第17話『新メニュー誕生!? キノコ採りは命がけ』
伝説の女騎士も虜にしたラ・ステラのピザ。
その味をさらに磨くため、レンたちは森へ「幻のキノコ」を探しに向かう。
――だがそこには、想像を超える“森の番人”が待っていた!?
秋の気配が漂い始めたラ・ステラの裏山では、朝露に濡れた葉がきらきらと輝いていた。
「今日は珍しいキノコを探しに行くぞ!」
レンが宣言すると、リリィは嫌な顔をした。
「えぇーっ、また山? 前、イノシシに追いかけられたじゃん……」
「今回はちゃんと地図もあるし、大丈夫。村の薬師さんに教えてもらったんだ。“アルシル茸”っていう、香りがめっちゃ濃厚なキノコがあるって!」
「アルシル茸? 聞いたことないな……」
ハルが興味深そうに顔を上げる。
「幻のキノコって呼ばれてて、肉と一緒に焼くと、もう……最高らしい!」
「それって……もしかして新メニューになるの?」
リリィの目が輝く。
「うん、きのこピザに革命が起きるかも。ということで、行ってきます!」
そうして、三人は山へ入った。
地図に記された場所は、ラ・ステラから歩いて1時間ほどの森の奥。
けれど森の中はやはり手強く、道なき道をかき分けて進む羽目になる。
「むむむ……このあたりだと思うんだけどな……」
レンは地図を眺めながら周囲を見回す。
そのとき、リリィがふと立ち止まった。
「……なんか、変な音しない?」
「変な音?」
耳を澄ますと――「ズズズ……ズン……ズズズ……」
地面が微かに揺れている……ような?
そして次の瞬間――木々の向こうから、巨大な影が現れた。
「きゃああああああああああああああ!!」
出てきたのは、二足で立つ“巨大キノコ”だった。
正確には、まるでキノコが意思を持ったような森の魔獣、“グラン・モレッティ”。
「なんで生えてるはずのキノコが歩いてくるの!? ていうか戦闘モード入ってるよ!?」
「もしかして、こいつが“森の主”……?」
「こんなキノコいらないってばぁ!!」
だが逃げようとしたそのとき――
ズドォン!
後方から巨大な剣が飛来し、グラン・モレッティの傘部分を真っ二つにした。
そこに現れたのは――銀鎧の女騎士、アイリス。
「ふっ、まさか本当に出るとはな。あれは昔からこの森を守る“キノコの精霊”だったはずだが、いつの間にか魔獣に堕ちたか……」
「た、助かりました……! なぜここに……?」
「村の薬師が“あの子たちがキノコを採りに行った”と言っていたのでな。嫌な予感がして剣を持ってきた」
「大正解でした……!」
こうして、無事にグラン・モレッティを退けたレンたちは、その残骸の中から大量の“アルシル茸”を発見。
「こいつ……中身は食えるのか……?」
「薬師いわく、“魔獣化しても胞子は別物”らしい。よかった、ピザに使える!」
その夜――
「香ばしい……! しかも、香りが濃厚!」
新しく完成した“アルシル茸の森ピザ”は、想像以上の仕上がりだった。
「チーズとの相性が最高だね。これ、リピーター出るよ!」
「レンのくせに、たまにはいい仕事するな……」
「褒められてるのかけなされてるのかわからん!」
キノコ採りも命がけ。
でもそれを乗り越えた先にある、新しい味――。
ピザ屋の挑戦はまだまだ続く!