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第2話:王宮に響く不協和音
一方、王宮では捜索が続いていた。
第一王子アーサーは、焦りを隠しながらも捜索の指揮を執っていた。
「第三王子の足取りは掴めないのか?」
「はい……目撃情報はあるものの、確実な手がかりはありません。」
報告を受けたアーサーは、苛立ちを隠しきれない。
「ちっ……人数が少ないとはいえこれだけの規模で探しているのに、見つからないとはな。」
その横で、第二王子ヴィクトルが静かに口を開く。
「レオンが見つからないのは、ただ単に逃げられているからではない。」
アーサーは鋭い視線を向けた。
「どういうことだ?」
「犯人は王宮のことをよく知っている。そうでなければ、こんなに巧妙に逃げられるはずがない。」
「……確かに。」
王宮内の警備は強固だ。それを突破し、なおかつレオンを逃し続けているというのは、ただの賊の仕業ではない。
ヴィクトルの推測が正しければ、誘拐犯は王宮と何らかの関わりを持つ者――。
「もっと詳しく調べる必要がある。」
ヴィクトルは静かにそう言った。
それを聞いたアーサーも、改めて状況を整理し始める。




