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雲海の王宮と誘われた王子  作者: ちやちや
第4章:揺れる運命と少女の秘密
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第1話:追跡の果てに

レオンが王宮を離れて三日が経過していた。

王宮の警備網を掻い潜り、彼を誘拐した少女と共に逃げ続ける日々。


「……行くぞ。」


少女が短くそう言い、レオンの腕を引く。

目の前には鬱蒼とした森が広がっていた。

王宮のある王都から離れたこの場所は、人の気配がほとんどない。

鳥のさえずりと、木々のざわめきだけが辺りを支配していた。


「まだ逃げるのか……?」


レオンは息を切らしながら問いかけた。

少女は振り向かずに答える。


「当然だ。まだ追っ手は諦めていない。」


「それにしても……君は、逃げることばかり考えているな。」


レオンの言葉に、少女は足を止めた。

ゆっくりと振り向き、彼をじっと見つめる。


「私は“逃げる”んじゃない。目的のために進んでいるだけだ。」


「目的……?」


「お前を借りるって言っただろう。」


少女の瞳には、強い決意が宿っていた。

その目を見て、レオンは言葉を飲み込む。


この旅が単なる“誘拐”ではないことを、彼もまた薄々感じ始めていた。

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