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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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34/105

第34話『野外マーケット大混乱!ピザ屋、流される!?』

ふもとの街で開かれる大規模な野外マーケットに出店したラ・ステラ。

しかし、突然の突風が吹き荒れ、テントや商品が空を舞う大混乱に――!?

果たしてピザ屋は無事営業できるのか。

 山の村からの帰り道、ふもとの街エルモアで偶然チラシをもらった。


『月に一度の“星降る野外マーケット”開催!

生鮮から工芸品まで数百店以上が並び、音楽や大道芸もお楽しみいただけます!』


「これ出よ!」

 リリィが即答する。


「うん、面白そうだな。新しい客層も掴めるかもしれない」

 レンは頷き、急遽参加を決めた。


 マーケット当日。

 広場いっぱいに色とりどりのテントが並び、人波が絶えない。

 香ばしい匂いや楽器の音が混ざり合い、空気そのものが賑やかだ。


「おーっ、今日は絶好の商売日和だ!」

 ガルドも上機嫌で、肉の仕込みを始めている。


 開始早々、ラ・ステラのピザは好調だった。

 薪窯から焼きたての香りが漂い、列も伸びていく。


「マルゲリータひとつ!」「森の恵みピザも!」

「ありがとうございますー!」


 ……その時だった。

 遠くで「風が強くなってきた!」という声が上がる。

 次の瞬間――突風が広場を駆け抜けた。


「うわっ! テントがっ!」

 隣の布製テントがバサッと舞い上がり、露店の果物が空中に踊る。


「レン! 窯が動いてる!」

 リリィの叫びに振り向くと、移動式の小型窯がゴロゴロと転がり始めていた。


「おっとっとっと!」

 レンとガルドが慌てて飛びつき、どうにか押さえ込む。


 しかし混乱は続く。

 リリィは転がる野菜を必死で拾い集め、エルザは吹き飛びそうなメニュー板を押さえつける。


 大道芸人の帽子が空を舞い、風船売りの風船は一気に大空へ。

 小さな子供が泣き出す声があちこちで響いた。


「……営業どころじゃないな」

「でも、このままじゃお客さんたちも困ってるよ」

 レンは考え、即席で**「風よけピザシェルター」**を作ることにした。


 窯と台を広場の壁際に移動し、飛んでこない位置にセッティング。

 さらにピザ用の大きな天板を縦にして、風よけ壁を設置。


「さあ、避難がてら温かいピザ食べてって!」

 リリィの呼びかけで、避難してきた客たちが集まってくる。


「うわ、あったかい……」「助かるー!」

 冷たい風で体が冷えた人たちに、焼きたてのピザがじんわりと温もりを届ける。


 やがて風は少しずつ落ち着き、夕方には再び穏やかな賑わいが戻った。

 広場の人たちは、混乱の中で奮闘したラ・ステラを労いの拍手で迎える。


「お前ら、本当に助かったよ!」

 隣の果物屋も感謝を述べる。


「まあ……風も悪くないね。こんな出会いもあるし」

 レンは笑った。

突風に翻弄された一日だったが、ラ・ステラの評判はむしろ上がる結果に。

次回は、このマーケットで偶然知り合った放浪楽師との交流が、新たな物語を呼び込む。

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