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だって、今度こそ愛されたい ~巻き戻った世界で、 侯爵令嬢は自分だけを見てくれる人を探します~  作者: 乙原 ゆん


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50.不穏な気配

 学芸祭の終わった学園に戻ると、それまで通りの日常が戻ってきた。

 あの時襲ってきた男達は、騎士団の尋問を受けていると聞いている。

 けれど有力な証言は得られないままで、どこの誰が指示をしたのかというのはわからないままだ。

 彼らは他にも余罪があるようで、このまま罪を償うことになると聞いている。

 また、私が上級生だと判断した生徒は学園には在籍していなかった。

 警備が緩んでいたため、誰かが生徒に扮して入れたのだろうが、手引きをした者も変装して潜り込んできた者も捕まっていない。

 誰が私とクロードを狙ったのか、状況的にはパトリシアが怪しいのだが、調査がどこまで進んでいるのかはわからない。

 それに、あれからパトリシアの姿を見ることもなく、確かめようもなかった。彼女は休学しているようだ。

 相思相愛だと思っていたマティアスから冷たく突き放されて、学園に通うことができないくらいショックを受けてしまったのかもしれない。


 マティアスはパトリシアがいなくても、以前の言葉通りに私に近づくことはなかった。貴族の子息達と積極的に交流を図り、学園への行き帰りも別だ。今までもパトリシアが自分から側に寄ってきていたから好きにさせていただけで、人脈を築きたいという気持ちは純粋な物だったのだろう。

 パトリシアがいなくても、見ようによっては放置されている私を侮る者は居ない。

 別行動をしているのは、私が疎まれているからではなく、お互いの人脈を築くため。学園でマティアスが私と結婚するつもりだと言った言葉がどこからか広まっているようで、私に近づこうとしてくる人も随分増えた。

「ジュリア様、これからお食事ですか? でしたら私達とご一緒に」

「いえ、食事はお約束している方がいるので」

 今日も近寄ってきた、今まで私ではなくパトリシアに侍っていた人達を断ると、そっと息を吐いた。

 名前は出していないが、私がナタリアと懇意にしていることは広まっている。このままではナタリアが困らないだろうか。

 ナタリアは気にしないと言ってくれているが、交流のためのお茶会を開くとか、何か考えなくてはいけないだろう。

 学園にもお茶会を開けるような設備はあり、申請すれば使うことができるようになっていた。

(帰ったら、もう一度学園の規則を読んでみましょう。確か申請方法なども詳しく載っていたはず)

 忘れないようにしないとと心に留めて、ランチへと向かった。


 屋敷に帰り着き馬車を降りると、ポーチには別の馬車が停まっており、継母が父親と共に屋敷から出てくるところだった。

「あら」

「お父様、お母様……」

 二人はこれから出かけるようで、華やかに着飾っていた。

「ジュリア。久しぶりだな。元気か?」

 父の言葉に、固まってしまう。

 つい数日前に学園で襲撃を受けたことを知らせたはずだが、見ていないのだろうか。

 衝撃から、父の質問には答えられず別のことを尋ねた。

「お二人はどちらに?」

 尋ねると、継母は扇をぱさりと開いて口元を隠しながら言う。

「少し早めの夜会に呼ばれているの。あなた、行きましょう。遅くなるわ」

「そうだな」

 継母に促され、父は頷く。

「では、ジュリアさん、また」

 継母の瞳は、愉しげに歪んでいる。

 理由が分からず首を傾げながらも、二人の後ろ姿を見送った。


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