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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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33/106

第33話『山の村の収穫祭!ピザと踊る秋の夜』

秋の実りを祝う山の村「レーベル村」に、出張出店の依頼が舞い込んだ。

地元食材を使った限定ピザで、村人たちを喜ばせたい――。

紅葉の山と香ばしい窯の煙、そして笑い声が交差する収穫祭の夜が、始まる。

 ある日の午後、ラ・ステラに一通の手紙が届いた。

 差出人は「レーベル村の村長代理」と名乗る人物。


『毎年恒例の秋の収穫祭に、ぜひ“ピザ屋”として出張参加していただけませんか?

村の若者たちが、どうしても“あの丸くて熱い食べ物”を食べてみたいと言っておりまして――』


「丸くて熱い食べ物……たぶんピザで合ってるな」

 リリィが笑いながら手紙を読む。


 荷車に食材と移動式の小型石窯を積み、レンたちは山を目指した。

 道中は紅葉が美しく、空気はひんやりと澄んでいる。


「空気がうまい! もうこれだけでピザ作りたくなるな!」

 リリィのテンションも上がっている。


 村に到着すると、広場にはすでに露店や飾りが設営され、祭りの準備が進んでいた。


 村の長老・ブレームさんが出迎える。


「いやぁ、来てくれてありがたい! 若い者が“王都で流行りの円い料理”を食べたいと騒いでいてのぉ」


「間違いなくピザですね、それ」


 地元の子供たちは、窯や生地の練り方に興味津々。

 リリィとエルザが簡単な調理体験を開くと、笑い声があちこちから湧き上がった。


「うちのカボチャも使っておくれ!」

「栗と山ぶどうも採れたてだよ!」

 村人たちがどんどん食材を差し入れてくる。


「……これは、地元の恵みでピザ作れってことだな」

 レンは嬉しそうに頷いた。


 焼きあがったのは、秋の味覚ピザ3種。


「山の実りピザ」

 カボチャのペーストに栗、山ぶどう、ナッツをトッピング。蜂蜜をひと垂らしした甘めの一枚。


「きのことハーブの薪火ピザ」

 地元産の舞茸と椎茸をたっぷり乗せ、香草とオリーブオイルで仕上げた香ばしい一枚。


「栗とじゃがいものクリームピザ」

 乳不使用の豆乳クリームで仕立て、素朴な味わいを引き立てたヴィーガン対応。


 日が暮れ、広場の焚き火が灯るころ。

 村人たちはピザ片手にベンチや藁の上で語り合い、歌い、笑い合っていた。


「うんまっ!」「これ、また来てくれっ!」

「わしの孫がこの“ぴざ”に夢中でなぁ~」


 レンはピザを焼きながら、ふと空を見上げる。

 満天の星が瞬いていた。


「……こういう夜も、悪くないな」


 祭りの最後には、村の若者たちが太鼓を叩き、踊りの輪ができる。

 いつの間にかリリィとガルドも加わって騒ぎ始めていた。


「レン! お前も踊れーっ!」

「いや、俺はピザが――ってリリィまで引っ張るな! ちょ、こらっ!」


 夜更け。

 祭りが終わり、静けさを取り戻した山の村。


「また来てくれよな! 来年もな!」

 子供たちが手を振りながら叫んだ。


 荷車を引くレンたちは、ぬくもりの余韻を背に、山道を下っていった。

山の秋とピザの香り、そして人の笑顔――。

この一夜が、ラ・ステラにとって大切な記憶となって残る。

次回は、ふもとの街で巻き起こる**「屋外マーケット騒動」**に巻き込まれることに。

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