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No.005 一悶着と宿舎での出来事

艦長ってやっぱり難しい立場何だと思ったんだって。

「なんで俺が戦闘機に乗るんだ⁉」

 振り返ると、入り口には大廣がいた。


「艦長は誰になったんだ!何で俺は戦闘機に乗るんだ!」

 えぇ……また僕が絡まれなければいけないのか……でも自分が艦長だし言い返さなければいけないと思って返した。



「僕が艦長だけど……」

 そう言うと、大廣がなにか言おうとしたが、その前に宗光とちょっと年上の人が入ってきた。


「ハァハァ……艦長は誰だよ……誰か止めてくれ……」

「だから僕だけど……」

 そう言うと宗光はマジで安心したような顔をしたあと、

「こいつを止めてくれ……」と言った。



「どこの所属だね、君」

 先生は先輩のような人に聞くと、その人は敬礼して

「DP-303、エーデルワイス飛行隊隊長和田大旗です。すみません、止めきれずにここまで来させてしまいました」

「いや、良い」



「ところでそれなら宗光はなぜここに?」

「ああ、何故か飛行隊隊長になって、大廣も同じ飛行隊の仲間になった。止めようと思ったのだが……」

 と、申し訳無さそうに言った。まあ僕としてはそのことよりも、宗光がかっとなっていないことに驚いたのだが。


 中学校の頃は宗光は家庭の事情も相まってすごく荒れていた。だから、学校一の問題児として中1の頃から名が知れ渡っており、逆にあかねは真面目過ぎていたのでよく宗光とあかねは喧嘩をした。いつもあかねは真面目過ぎて注意しまくっていたのだが、僕も色々あって巻き込まれた挙げ句ブチギレてしまってボコボコにして言い聞かせた結果、3人組誕生の礎が出来たのだ。ちなみに3人まとめて先生にその後こてんぱんに怒られた。



「俺もこの飛行隊の隊長になったしな……優木やあかねみたいにまとめなければいけないと思ったのだが、このような有様だ」

「とりあえず大廣くん。何故そこまで嫌なんだ?別に君は君の役職で戦果を上げれば良いのでは?」

 そう僕は聞くと、

「ふざけるな‼」

 と一喝された。まあそんなもんで納得するわけもないな……そう思ったあとで何で嫌なんだろうと思ったが、自分も艦長になってどうしたら良いのかわからないが、とりあえず大廣の怒りをなんとかしなければならないと思った。そうして考えようとした時、先生が

「ともかく、貴方には人事についてとやかくいうことはできません。これは決定事項です」



 そう先生は言うと、僕に向かって、

「貴方も艦長になる立場です。皆さんの信頼や何かあったときに艦長が主導で事を止めなければなりません。これからは気をつけてください」


 怒られた……そう言うと、先生はまだ不満そうな大廣と宗光たちを帰らせた。

「とりあえずあなた達には2,3ヶ月ほど研修をしてもらいます。その間に船の動かし方などについて全て教えます」


「そんな短期間で覚えられるものなのですか?」

「一応あなた達の専門的な分野で振り分けて入るので、飲み込みが早いと思います。もし無理でも、船に乗りながら学べますし、船にはすべてを統括する高性能なAIを搭載しているので何とかなります」



 何とかなるって……そうぼやきたかったが、今更だろう。その日はその後、この建物で入ってはいけないエリアや宿舎の部屋割、行動時間や今後しばらくの予定などに関して説明がされた。自分たちは一応最高機密に触れている人たちなので、外出が制限されるとはいえ、外出届を提出すれば、1週間に数回は外へ出られるし、敷地内であれば、普通に出れるらしい。ただし外でこの中でのことを話すのは厳禁だが。そうこうしているうちに、夕方になっていて、解散となった。



 解散となるとまず僕達は隣の宿舎へ向かった。ちなみに艦長の僕は、船でも艦長室に1人で住むため、宿舎でも1人部屋となっている。他に1人部屋があるのはあかねだけだ。女子は1つ上の階に止まっているため、男子たちは夜になったら行けるのではと(冗談半分だろうけど)嬉しそうに言っていたが、この宿舎も船と同じAIが監視しているため、無理だそうだ。


