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No.062 作戦

迎え撃つ準備なんだって。

 「よし、それでは作戦について、日本地区司令」

 そう言うとすぐ隣で座っていたお父さんが立って話し始めた。

 「はい。今回は大きく4部隊に分けての行動とします。まず、第1部隊は最前面での戦闘をする攻撃部隊。これは無人艦にやってもらいます。無人艦は自立稼働とし、同時にバリアーも展開させる予定です」

 有人艦の被害をこれで少なくするのか。

 「第2部隊は、その後ろで砲撃と防御、飛行隊の支援を行います。こちらは遊撃部隊」

 おそらく飛行隊との乱戦になるだろうし。

 「第3部隊はこの艦隊の本隊とし、第2部隊のような形になります」

 ここに旗艦とかが来るのか。

 「第4部隊はDP隊とヨーロッパ地区よりフローレスによる部隊で、特射砲を使って後方より長距離砲撃を行います」

 まぁ、これが妥当なのかな。そのあとも報告だったり現在の状況等の共有をした。

 「出現予想は3日後、各艦それまでに配置についてくれ。すまないが今までも休日がろくにない状態だったが、ここが正念場だ。以上、解散してくれ」

 日本に帰られへんのか……正直疲れているんだがなぁ。



 「好井さん」

 会議が終わってそんな事を考えていると、聞き覚えのある声が聞こえてきた。

 「長岡さん‼」

 この人僕の上司なのにそれより上からの命令が降りてきたりするからあまり会えてないんだよな……だからすごく嬉しい。

 「元気そうで何よりです。ここで立ち話はなんですから、別の場所へ行きましょうか」

 「分かりました」



 「……それで僕たちは何処へ向かっているんですか?」

 別の所に行くとは言われたが移動用の車まで乗るのかよ。

 「さつきに向かってます」

 旗艦のところへか。

 「ネリネはさがみへ今移しています」

 さがみも来ているのかよ。あれ、アメリカ軍のドックで修理するんじゃないのか?

 「まぁ、こちらでやったほうが安全ですし……」

 おぃおぃ同じ軍でも信用ならんというのか……まあよくありそうな話ではあるが。

 「ついでに博己もさがみに行っております」

 そうなんだ。

 「そこで詳しくお話させていただきます」


 「優木‼ごめん。長岡さんに言われて勝手に出ちゃった」

 とりあえずさがみに行く前にネリネの様子を見に戻ってきた。

 「いや、良いよ。権限はあかねに渡していたし」

 「好井艦長、それではさがみに」

 焦っているな……

 「分かりました長岡さん」

 「あかねさん。さがみの人に装備をつけさせます。指揮をお願いしますね」

 「じゃあそういうことだから。あかね、頼んだぞ」

 「分かった。こっちは任せておいて」

 「メカニック班‼さがみの人と連携しつつ……」

 あかねなら大丈夫そうだな。


 さつきは日本地区軍の旗艦なので実に様々な装備がある。正直日本地区の基地よりもこちらのほうが司令部としての装備は多いし、そのために基地司令が旗艦で指揮を取っている。まぁ、最前線でトップが戦うのはどうかと思うが。

 「来たか、好井艦長」

 「はっ」

 「というのは冗談として、なに、ちょっとした雑談だ。ワームホールの調査、お疲れ様、優木」

 「いや、任務だしね」

 「実は優木たちが調査に行っている間に色々とあってな。黒矢、頼む」

 「分かった。とりあえず、前回の交戦で滅茶苦茶になってしまったので残存兵をすべて集結させて月に保管されている船に割り振らせたりしました」

 そんな事があったんだ。

 「そして、地上からも一部情報開示をして、兵を集めました」

 「えっ……」

 「元は私達もそんな感じで来たので当たり前のことです。そしてその者たちは事前に訓練も受けております」

 そういりゃそうだな。すぐには実践なんてできないし。

 「でも全戦力を集めても戦力差は目を潰せません。ただでさえ少なかった地球艦隊も8割しか戦力を戻すことができなかったので。そして優木さんたちが持ち帰った情報を分析したら最悪の場合、第1次防衛戦規模の被害になるかもしれないです」

 やっぱそうなのか。

 「そして、同じように地球への降下を許してしまうかもしれないです」

 そんなにやばいのか……

 「残念ながらいくつかの船は大気圏突入装備を備えています。例外なく超大型艦もです」

 「そこでだ。ネリネには地球防衛の他にもう1つ任務を通達する」

 「はい」

 「緊急時はネリネには大気圏突入してもらう」

 「大気圏突入⁉」

  んなもん無茶だわ‼そんな装備ないだろ‼危険すぎるしそもそも地上にはここまで隠して来たのにか⁉

 「そんなこと出来るとは聞いてないし、そもそも宇宙軍のことは公表されていないでしょ?」

 「あぁ。だが用心に越したことはない」

 「そもそもどうやって突入させるの⁉危険なことは出来ないよ⁉」

 いくらなんでも死ねと言われたら断るぞ。

 「……技術的には問題がない。計算がされている」

 「どういう仕組なんですか?」

 「これを見てくれ。黒矢、説明」

 めんどくさくなってはる。

 「はいはい。とりあえず、バリアーは最大出力で下部に向けます。しかしそれだけではバリアーの隙間等様々な問題があります。そこでネリネには新たにエネルギーシールドを装甲に取り付けます」

