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No.045 ブルージェ・ウィズダム・ベイズの撤退作戦

優木が戦闘機で出撃する直前からのことだって。

「ブルージェ様‼ベイズ隊、まもなくワームトンネルより脱出するとのことです‼」

「ナイスタイミング……とは言い難いが、まあナイスタイミング‼だな」

「ワームトンネルより脱出を確認‼増援部隊後方より主砲撃ちまくっています‼」


「ベイズ隊より連絡。1隻こちらへ向けてくれるそうです」

「分かったと伝えてくれ」

先程まであの新型艦たちとやり合ったりして少し劣勢だったが、ベイズ隊がきたことでだいぶ有利になった。……はずだった。


「ブルージェ様‼未だにあの2隻は撃沈させることが出来ません‼」

「何でだ‼」

「思ったよりも抵抗が激しいです‼」

「艦長、敵艦より1機出てきました。……照合不明、新型機かと」

1機出てきたところで何になる。

「戦闘艇を回せ」

「イエッサー‼第2,3部隊は新たな敵を迎撃して下さい。第1部隊はそのまま敵への攻撃をウィズダムの戦闘艇と共に続けて下さい」

……1機出てきたところでとは言ったが、あの新型艦なんだよな。あっちがよほどの馬鹿でヤケクソで来ているのか、それとも本当に逆転のチャンスが有るのか……前者であっても後者であっても敵はこちらと同じくあとがない状況だからな。

「敵はたかが1機だが油断するなよ‼あの生き残りの船から出てきたんだ。何があってもおかしくない」

「イエッサー‼」


「ブルージェさん。作戦終了時刻まであと2時間です。でも少しぐらいなら超過しても構いません。……その前に決着が付きそうですけど」

それは言えてる。でも保険は大切だ。

「分かりました副司令閣下」

「艦長‼味方戦闘機が敵の攻撃で3機一気に撃墜されました‼」

「何を使ったんだ‼」

「出力が上がったエネルギー砲です‼」

「各戦闘艇に気をつけろと伝えろ‼」

「戦闘艇より続報‼敵戦闘艇はシールドを使っている模様‼」

……あの国と同じか。これは厳しくなっていくぞ。


「さらに2機撃墜されました‼残存機数5機‼」

「他のところからも増援を‼」

「ウィズダム隊より7機来ます‼」

「全機に近くにいる数機でまとめてビームを撃ってシールドを飽和させるように伝えろ‼」

「イエッサー‼」

「かっ、艦長‼敵機こちらに急速接近中‼照準がカイダムに‼」

「対空急げ‼シールド最大出力‼カイダムにも回避運動させろ‼」

「やってます‼敵、大型エネルギー砲発射‼……カイダムはシールドで防ぎました‼しかしシールド減衰率93%‼敵、我らの死角から速射ビームでカイダムを‼マズイです‼」

「ブルージェ急速下降‼敵戦闘機を捕えろ‼」

「カイダム、シールド消失‼迎撃していますが敵のシールドに阻まれて……」

「捉えます‼」

「主砲、照準‼」

「カイダム轟沈‼緊急脱出装置作動確認‼」

「退避させておけ‼」

「艦長‼敵戦闘機が我が艦に‼」

「迎撃急がせろ‼」

「敵戦闘挺回避しています‼」

「敵艦よりエネルギー反応‼……来ます‼」

「回避急げ‼シールド最大‼」

「回避中‼」


[ズキュゥゥゥン]


[ヴィーっヴィーっ]


クソっ‼回避できたは良いが、かすったし敵戦艦からの攻撃でもう保たんぞ⁉どうする……

「敵どんどん撃ってきます‼シールド減衰率94%‼」

「敵戦闘艇は⁉」

「依然健在‼」

「シールドなくなります‼」

ここまでか‼滅茶苦茶被弾しているぞ……流石にこの船の性能でもあれからは逃れられないのか。

「敵エネルギー再度増大‼照準は本艦です‼」

「なに⁉回避急がせろ‼」

「撃ってきます‼」


[ビィィィィ]


もう駄目なのか……流石にこればかりは俺でも無理だわ。


[ズドォン]


「……‼」

「ウィズダムが‼」

テレサが庇ったのか⁉

「ウィズダム沈没‼こちらにも衝撃で被害が‼」

「脱出は⁉」

「脱出ポッド作動確認‼大丈夫です‼」

良かった……こんなところで死なれたくない。

「ブルージェさん。流石にもう無理です。ここは撤退したほうが……」

「あ、あぁ、そうだな……こんなところで意地を張って撃沈されたら元も子もない。……全艦に通達‼現時刻を持って遊撃部隊の作戦は終了とする‼総員、作戦前に定められたエリアへ撤退しろ‼」

