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だって、今度こそ愛されたい ~巻き戻った世界で、 侯爵令嬢は自分だけを見てくれる人を探します~  作者: 乙原 ゆん


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31.講義の選択

 学園に通い始めて数日。

 クラスの中で少しずつ一緒に行動する人が決まってきた。

 王太子であるマティアス殿下を中心に、側近のクリストフ、ピエール、マイケルとパトリシアはよく一緒に話をしている。他の男子生徒はなんとなく志望進路ごとの集団に固まっており、女子生徒も小さく集団を作っていた。

 私はナタリアから声をかけられて、彼女と一緒に居ることが多い。


 午前中の授業が終わり、昼食の時間になった。

 ナタリアと共に食堂へと向かう。

 殿下からは折角お互いに学園に通っているのだから、昼食の時間は社交に充てるべきだと言われ、別行動となっている。毎日、入れ違いで生徒を呼んで話を聞いているようだが、パトリシア達も一緒にいるため、私は別行動となって少しほっとしている。

 ナタリアも最初こそ「殿下と一緒にお食事を取らなくて良いのですか?」と心配してくれていたが、そういうものだと慣れたようで今は何も言わない。

 二人でランチを取りながら、話をする。

「ジュリア様は午後からの講義を何にされるか決められましたか?」

「いいえ、迷っているの。ナタリア様は?」

「私は、一つは刺繍にして、もう一つは器楽にしようかと考えています」

「そうなの。なら、私も一つは刺繍にしようかしら」

 講義をいくつ取得するかは生徒の自主性に任せられており、最低一つ取れば卒業単位は満たされるようになっている。刺繍の講義は一度目も受けていたが、王太子妃教育が進んでいないこともあり、講義に出席しない代わりに課題の作品を後日提出していた。講義の時間中に皆は和気藹々と話しながら課題に取り組んでいると知って、うらやましかった。

「迷われていらっしゃるなら、是非! 午後の授業が一つでもご一緒できるなら嬉しいです」

「そんな風に言ってくださるなんて嬉しいわ。刺繍の講義を私も受けるわ」

「嬉しいです! あっ、でも、ジュリア様はいずれは王妃になられるので、外国語とか経営学とかそういう授業の方がよかったのでは?」

 迷惑だったでしょうかと顔色を悪くするナタリアに、私は首を振る。

「必要な知識は王宮で教育があるから大丈夫。気にしてくれてありがとう」

「いえ、とんでもございません」

 ナタリアも納得してくれたようでほっとしている。

「あら、いけない。そろそろランチを食べてしまわないと、時間が来てしまうわ」

 それから二人で黙々と食事に集中した。

 ランチを食べながら、私は刺繍の他に何の講義を受けるか考える。時間的に、もう一つ位は受けられるはずだ。となると、婚約破棄後に役に立つような講義も受けたい。

 経営学は侯爵家はエリクが継ぐから必要なさそうだ。婚約破棄後、まともな結婚相手が見つからなければ未婚のまま実家にいることになってしまうから、そうなった時に一人で家を出て生きていけるような知識が欲しい。

 でも、騎士科の講義についていけるとは思えないし、となると、消去法で残るのは魔術の授業だけだった。魔術師ならば、王宮以外でも仕事が多いと聞く。懸念は、午後からの魔術の授業は将来王宮魔術師になる人も受けるくらいレベルが高い事くらい。ついていけるかは不安だけれど、やってみなければわからないこともある。まずは挑戦してみよう。

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