらを見つめていた。


「そなたが噂の……ピザ職人か」

 低く響く声に、レンは背筋を伸ばす。


「はい、陛下。レンと申します。

 本日は、私の全てを込めた一枚をご用意しました」


 案内役のラドミールが促し、レンたちは特設の石窯の前へ。

 王宮の厨房でも窯はあるが、火加減や香りにこだわるため、自らの窯を持ち込んだのだ。


 静まり返った会場で、レンは生地を広げ、ソースを塗る。

 フレッシュバジルの香りが漂い、熟成チーズが生地の上に広がっていく。

 ガルドが窯の温度を見守り、リリィが具材の最終チェックをする。


「……よし、入れるぞ」

 レンが窯にピザを滑り込ませる。

 薪の炎がパチパチと音を立て、黄金色の生地がぷくりと膨らむ。


 やがて、表面がこんがりと焼け、チーズがとろける瞬間――。


「完成だ」


 レンは銀の皿にピザを乗せ、王の前に恭しく差し出す。

 給仕が一切れを切り分け、国王の皿に置いた。


 国王はナイフとフォークで一口……。

 静寂。

 会場中が、その咀嚼を待って息を呑む。


 やがて、陛下の口元が僅かに緩んだ。


「……これは、実に良いな」

 その声に会場がざわめく。


「生地は香ばしく、柔らかい。

 ソースは酸味と甘みの均衡が見事。

 そして何より……温もりがある。

 まるで、作った者の心が宿っておるかのようだ」


 王はゆっくりと頷き、満面の笑みを浮かべた。


「レン、そなたの腕前、確かに受け取ったぞ。

 この国に来てくれたことを、誇りに思う」


 貴族たちも口々に称賛の声を上げる。

 この日、ラ・ステラの名は王宮にも広まり、噂は瞬く間に国中へと広がった。


 宴が終わり、王宮を後にするレンたち。

 夜空の下、リリィが小声でつぶやいた。


「……ねぇレン。これって、もしかして店めちゃくちゃ忙しくなるやつじゃない?」

「……たぶんな」

 レンは苦笑しながらも、心のどこかで少しだけ楽しみにしていた。

王様に認められたラ・ステラのピザ。

だが、その名声は思わぬ形で次の出来事を呼び込む。

次回は、**“王宮からの第二の依頼”**が届く――。

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