第六話「森の国VS魔王軍!?最初の“侵略者”が来た日。そして森の王が目覚めた」
植物紹介。
喋る植物:成長すると勝手に地面から抜けて動き回る。大切な森の国の仲間
普通の植物:現実の植物と変わりなく、ただ芽吹いて枯れる
特殊な植物:光線を吐いたり爆発したりする。意思はない
王都からの帰還から、3日後。
「レントさん、麦がしゃべり始めました!」
「今度は麦ぃぃぃ!?語尾に“バク”とかつけてこないよな!?」
「“バクバク喰うぞ”って言ってました!」
「俺らが食われる前提かよ!!」
森の国の平和は、今日も植物たちによって脅かされ、守られている。
ここはもう、“誰かが逃げてきた谷”じゃない。
人がいて、食べる物があって、笑う声があって、話す植物たちがいて。
ちゃんと、“生きる場所”になった。
そんな森の国に──
黒い炎が、迫っていた。
「魔王軍の斥候が、国境を越えたらしい」
とカムイが言ったのは、その日の夕方だった。
「”南の村”が焼かれた。王都の援軍は遅れている」
「南の村ってあのイノシシ村長の村だよな? あいつらは――」
「無事じゃ!!」
「いつの間に避難してきたんだよ!」
村が焼かれたというのに、相変わらずこの人はテンションが高い。
だが、それとは対照的に、暗い声でカムイは言った。
「……次は、おそらくここだ。ちょうど南の村と王都の間にあるからな」
「ちょ、ちょっと待って!? うち、戦力植物だけなんだけど!?」
「安心しろ。あのナスは意外と高火力な大爆発をする」
「そういう問題じゃない!」
夜。
俺は森の中央にある、一本の大樹に呼びかけた。
しばらく俺たちと関わることなく、静かに見守ってくれていた大樹。
「……グラン。聞こえてるか?」
静かに、木が揺れた。
“お前が来るのは、わかっていたさ。バカが。心配性のバカが”
「相変わらず口が悪いな、お前」
“それが我の魅力だ。で、どうした。国が燃えるか?”
「たぶん、そう。魔王軍が来る。……頼めるか?」
しばしの沈黙の後──
“ああ、任せろ。
この森で生まれ、この森に根を張ったものを……
誰にも踏みにじらせはしない”
なんとも頼もしい返事が返ってきた。
出会って第一声が”知恵の木”だっただけのことはある。
そして、夜が明けた。
朝日が差し込むその時──
森の外れに現れたのは、漆黒の鎧をまとった魔物たちだった。
「うわ、本当に来た……!」
「前線小隊。20体ほどか。……初戦としては、上等だな」
「いやいやいやいや、何が“上等”だよカムイ! こっち、ナスたちが自己主張してくるだけの農園国家だぞ!?」
「“俺に触れるな!”って言ってました!」
「だからもう黙ってろナス!!」
魔王軍の指揮官が前に出る。
「この森を占領する。我らが魔王様の命により、抵抗すれば皆殺し。投降すれば奴隷。選べ」
その声に、子供たちが怯える。
ノアが前に立とうとしたのを、俺は手で制した。
「レントさん……」
「大丈夫」
俺は、魔王軍に向かって一歩踏み出す。
「ここは“森の国”だ。人が根を張って、生きるための国だ。踏みにじりに来たなら──植物たちが、黙ってないぜ?」
「はっ。小僧が吠えるな!」
その瞬間だった。
大地が、震えた。
ズゥンッ……!!
森の奥から、ゆっくりと、巨大な影が現れる。
グラン・ウッド。
知恵の木、またの名を森の王(自称)。歩く大樹。
高さ十数メートル。
腕のように伸びた枝、樹皮を纏った巨体。
その足元からはツタが蠢き、背には鳥とリスが乗っている。
“我は森の王、グラン・ウッド。
この国に咲いた命を、貴様らに刈り取らせはせぬ”
「な、なんだあれはっ……!?!?」
「しゃ、喋る木ぃぃぃ!?!?」
初めて見る光景に魔王軍、パニック。
さらに──
「おらおらおら!ネギ砲、発射準備ぃ!!」
「了解!!糖度25のやつだァ!!」
「ネギの先端に目つぶしを……って熱ッ!!誰だよ、ナスに燃えろって言ったの!」
「言ってない。言ってないけどなんか燃えた!!!」
野菜軍、参戦。
森全体が、生きていた。
そして魔王軍と戦おうとしている。
木が動き、ツタが敵を絡め、畑からナスが跳び、
人間と植物の連携が“奇跡的な混沌”を生んでいた。
ノアの魔法が子供たちを守り、
カムイの剣が敵の突撃を止め、
俺は、種をまき続けた。
「芽よ──”咲いてくれ!」
地面から伸びるのは、巨大なヒマワリ。
その中心から太陽光が収束され──
「ビーム!」
「それヒマワリってレベルじゃねぇぞ!!」
魔王軍は、もはや壊滅状態。
最後の一体が震えながらつぶやく。
「こんな国……関わっちゃいけない……ナス……怖い……」
こうして。
森の国は、“魔王軍の襲撃”を撃退した。
しかも──被害ゼロ、使用兵器:野菜。
噂は、すぐに世界中に広まった。
・「森に住む魔導農民が魔王軍を追い返した」
・「ヒマワリから光が出た」
・「ナスが裁判を開いた」
すでにフィクションになりかけている。
戦いの後、俺はグランの前に立った。
「ありがとう、グラン」
“当然だ。お前が蒔いた種だ。守って当然”
「……お前、ちょっとカッコいいな」
“今さらか。これだから若造は”
葉を揺らして笑うグラン。
やっぱりこの国には、こいつが必要だ。
夜。
焚き火を囲むみんなの笑顔。
ノアが俺に寄りかかってきて、ポツリとつぶやいた。
「……やっぱり、わたし、ここが好き。“生きてる”って感じがする」
「俺もだよ。……ここが、俺の国だ」
ナスが揺れながら叫んだ。
「レントー!スープに俺の仲間使ったの誰だー!」
「またお前かよ!!」
【森の国:魔王軍撃退!】
【戦績:植物だけで勝利】
【国家認知度:急上昇中】
【グラン・ウッド:やっぱり頼れる】