No.64 敵が来る前に
準備が整い始めたんだって。
「艦長‼ちょっと良いかい?」
そう言いながらさがみの艦長、三井さんがこちらへやってきた。
「はい。どんな感じですか?」
「まぁ今回は色々と取り付けさせてもらってるからね。……機密部分は私達がやっているよ。皆へは優木くんが何とかやってくれ。私は疲れた」
目の下にクマができている。いつも申し訳ねぇ……
「分かりました」
ていうか僕に丸投げかい。あとで父さんからもデータもらう予定だし良いけど。
「とりあえず、下にシールド発生器をつけるのは聞いているよね?」
「はい」
そこが降下するときに肝心の装備だしな。
「あと耐熱処理も底面に一応しておくから」
はぁ。
「まぁあまり意味はないと思うけど、元来から大気圏突入はシャトルで行ったりしているからね。それを発展させたものを貼り付けさせてもらったよ」
あそうなんかい。
「私としてはもっと安全に突入させたいのだけど、時間がなくてね……」
「いやそもそも突入するつもりはさらさらないですから」
何残念そうな顔をしてるねんこの人は。
「とりあえずここまでは、かもしれないということへの準備だったけど、これからはマストで使う装備のお話をしようか」
突然真面目そうな顔をして話始めたぞ。
「とりあえずネリネには特射砲の威力を上げてもらう事になったんだよ」
「はい」
なんか毎回出力を上げているような気がするんだけどな。
「その結果、ネリネ本体の強化ではなくて外付けでオプションとして付けることになった」
中身を強化は時間的に厳しいんだろうな……
「いや、もうあれ以上船に乗せられるもので出力上げれるような改造はできないんだよ。今の段階では」
だから外付けか。
「取り付けるのは、出力を上げるために新しい発電機をメインエンジンのパーツと交換するのと、その威力に耐えられるような砲身を前方に覆いをかぶせるような形で取り付けることにしているから」
「わかりました」
大気圏突入時はメインエンジンに交換して砲身に覆いかぶせた覆いを外して突入させるらしい。
「それと補助としてエネルギーパックも取り付けることになってるの」
エネルギーパック?
「だって特射砲、すぐエネルギー切れ起こしちゃうでしょ?」
出力最大で撃つとしばらく何もできんからな。
「だから急速充電できるようにするんだよ」
どやぁ‼ていう顔で言われましても……
「昔からレールガンでビームを撃てるように砲弾に詰め込む技術があったとはいえ、小さいパーツに特射砲を撃つだけのエネルギーを詰め込むのにだいぶ苦労したんだよ?」
本当にお疲れ様ですだ。
「それで威力はどれだけ上がるんですか?」
「だいたい2倍」
おーん……うせやろ。やばすぎるだろ。
「とりあえず10発は撃てるように用意しているから」
「分かりました。ありがとうございます‼」
そういえばエネルギーパックは他の船にも取り付けられるようにしているらしいけどね。
三井さんに色々と説明を聞いた後、僕は急いでネリネへと向かった。だってなんかめっちゃメール来てるんだもん‼また何か面倒ごとなんだろうな。
「艦長‼おかえりなさい‼」
ネリネに戻ると各班の主要メンバーが艦橋に集まっていた。一番最初に気づいた二葉が明るい顔をして声をかけてくれたけど、ほかのみんなの顔が曇っている……
「艦長、とりあえず今何の魔改造をしているのか教えてもらっていい?」
困った顔をしながら白美が聞いてくる。そりゃそうか。あきらかに不審なものが取り付けられているしな。
「あとネリネのコンピューターに艦長権限の機密情報が大量に入っているんですが……何ですか?」
広海もコンピューターとにらめっこしながら聞いてくる。iちゃんも混乱してるし。
「どこから説明しようか……」
とりあえず全員に説明しなきゃいけないし、放送するか。
「ネリネ各員に通達する。これまで我々はわずか数か月で実戦に投入され、様々な敵を退けてきたり、敵の本星に殴り込みをかけたりしてきた。そして今回の本艦の任務は、後方から強化された特射砲を撃つのが役目である。……と言いたいところだが、本艦には極秘にもう1つの役割が与えられている。今回は総力戦となるが、万が一敵が突破して大気圏突入を始めた場合、本艦も同時に大気圏突入を敢行することとなる。そのために本艦には新たなシステムを搭載、それと底部にシールド発生器の新設と耐熱処理を施した。しかしながら、確実に本艦が地球にたどり着けるのか、正直分からないし、恐らく地球上ではまともに動くことができない。僕たちももしかしたら大気圏突入中に爆散して死ぬかもしれないということだけ頭に留めておいてほしい。恐らく使うことはないが、最悪の場合のことは考えておいてくれ。以上」
めっちゃシーンとしたな。まぁそうだろうなぁ……急にこんな突拍子もないことを言われたらそうなる。
「とりあえず、最近何で頭を抱えていたかは分かったわ」
「まぁ、いつも通り何とかなれだな」
あかねが困ったように、有次が苦笑いで答えてくる。慣れてきたものだなよくないけど。
「大気圏突入についてはiも精査しています。まぁ、5分5分ですね。私としてもあまりしたくないですが、もし再突入しても大丈夫なようにシミュレーションをしておきます」
「じゃあ私は作業に戻るね‼少しでも生存率を上げるためにもう一度点検をするわ!」
「ああ、資料は送っておく!」
その後、各班からも何かあっても大丈夫だろ的なご回答をいただいた。ありがたいことだな。普通こんな船降りてやる!ってなるはずだろうこんなこと言われたら。
「とりあえず、全員準備は万全にな」
「はい‼」
いやぁ……どれだけの人が見ているのかは知らんが、全然更新できずに申し訳ないです……
続ける気はあるのでこれからもよろしくお願いします……




