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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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25/101

第25話『開店!金星のピッツァ、幻の一枚に行列の予感!?』

ついに完成した“幻のチーズ”を使った新メニュー。

ラ・ステラの開店前には、見たこともない長蛇の列が――?

しかしその中に、レンたちの胃を試す“あの男”の姿があった。

朝――。


「な、なんだこの列……!」


 リリィが目を丸くする。

 開店準備中のラ・ステラの外には、開店1時間前にもかかわらず、20人以上の客が並んでいた。


「“幻の金色ピザ”って名前、街中で噂になってるみたいですよ」

 と、エルザが軽く息を弾ませながら言う。


「昨日の試食、隣の酒場の人に分けたら、すぐに広まっちゃって……」


「うち、宣伝費ゼロなんだけどな」


「口コミ、恐るべしですね……」


 店の扉が開く。

 入ってきたのは最初の客――ではなく、なぜか鎧姿の中年男性だった。


「ふむ……ここが“異世界一のピザ”と噂の店か」


「えっ……誰?」


「……レン君、あれは……」

 オルコットが小声で囁く。


「あの人……**《食通騎士グルマン・ナイト》**の異名を持つ、ミシュ=グラン=ダリオ卿です……!」


「名前からしてヤバそうだな!?」


 ミシュ卿はカウンター席に静かに腰かける。

 レンが心の中で深呼吸を一つ。

 いよいよ、最初の一枚を焼くときがきた。


 カウンターの奥、窯に火が灯る。

 ピザ生地が宙を舞い、幻のチーズがトロリと広がる。


「焼き上がりまで……三分だ」


「なんか急に“最終決戦”みたいになってない!?」


 三分後。

 焼き立てのピザ「金星のピッツァ」が、目の前に運ばれる。


 ミシュ卿は、ナイフとフォークを手に取り、静かに切る。

 とろけるチーズの糸が、黄金に光る。


 ――一口、口に入れる。


「…………」


 無言。


 そして、瞳を閉じたまま――静かに呟いた。


「これは……戦だ……!」


「戦!?」


「まるで味覚が戦場と化している……!」


「それ、誉めてる……の……?」


「ふむ。香りの立ち上がりは豊かで、鼻腔に残る後味はふくよか。

 舌の上で広がる塩味と甘味、旨味のバランス……これは芸術だ」


「え、ガチで高評価!?」


 彼は立ち上がると、拳を胸に当てて深々と一礼する。


「これより我がグルマン騎士団は、このピザを“星三つ”と認定する。

 我が名にかけて保証しよう。異世界の味覚は、確かにここにある――!」


「そんなんあるの!? 騎士団て何!?」


「いや、そもそも審査いつやったの!? 今!?」


 ミシュ卿の評価は、そのまま翌日の『中央街報ちゅうおうがいほう』の紙面に載った。


 タイトルはこうだった。


【速報】異世界の舌を唸らせる若き料理人!

ラ・ステラの新星、“金星のピッツァ”が革命を起こす!


 その日から――

 ラ・ステラの店先には、毎朝行列ができるようになった。


「えーっと、3人で来た方は右へ〜!」


「チーズアレルギーの方は“フルーツピザ”をどうぞ〜!」


「いらっしゃいませ〜〜!!!」


 笑顔と、香ばしいチーズの香りと。

 異世界ピザ屋は、今日もフル稼働だ。

“幻のチーズ”から生まれた一枚のピザが、異世界にひとつの風を起こしました。

でも、それはまだまだ序章。ラ・ステラのピザ革命は、ここから加速します!

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