「本艦も緊急脱出ポッドを回収できたら撤退します‼」

「そうしてくれ」

「敵戦闘艇撤退‼敵も続々と撤退していきます‼」

良かった……あっちももうだいぶ疲弊していたんだろうな……



「回収完了しました」

「よし‼進路変更‼180度回頭しろ‼最大船速でこの宙域より撤退する‼僚艦に打電‼我に続け‼」

「イエッサー‼本艦周辺にいる艦に通達、我に続け‼これより撤退する‼全艦反転せよ‼」

こうして、遊撃部隊による戦闘は、終わりを告げたのであった。



「ブルージェ様‼近くで戦闘が‼」

「もう終わったはずだろ⁉」

「それが深追いしてくる船がいるそうです。受けている艦も被害が出ていてまともな反撃が……」

「よし、俺たちが向かう。他の船はそのまま撤退を」

「イエッサー‼」

戦場では必ず人が死ぬ。それでも軍人として戦場へ向かわなければならない。まあそれが軍人に定められた仕事なのだが……最初は怖いが慣れてくるものだからな。


「ブルージェ様。まもなく射程圏内に入ります」

「よし、主砲斉射用意。精密射撃を行う」

「イエッサー‼主砲1番から4番を前に向けろ‼全砲門、精密射撃用意」

「よし、撃てぇい‼」

「撃ちぃかた始め‼」


[ギュゥーン]


「敵艦回避‼しかし敵は大破しました‼撤退していきます。追撃しますか?」

「いや、こちらもまともに相手をしたくないし、時間もない。味方艦を救出して撤退をする」

「イエッサー‼」


「ブルージェ‼」

「ウィズダムか。先程は済まなかった……俺のせいでお前の船を……」

「旗艦が撃沈されたら困るでしょ?私たちの船ももう撃たれまくって反撃できないからこれでいいのよ」

「ウィズダム様は撃沈覚悟で突っ込みましたが、私たちは死ぬ気はなかったので脱出ポッドで操作をしていたのです」

撃沈される気満々じゃん……まあ生き残ってくれなければ俺はもっとどうしようもないくらいに恨んで闇に落ちただろうからな……たまに恨みと執念で生き残っているやつがいるからな……

「副司令閣下、ブルージェ様、ウィズダム様、まもなく撤退ポイントです。ベイズより通信。現存している艦艇でこちらが把握している船は我ら2艦が最後だそうです。残存戦闘艦は合計14艦、大破している船を優先的に修理させているとのことです」

「そうか……」

「半分以上を失ったのか……閣下に何と言えば良いのか」

「……責任問題になりますかね、こんな事になって。ましてやこれではあの人たちの計画が大きく狂ってしまう」

「でもあちらも決して多くない損害を出しましたし、こちらには降下部隊がまもなく出撃するはず。何とかなるのではないですか?」

「そうだな。最後に勝てば良いのだ」

そうだ、最後に勝てれば……いや、生き残らなければ無駄になってしまうな。そろそろ俺たちの星は厳しいしな。


「ブルージェ様。ベイズ様より通信です」

「分かった」

『ブルージェ、無事に帰ってきたようで何より』

「そちらこそ」

『これからこのまま帰るのか?』

「そうなるな。こちらの被害も多いし、これ以上損害は出せない」

『そうだ。先程ワームトンネルから1隻降下部隊の船が出てきてな、ちょっとあちらで問題が発生しているそうだ』

何があったんだ?

『まずは、総旗艦で事故が発生してな……爆発が起きたそうだ』

「はあ……」

何があったらそんな事に……

『次にいつもの電波障害で通信が不安定化しているし、ワームトンネルも不安定になっているらしい』

「……俺たち帰れるのか?」

『こっちは安定しているし、飛び込むわけではなく飛び出すだけだから帰る分には心配いらない』

「分かった。……とりあえず俺たちは帰れるのだな?」

『そうだ。俺たちにも帰還命令が出ている』

「ならばとっとと帰るか」

『そうしよう……あっちに帰っても休めそうにないがな』

「何かあるのか?」

言ってはいるが察しはついている。

『責任問題、もしかしたら再度の侵攻、それと……』

「反旗を翻す準備……か」

『……そうだ。俺は今回の侵攻でそっちに付くことに決めた。よろしく頼む』

「あぁ」

それの準備はどれぐらい出来ているのだろうか?帰って確かめなければだな。

ワイダム連合もまた、不穏な空気になりつつあった。


PV7000アクセス誠にありがとうございます‼

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