第36話『王宮からの使者!?ピザ屋に舞い込む大仕事』
ある日、ラ・ステラに高貴な衣装を纏った人物が訪れる。
驚くべき依頼は――国王陛下のためにピザを作ること!
小さな町の石窯ピザ屋に、まさかの大役が舞い込む。
昼営業の終わり頃、ラ・ステラの扉が重々しく開いた。
入ってきたのは、立派な羽飾りのついた帽子と、豪華な赤いマントを纏った男。
背筋を伸ばし、金色の杖を持っている。
「……なんかすごい人来た」
リリィが耳打ちする。
男は一歩前に進み、威厳たっぷりに名乗った。
「私は王宮直属の使者、ラドミールと申す。
この店の主、レン殿で間違いないな?」
「え、はい……(なんで俺の名前知ってるんだ)」
ラドミールは胸を張り、告げた。
「陛下よりの仰せだ――“あのピザを、余の口に運ばせよ”と。
近日、王宮にて催される晩餐会に、そなたを招く」
店内の空気が一瞬で固まった。
「……陛下が俺のピザを?」
「すごっ! 王様ピザだよ王様ピザ!」
リリィは興奮して飛び跳ねる。
「だが、王宮で振る舞う料理は、格式と品格を備えたものでなければならぬ。
我らが案内するまでの間に、最高の一枚を作り上げておけ」
そう言い残し、ラドミールは去っていった。
扉の外には、馬車と護衛騎士が待機していたのが見える。
「……どうするレン。これ、めちゃくちゃ大仕事じゃん」
「しかも王様の舌を満足させなきゃいけないって……」
エルザも少し緊張気味だ。
レンは深呼吸して言った。
「やるしかないだろ。俺たちのピザで、王様を笑顔にするんだ」
そこから特訓の日々が始まった。
地元の最高級小麦を使った生地、香り高いハーブ、熟成トマトソース。
チーズも王都の老舗から取り寄せ、石窯の火加減を何度も調整する。
「……これなら、きっと通用する」
完成したのは、シンプルでありながら風格を漂わせる一枚――「王宮マルゲリータ」。
出発当日。
磨き上げられた馬車が店先に止まり、ラ・ステラのメンバーは緊張しながら乗り込む。
窓の外には王都の荘厳な城壁が近づいてくる。
やがて、黄金に輝く王宮の門がゆっくりと開かれた。
小さな町のピザ屋が、王宮の晩餐会へ――。
次回、緊張と期待が入り混じる中、レンたちは王様にピザを振る舞う大舞台へ挑む。




