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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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30/105

第30話『城下祭りと暴走屋台!ピザVS串焼き頂上決戦!?』

城下町最大のイベント「春の大祭」に、ラ・ステラも初出店!

しかし、隣に陣取ったのは火花を散らすライバル――“串焼き屋台の帝王”だった。

屋台戦争の幕が、今上がる!

 春の訪れを祝う城下祭り。

 石畳の大通りは屋台で埋め尽くされ、色とりどりの旗が風に揺れる。

 レンたちラ・ステラも今年初めて、屋台出店の許可を得て参加することになった。


「よーし、石窯の魔導温度計OK! 生地の発酵もバッチリ!」

 レンが腕まくりをする。


「お客さんいっぱい来るといいなぁ〜」

 リリィは浮かれ気味だ。


 そんな彼らの隣に、巨大な鉄板と炭火台を設置する一団が。

 ひときわ大きな声が響く。


「うおぉーっ! 今日も串焼き一本勝負だァ!」

 褐色の肌に筋骨隆々、炎のような赤いハチマキ――それが串焼き屋台の帝王・ガルド。


「……あれ、なんか戦闘力高そうな屋台じゃない?」

「いやあの人、祭りになると必ず“売上勝負”ふっかけてくるって噂だよ」

 エルザが小声で言う。


 案の定、ガルドが仁王立ちで近寄ってきた。


「お前ら……ピザ屋か? 俺の隣で商売するなら、覚悟しろ!」


「覚悟って……別にケンカ売ってるわけじゃ――」


「祭りは戦だ! どっちが多く売れるか、勝負だ!」


「(いやこれ、ほぼ強制イベントじゃん……)」


 昼過ぎ、祭りが最高潮を迎える。

 ガルドの屋台からは、香ばしい肉の匂いが立ち込め、人だかりができる。


「串焼き五本!」「塩で三本!」

 炎が爆ぜるたび、歓声が上がる。


 一方のラ・ステラも負けてはいられない。

 窯から焼きたてのマルゲリータを次々と送り出す。


「焼きたてピザいかがですかー! ハーブの香りが広がりますよー!」

 リリィの声が商店街に響く。


「ふん、肉の香りには敵わんな」

 ガルドが余裕顔を見せる。


「そうかな……ほら、こっちの列も伸びてきたぞ」

 レンはピザ生地を高く放り上げ、空中で回転させるパフォーマンスを披露。

 歓声が起こり、子供たちが目を輝かせた。


 夕方、両屋台は怒涛のラッシュ。

 肉の匂いとチーズの香りが通りでぶつかり合い、まるで香りの戦場だ。


「串焼き追加ー!」「ピザあと二枚お願いー!」

 もう互いに息を切らしながら焼き続ける。


 そして日暮れ。

 祭りが終わり、結果が発表される。

 売上枚数――ピザ:362枚、串焼き:361本。


「……え、一本差?」


「くっ……! 俺の負けだ……!」

 ガルドは大きく息を吐き、そして笑った。


「いい勝負だった。お前ら、気に入った! 次はタッグを組もうぜ!」


「……え、タッグ?」


「そうだ! 肉とピザ、合わせたら最強だろうが!」


 こうして、奇妙な同盟が生まれた祭りの夜。

 空には打ち上げ花火が咲き、チーズと肉の香りがまだ漂っていた。

串焼き屋のガルドは、今後ちょくちょく顔を出す“肉担当”として仲間入り。

次回は、そのコラボメニュー開発で大騒動に……!

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