第31話『最強コラボ誕生!?串焼きピザと肉まみれの日々』
祭りで激闘を繰り広げた串焼き屋の帝王・ガルドが、ラ・ステラにやってきた。
目的はただひとつ――**「肉とピザを融合させた最強メニューを作る」**こと!
しかし、肉好きすぎるガルドの暴走で、厨房はまさかの肉地獄に……!?
翌日、ラ・ステラの扉が勢いよく開いた。
「レン! 肉だ!!」
ガルドが両腕いっぱいに肉の塊を抱えて突入してきた。
「ちょ、ちょっと!? 朝から何キロ持ってきてるんですか!?」
「計ってねえが……まあ20キロはあるな!」
「(食材納入じゃなくて家畜搬入レベル……)」
「昨日言っただろ? 俺とお前で最強コラボメニューを作るってな!」
ガルドはドンとテーブルに肉を広げた。
羊、牛、鶏……さらには野性味あふれる猪肉まで。
「まずは全部焼く!」
「いやまずはレシピ考えようよ!」
仕方なく、レンとリリィ、エルザも試作に参加する。
石窯で生地を焼きつつ、ガルドが豪快に肉を炭火で炙る。
「おお、香りは最高だな」
「そうだろう! これを豪快に乗せて――」
ガルドは肉を山盛りにしてピザ生地の上へ。
「ちょっと! これ重みで生地潰れてる!」
「肉は多いほど旨いんだ!」
試作品第1号――「肉山マルゲリータ」。
見た目はインパクト抜群、だが……。
「……重っ!」
切り分けようとした瞬間、ナイフが途中で止まる。
「これ、ピザじゃなくて肉の固まりじゃん……」
第2号――「肉巻きカルツォーネ」。
生地でチーズと肉を包み焼きにしたはずが、肉汁が爆発してカウンターを濡らす。
「熱っ! 床が肉汁プールに!」
「それが旨さの証だ!」
第3号――「串刺しミートピザ」。
焼きあがったピザの上に、串ごと肉を突き刺した豪快スタイル。
「これ……フォークで食べられないんですけど」
「串ごと食えばいい!」
「いや顎外れるわ!」
試食を繰り返すこと半日。
レンはとうとう言った。
「……ガルド、もう少し“ピザ”の部分を尊重しよう。肉の暴力じゃなくて、旨味の共演を目指すんだ」
「……なるほどな。俺は肉に偏りすぎていたか」
そこからはレンが生地とソースのバランスを整え、ガルドが部位ごとの火加減を工夫する共同作業に。
そして完成したのは――「グリルドミート・スペシャル」。
薄めの生地にトマトソース、香草、チーズ。
その上に、炭火でじっくり焼いた肉を適量トッピング。
仕上げにオリーブオイルを回しかけ、香り豊かな一枚に。
「……これだ」
「……旨ぇ……!」
二人は同時に呟いた。
試作品を試食したリリィも笑顔で頷く。
「肉の旨味がちゃんとピザと混ざってる! これなら売れるよ!」
「よし、メニュー入り決定だ!」
レンとガルドは固く握手を交わした。
こうして誕生した「グリルドミート・スペシャル」は、ラ・ステラの人気メニューのひとつとなる。
ただし、ガルドが時々勝手に肉を倍増して**「肉山スペシャル」にしてしまう**のは、また別の話だ。
肉の帝王ガルドとのコラボは大成功。
しかし次回は、肉とは真逆の方向――菜食主義者のお客様がやってきます。




