No.060 敵本隊かと……
もう本隊出発してしまってるんだって。
「艦長、ワームホール突入完了です」
「よし、針路修正。エーデルワイスに合わせてくれ」
「了解しました」
「艦長、エーデルワイスより通信です」
孝弘が疲れた声で言ってきた。まぁ、いろいろあったからなぁ……
「繋げてくれ」
「無事で良かった。どうやら問題ないようね」
「隼華さんのおかげです。危ないところでした。それにしてもどうしてこんなところへ来れたんですか?」
待ち合わせはずっと先だし、何処にいるかもよくわかってないのにワームホールに飛び込んでドンピシャで来たし。
「ドンピシャなのはたまたまよ。救援情報から位置を推測して一か八かでワームホールへ飛び込んだのよ」
んな無茶な。ぶっ飛んでる。
「とりあえず、データはもう通信でもらっていますし、このまま急いで地球へ戻ります。問題ないわね?」
「分かりました。本艦はそれで問題ありません」
「うん。それじゃあまた何かあれば連絡してきてちょうだい」
「了解しました」
「地球へ戻るんですね~」
二葉が感慨深そうに言ってきた。
「そうだなぁ……」
ようやくかぁ……
「何かとやっていましたからね」
「もう2度とこんなところに来たくないな……」
そうだな……来るとしても平和になってから来たいものだ。
「よし、じゃあアラートをイエローに。レベルも3に下げてくれ」
「了解しました」
「優木、いいの?」
あかねが心配そうに言ってきた。
「おそらくはな。それに、みんな疲れてる」
みんなげっそりしている。まぁこんな馬鹿げたことしていたらそうなるわな。
「……それもそうね」
「総員、これより半舷休息にする。あかね、先に休んでいいぞ。広海、有次、それでいいか?」
「いいです」
「おぅ」
「分かった。そうさせてもらうわ」
「んじゃお疲れ〜」
「それにしても艦長、帰ったら俺たちどうなるんですか?」
さぁな。おそらくは……
「多分すぐにでも戦闘の用意になるだろうな。……あれだけの規模だったんだ、次はな」
やられるかもしれない。
「敵の船の中に大きな船がありましたが、あんな船は見たことがありませんでした。遠くて見えませんでしたが、あれは嫌なものでした」
もう少し詳しく見ておきたかったな。
「あの調子だとすぐ来そうだったよなぁ……」
せやな。
「あんなにいるならあの星の艦隊全て集めたらどうなるのでしょうね?」
やめてくれ……考えたくない。
「でもそこまで来ていないということは本気ではないということか、そこまで集められないということか」
「艦長はあの馬鹿でかい船が来たらどう対処しますか?」
あれの対処か……難しいな。
「でもやっぱ総攻撃かなぁ」
それしか方法ないだろうし。
「総攻撃って出来るのか?」
だってそれ以外無理だろ。
「Iちゃんは?」
『私としてはほぼ艦長と同じ意見ですね。宇宙軍は月にしれっと製造工場を所有しているので、有事に備えて色々なものを多分そこで作ってますし。帰ったら戦力補充はされていると思いますよ』
それで出来るんかなぁ……
『まぁ、難しいでしょうがね。人員補充はそう簡単にはできませんし』
そうなんかい。分かってるけど。
「とりあえず、多分だけど僕たちDP隊は特射砲を持っているから後方からぶっ放しまくって、あとの船たちに頑張ってもらうんじゃないかな?」
他の人達が可愛そうだけど、僕らの虎の子を使うためには後方から精密射撃で砲撃しないとだめだからな……
「戦争、終わりますかね……」
さあな。
と思っていたらいきなり警報が流れた。
「艦長‼左舷40、上舷70°に大規模な艦隊を捕捉。距離60000。目視での確認。映像、写します」
ワームホール内はレーダーが使えないから自分たちの目やIちゃんが映像から確認するしかない。
「エーデルワイスとフローレスに緊急通信。データ送れ‼総員戦闘配置‼」
「了解‼」
「艦長。敵はこちらを補足していないです。静かに追い抜くことが出来るかもしれないです」
「出来るならそうしたいところだな。エーデルワイスからは⁉」「あちらも混乱しています」
3隻で艦隊を相手するのは無理だし、ネリネにはもう体力がない。見つからないようにしなかったらこっちがまずいな。
「エーデルワイス、フローレスも戦闘配置になりました。エーデルワイスより打電。やり過ごすけどデータは取っとけだそうです」
「了解した」
とはいえ離れすぎてるしな。
「広海」
「分かってます。データ取得を開始します」
それでなにか分かれば良いが。
「艦長」
「どうした広海?」
「補足している艦隊なんですけど……」
うん?
「敵本隊かと……」
おーん……
「艦確認。IFF、応答なし。大型艦3隻、中型艦16隻、小型艦25隻、それともう1隻、あの超大型の船がいます」
やっぱりか。
「超大型艦のスペックは分かるか?」
「遠すぎて不鮮明にしか写りません」
分からんか。
「近づくことは……そりゃ出来んよな」
「そんな事をしたら袋叩きに合いますよ」
どうにかしてデータを取りたいが下手な動きをしたら補足されるしな。
「艦長、あのステルス無人機を出しますか?」
「十分離れたら考えよう。今は下手に出すべきではない」
あっちがどれぐらいの精度でこっちを補足するのか出来るのか分からんしな。
「了解」
それよりも早く帰らないと追いつかれたらすぐ戦闘になってしまうぞ……ワームホールから突然大艦隊が出てくることになるから事前に察知できずに対処が遅くなるだろうし。
「敵艦隊を抜かします。距離65000」
離れたら偵察機出すか。
「距離が離れたら無人機を出すぞ」
「了解」
「近づくとバレますかね?」
ステルス無人機は別に迷彩とかではなく、レーダーに写りにくくするためだからな。バレるだろう。
「目視が主なこの場所であっちがレーダーみたいなのを使えるのか知らないけど、見ているだろうからなぁ……」
というわけで無人機を出すか。
「艦長。無人機発進完了」
「よし、後方に回り込んでから近づけてくれ」
「分かりました」
「艦長、艦隊に近づけます。距離1000」
「目標確認。超大型艦ですね」
「近くで見るとやっぱでかいな……」
敵の小型艦なんて戦闘機みたいに思えてしまう。ちなみにネリネは中型艦よりちょっと大きいぐらいだ。
「そうですね……詳しく調査します」
『私達の特射砲クラスの砲門が4門と、小型の砲が5門ですね。あと細々とした砲がついて……あっ」
「どうした?」
「撃墜されました」
あちゃ〜……やっぱそうなるか。
『でも特射砲クラスの砲門が撃たれたおかげでどれぐらいの威力かがわかりました。私達の従来の主砲より2倍程度威力が上がっていますね』
うぇーい……それが5門か……
「ただ最低でそれぐらいなので本当はもっと威力が高いと思われます」
「広海さんまじっすか」
「まじです」
とりあえず、こちらには気づいていないからそのまま急いで戻らんとな。幸い後ろから突っ込ませたから敵さんは今頃存在しないところを探しているだろうな。
にしてもまずいなぁ……地球が戦力増強していることを願うばかりだ。
なろうとこの小説のデータ、学校へパソコン返したときに一緒に持ってかれちゃってました……
なろう更新されて色々と仕様が変わって分かりにくいな。