 ちなみに船でも同じらしい。そんな事をしたら監獄送りにされるかも知れないと先生は笑いながら言った。まあ男子生徒諸君は恐れの目で、女子生徒は呆れた目で男子を見ていた。(ちなみに、ちょっとだけだったら昼間入ってもいいらしい)宿泊部屋につくとまずは荷物を部屋に入れる。


 と言っても僕は1人部屋だし、大半の荷物はもう送られて来ているから殆どなにもないと言っても過言ではないが。持ってきたものも、タブレットと通信端末と、お菓子ぐらいしかない。本や動画をみたり教科書を見たりノートを書くのもタブレット1つでできる。通信端末では電話やメール以外にも、お金の支払や定期券なども表示することができる万能なものだ。


 そんな感じで部屋は一人部屋なので1人でゆっくりできるかと思ったが、みんな一息ついたあとに大勢の男子たちが1人部屋はいいなと言って部屋に殴り込みに来るし、宗光は泊まってもいいか?とか言ってくるしでその対応で忙しかった。まあ宗光は意外と人見知りの部分も多いので仕方はないが。


 ちなみに他の人達は4人部屋だそうだ。可哀想に……でもやっぱり僕としても1人部屋というのはいいが、こんなところにいきなり連れてこられてこれだと寂しいよな。そんな感じに対応しているうちに晩御飯となった。地図を見ながら食堂へ行くと、そこには色々な人がいた。まあ殆どが軍服着ている人なのだが。



「あんた達新入りかい?たくさん食べて頑張っておくれよ?」

「はい‼」

 おばさんたちいい人だな。見ると他の人達も笑いながら話しているし、雰囲気いいよなここ……

 そう思って食べていると、テーブルに別の人がやってきた。

「隣の席良い?」

「どうぞ!」

「あなたもネリネの乗組員ですか?」


 話してきたのは同じように高校生の男の子だ。

「僕は高木緋色。機関士を担当するよ」

「僕は好井優木。艦長になるよ」

「艦長なんですか⁉失礼しました!」

「いや良いよ。同い年だし一緒に頑張っていくんだから軽くしてほしい」

 そんなおおそれたものでもないし。僕は。



「分かった。好井さん的にはどう思う?この宇宙軍」

「なんか良いのか悪いのか……なんか怖いけど修学旅行に来たみたいな感じだね、今は」

「そうだねぇ……まあ何かあっても頑張るしかないかあ……」

「機関士ってエンジン周りを担当するんだよね?」

「そうだね。隠岐ちゃんと一緒に頑張るよ。そんな扱ったこともないエンジンを担当するのはちょっと怖いけど」

「頑張ってくれよ?エンジンは船の足なんだから」

「頑張るよ。まあアンドロイドも8体ぐらい用意されてるから頑張って守るよ」



「私もいい?」

「隠岐さんか。好井さんも良いですよね?」

「いいよ。僕は好井優木。艦長を務めさせていただきます」

「私は隠岐ななか。緋色君と一緒にエンジン担当します!」

「2人で頑張ってくれよな?マジで」

「もちろん!優木も艦長頑張ってくださいね?」

「そうだよな……1番責任持たないといけない役だからなぁ」

「大丈夫ですよ‼私達はちゃんと選ばれたんでしょうから‼素質があるからこそ、なったんだと思います‼」



 ポジティブだなぁ……まあでも期待に応えるために頑張らないと。そんなこんなで3人で自分たちの役職や、ネリネのエンジンというものはどんなものなのかを熱く2人から聞くのであった。



「今日は色々あったなあ……」

 就寝時間が近づき、自分の部屋にこもってベッドに寝っ転がりながら、これから起こることを考えていた。マジでここ最近は色々とあるよなあ。そう思っていた僕はここまでずっと移動したり話を聞いていたりしたからか、そのまま寝てしまっていた。


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