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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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21/101

第21話『お届け先は海の中? 人魚姫とピザの秘密契約』

とろける温泉で癒やされたラ・ステラに、新たな依頼が舞い込む。

「海の底から、配達のお願い……?」

差出人は“アクワ・マーレ王国”、なんと――人魚の国!?

魔法と泡の中で繰り広げられる、ピザと友情の海中大作戦!

 朝。ラ・ステラの店先に、一枚の濡れた羊皮紙が届いていた。


「……なんか、文字が……うっすら光ってる?」


 リリィが眉をひそめ、羊皮紙を両手で広げると、そこにはこう記されていた。


『ラ・ステラ様へ

我らが王国は、あなた方のピザの評判を聞き及びました。

ぜひとも、我が王女へ一枚、届けてはいただけませんか。

ー アクワ・マーレ王国より』


「うわ、ついに人魚界隈までラ・ステラ中毒が……!」


「ピザって……水の中で配達できるもんか?」


「うん、さすがに今回ばかりは無理でしょ」


 リリィが言いながら扉を開けると、そこには――

 一匹のイルカが待っていた。背には、水中呼吸魔石と書かれた小さな箱。


「……こいつが、案内役?」


「やるしかないじゃん、これは!」


 海辺まで運ばれたラ・ステラの移動店舗(特製ワゴン)は、魔石の力で“水中モード”に変形。

 レンとリリィは呼吸用の首輪をつけ、イルカの導きで海中へ潜った。


「……ほんとに息できる。しかも髪がふわふわしてる」


「私、今すっごい水の中の妖精みたいじゃない?」


「うん、ピザ持ってるけどな」


 海底に広がるのは、美しいサンゴの宮殿。

 その中心には、透き通る声の王女・セレナがいた。


「よく来てくださいました。ラ・ステラのピザ、一度食べてみたかったのです」


「海の中じゃ焼けないけど……ここ、魔法釜あるじゃん」


「王国特製、泡の魔釜です!」


「泡の魔釜……!? 発酵が神速すぎる予感!」


 泡の釜で焼いたピザは、表面がこんがり、内側ふわふわ。

 海藻バジルと塩チーズを使った特別レシピが、王女セレナの口元をほころばせる。


「……ん……おいしい……幸せ……」


「ピザで人魚が昇天しかけてる……」


「この味、わたくしだけのものにしたい……」


 王女のつぶやきに、レンとリリィは一瞬静まりかえる。


「つまり……“専属契約”ってことですか?」


「いっそ移住する? ピザ屋 in 海底?」


「いやいや、酸素問題が深刻だって!」


 最終的に、週1回だけ“海底配達”ということで話がまとまり、ラ・ステラとアクワ・マーレ王国は“ピザ友好協定”を結んだ。


「人魚の国とも、繋がったね」


「異世界広すぎだろ、ほんと……」


 帰り際、セレナが差し出したのは、小さな水晶のペンダント。


「この“海のしずく”を身につければ、海中でもいつでも声が届きます」


「これって……通信アイテム?」


「……注文専用です」


「本気だなこの人魚姫!!」

異世界でも、海の底でも、ピザは世界を繋げる魔法の円。

ラ・ステラの旅は、空を越え、海を越え――まだまだ広がっていきます。

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