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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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114/253

第114話『風の谷と浮遊島のピッツァ職人』

砂漠のオアシス「ジャミーラ」で“太陽のスパイス”を使ったピザが優勝を果たしたレンたち。

だが、次の目的地は……なんと空に浮かぶ村!?

風がすべてを支配する高原の浮遊島で、空気のように軽やかなピザとの出会いが待っていた――

「空に浮かぶ村……って、ホントに空にあるの!?」


 リリィがキャラバンの隊長に訊ねると、彼は笑ってうなずいた。


「ああ、本当にあるさ。『セリュエル』と呼ばれる浮遊島の上にね。風の魔力で浮いてるって話だ」


「魔力で……空飛ぶ島……?」


「そこに“風のピザ職人”がいるって噂を聞いたんだ」


 レンは興味津々で地図を広げた。


 地上の高原地帯から、特殊な風昇装置でセリュエルへと移動するレンたち。


 風の渦を巻く塔の内部を上昇し、やがて青空の中にぽっかり浮かぶ島が見えてきた。


 白い風車が並ぶ丘、雲を切るような断崖、そして小さな村。

 すべてが、空の上にあった。


「ここが……セリュエル」


 風が絶え間なく吹き抜ける島は、どこか幻想的な静けさと、やさしさに満ちていた。


 村で出会ったのは、白いエプロンを巻いた青年、ノア。


「君が噂の旅するピザ職人かい? 僕はノア。風のピザを焼いているよ」


 ノアのピザ窯は、なんと風の魔法陣で支えられた特殊な浮遊窯。


「石窯じゃないんだな」


「石より軽く、風より熱く。――“風火窯”さ。火と風の力で、瞬間的に焼き上げる」


 レンはさっそくノアに弟子入りし、風のピザ作りを体験することに。


「生地は、薄く。もっと薄く。空気のように、でもちぎれない強さを持って」


「発酵の温度は、風の流れに聞け。湿度や気圧に従って、自然に任せるんだ」


「風の音を聞け……?」


「そう。セリュエルでは風が師匠さ」


 数日後、レンはついに完成させた。

 それは、風の谷でしか作れない一枚――


 **『空気のようなピザ・セリュエル風』**


・雲のようなリコッタチーズ

・花の香りを閉じ込めた風干しトマト

・高原ハーブと風塩を使った軽やかな塩味

・浮遊島で採れる薄紅の“風かぶ”スライス


 まるで“食べる風”のような、軽くて芳醇な味わい。


「……うわ、なんだこれ……」


「ピザなのに、重さがない。でも味は濃い!」


 リリィもヴァレッタも、初めての感覚に驚きを隠せない。


「ノアさん……これは、風そのものを食べているみたいです」


 レンがそう言うと、ノアは笑って肩をすくめた。


「風は、見えないけど、生きている。君のピザにも、その命が宿っているよ」


 別れ際、ノアがこっそりと渡してくれたのは、風の魔力を帯びた小さな羽の石。


「それは、“風の記憶”だよ。きっとまた役に立つ」


 風の中、レンたちは浮遊島を後にした。

空に浮かぶ村、風のピザ、風の記憶。

食べ物は、土地の記憶を運ぶ――

次回は、いよいよ“獣と精霊の森”へ。森の魔法と出会うとき、ピザにどんな進化が……?

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