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異世界ピッツァ戦記〜魔王も並ぶ伝説の窯〜  作者: たむ


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105/248

第105話『灯台に眠る記録』

港町サリオスの旧灯台。

かつてこの町と海を見守ってきた灯台の最上階に、忘れ去られた“記録の書”が眠っていた――。

 朝靄の中、レンたちは古びた灯台の扉を押し開けた。

 その壁は潮風で削られ、木製の階段はきしんでいる。


「ここまで来る人も少なくなったんだろうな」

 ザハルが慎重に一歩一歩階段を上る。


「灯台守りの記録が残ってるかもしれないわね」

 ヴァレッタが肩にかけた鞄から懐中電灯を取り出し、薄暗い階段を照らす。


 最上階の小部屋には、埃をかぶった古い机と本棚があった。

 本棚には、革表紙の本が数冊並んでいる。


 レンが一冊手に取り、カバーの文字を読み上げた。

「“海魔記録集”……?」


 そっとページを開くと、色あせた文字がびっしりと書き込まれている。

 挿絵には巨大な黒い霧の怪物が描かれていた。


 ヴァレッタが真剣な表情で読み始める。

「この記録によると……この海域には数百年前から“黒霧の怪”と呼ばれる存在が現れていた」

「どうやら、霧の中に住みつき、近隣の船や町を蝕んできたらしい」


 リリィが息を飲む。

「でも、どうやって倒したの?」


「この記録には、“霧の核”という黒い結晶を見つけて砕くことが唯一の方法だと書いてある」

「その核が霧を生成し、広げているってことか」


 ザハルがページをめくる。

「しかし、これも完全な解決策じゃなかったみたいだ。何度も復活して、封印されてきた」

「今、俺たちが見つけた黒い結晶と同じもののようだな」


 レンは思い出した。

 ――フェルナンドで見つけた結晶。あれが海魔の核だった。


 「……つまり、あの海魔も、この“黒霧の怪”の一種だったんだ」


 ヴァレッタが口を開く。

「それに、記録には『黒霧は大地や水を蝕み、食物の味を奪う』とある。まさに今のサリオスの状況に一致する」


「だから、食べ物が腐りやすくて味がしないのか……」

 リリィが苦い顔をする。

「もう、ピザ屋泣かせだよね……」


 レンは決意を固める。

「この記録が示す核の場所、調べに行こう」

「灯台の下に海中洞窟があると書いてある。そこに核が封印されている可能性が高い」


 ザハルがうなずいた。

「洞窟か……水の中は得意だ。任せてくれ」


 ヴァレッタは手帳にメモを取りながら言った。

「まずは準備が必要ね。洞窟に入るには装備と情報を集めておかないと」


 リリィが元気に声を上げた。

「また冒険だ! やったね!」


 レンはその笑顔を見て、ほっとした。

「うん、まずはゆっくり休もう。明日から本格的に動く」

海の黒霧の正体を記した古文書。

それは数百年にわたる封印の歴史でもあった。

レンたちは新たな戦いの準備を進め、海中洞窟へと挑む。

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