 「そんな技術あるの⁉」

 聞いてないんだが。

 「元々からあるぞ、ただ船には取り付けられないだけで」

 「地球を覆っているものはこれと似たようなものです」

 「それを小型化したのか……」

 「まぁ、そんなものです」

 歯切れ悪いな。

 「まぁ、技術は元々あちらのものですから」

 そう言いながら長岡さんはストレンジャーが来る方角に目を向けた。

 「えっ」

 「というか元々ほとんどの技術はあちらのもので、それを地球規格で設計したのが一番最初だからな」

 「……第1次防衛戦の前になんかあったの?」

 「ま、それはトップシークレットだ。……優木にはいつか教えるよ。俺たちの家も、ちょっと複雑なものでね」

 えー。

 「簡単に言うと、優木の曾祖母はこことは違うお方だったんだよ」

 「ついでにあちらは気づいていないのか知らないふりをしているかは分かりませんが、琴丘広海さんの曾祖母も、実はそうだったりします」

 「いきなりそんなやばいことカミングアウトしないでください……」

 どういう血筋なのだ?それって。

 「……ということはこのペンダントもそれに関係していたり……」

 「めっちゃするぞ?それは肌見放さず持っておけ。特に戦闘中は」

 「どういう効果が?」

 「実のところ俺もよく分からん。ただ、魔法みたいなものだよ」

 「えぇ……」

 「まぁでも、助かったことも多々あるので、お守り代わりに」

 「分かりました」

 「とりあえず、大気圏突入については俺が指示をしない限りするな。他のクルーにも伝えるなよ?」

 「流石にクルーには伝えさせてほしいんだけど。いきなり言っても無理だし。信用できるから」

 よほどこの情報が漏れたくないのだろうが、流石にクルーには伝えさせてくれ。

 「まぁ、船の外に情報を持ち出さなければいいだろう。使用時は艦長コードを使用。オペレーションコードはAE20240、ネリネのAIに伝えたら自動的に情報開示がされる。あとは君たちが何とかやれるだろう」

 「もしかしてネリネって、設計段階からそのつもりだったり?」

 「ま、計画段階ではね」

 「ありとあらゆる想定がなされた艦ですから」

 「ちなみに突入後はどうすれば良いの?飛べるんだよね?」

 おいそこで目をそらさないでくれ。

 「いや、実は突入することは出来るんだ」

 めちゃくちゃ言いにくそうに言うじゃんお父さん……

 「ただ……飛行能力はあまり持ち合わせていないのです。少しだけならスラスターで飛べなくはないのですが……」

 ほぼ飛べないということかよ。

 「移動能力、あるよね?」

 「一応、第3,第4エンジンにこっそり大気圏でも使えるロケットエンジンを搭載しました。しかしながら、燃費が悪いので、長距離移動はできませんが……」

 「本当はもっと別のを付けたかったのだが、如何せん時間がなくてな……突入後はとりあえず、信頼できる地区……日本地区かヨーロッパ地区ぐらいに支援を求めてくれ。アメリカ上空からの降下であればなんとか大西洋上に落ちることができるだろう。そこからはなるべくヨーロッパ地区の海上に入ってくれ。こちらからもその時は要請しておく。いや、頑張って頼み込むわ……」

 うん、心配になってきた。

 「大気圏離脱は?」

 「気合と根性とブースター。ネリネのメインエンジンの換装システムを使えば何とかできるはず」

 よし、大気圏突入するようなことにならないように頑張るぞ‼

 「あとの改装はさがみの人に聞いてくれ」

 「わかりました」

 わかりたくはないけどな。


 「艦長、大丈夫ですか?」

 「何かさがみから帰ってきてから様子がおかしいけど……」

 「うん、気にしないでくれ」

 ちょっと色々考えなくちゃいけなくて頭を抱えているだけだから……はぁ……


PV15000誠にありがとうございます‼

申し訳ありませんが、大学の授業が本日から始まり、色々としないといけなく(元から色々忙しかっただろ)、しかもこの回でストックが切れてしまうので(何を書くかは決まっているんだけど)、これからどれほどの頻度で投稿できるかわかりません(いつも遅いだろ)。まぁ、あまり元から激遅なのであまり変わらないとは思いますが、これからも『determined person』をよろしくお願いします‼

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