No.042 艦長、出る
兄さん死なないでよね……
「すまん‼こっちも問題があって遅れてしまった‼」
「私も手伝います‼」
「緋色とやよい‼ありがとう‼」
「どこの子だ⁉倒れたのは‼」
「梨奈もすまん‼」
「全くだよ‼映像見てからみんな倒れていって‼」
何人ぐらい倒れたんだ。
「これで4人目だよ‼いや、そこの男の子も合わせると5人か」
「5分の1も……」
というか今ここで平常心を保てている僕らがおかしいのか。まあ僕はそれどころじゃないくらいに心に余裕がないから……慣れて行きたくはないなぁ……
「艦長‼2番機も撃墜されました‼ノーズでの脱出を確認‼」
「回収できるならしておいてくれ‼」
「無理です‼戦闘が激しすぎて回収できません‼」
「じゃあどっか岩の近くへでも退避させろ‼ここにいてたらやられてしまうぞ‼」
「直掩機についていた6番機が撃墜された‼砲撃が激しすぎる‼」
『艦長‼敵は第2射の発射体制に入りました‼目標はおそらくこちらかと思われます‼1隻は他の船によって撃沈されましたが、もう1隻は近づけない状況です‼』
「特射砲は⁉」
「再チャージに時間がかかる‼ただでさえ今も全部満足に撃てていない状況なのに‼」
えぇい‼絶望的じゃねぇか‼このまま仲良くやられろというのか⁉
『スタビライザーのソードモードで防いだらどうせしょうか?』
出来るのかそんなこと?
「多分片方の羽がもげ取れますが、バリアーではあのエネルギーは防げずに飽和してしまうと思います』
やってみるしか無いか……
「艦長‼敵大型エネルギー砲、来ます‼」
「行けるか⁉」
AIによる補助があるとは言え、少しでも間違えたらこっちは轟沈だからな。
「直撃まで3,2,1、来ます‼」
[ズガァァン]
[ビリリリリリ]
嫌だなぁ……これはまじでやばい部分が損傷した時になる警報音だ。主にスタビライザーやエンジンが半分ぶっ飛んだり、中央ブロックに被弾したりしたらなる仕組みだ。
「被害報告‼」
『ダメージコントロール‼右翼スタビライザー破損、使用不能‼それと右舷中央ブロックにも被弾‼格納庫1部使用不能、回転装置に支障発生、動かせなくなりました‼消火作業及び空気漏れの復旧作業中です‼』
「スタビライザー出力45%に低下‼右側緊急パージします‼」
「特射砲、再度発射準備‼」
「分かりました。出力55%で撃てます‼」
「よし、特射砲照準、敵大型エネルギー砲装備艦‼」
「了解‼特射砲展開、リング形成完了‼目標、大型エネルギー砲装備艦‼」
「撃てぇい‼」
「発射‼」
[ビィィィィ]
「敵艦回避‼しかし左舷を大破させました‼出力落ちています‼」
「敵艦3隻接近中‼撃ってきています‼」
「回避‼取舵10‼主砲、ミサイル撃ちまくれ‼」
「艦長‼この状況じゃ全部避けきれねぇぞ‼しかも速力も落ちてきている‼」
[ズガァン]
「左舷第1区画に非常事態‼主砲1番使用不能‼後進エンジン及びバラストエンジン損傷‼緊急停止したので爆発はしないです」
「スタビライザーがごっそり半分持っていかれたから全部防ぎきれない‼」
「4番機撃墜されました‼搭乗者はノーズでの脱出を確認。直掩機もう全部やられちゃったよ‼」
「艦長‼どうするの⁉このままじゃやられ損だよ‼」
やよいが涙声で行って来るが、僕も何とかしたいと思う。けど策が……
「艦長‼後方より増援艦隊まもなく到着します‼」
「敵艦、進路変更‼距離を取りつつあり‼」
何でこんな時に進路変更をするんだ?……また何かあるというのか。
「有次、何かあってもすぐに逃げられるようにしろ‼広海‼できるだけ隙間なく防御を頼む‼広はそのまま‼」
「このときに退避するって……何かまた来るのかな……」
「多分そうだろう。来るとしたら……」
退避する前になにか変わったことはあったか⁉広い視野を見て戦場全体を見て……っ‼
「広海、バリア全部後ろに向けろ‼有次、取舵一杯‼上げ舵いっぱい‼緋色‼エンジンぶっ壊れる勢いで良いから出力上げろ‼急げ‼」
『後方より高エネルギー反応多数‼来ます‼』
[ズドーン]
「ぐわぁっ‼」
「被害は‼」
「バリア減衰‼24%に低下‼」
「艦に直接の被害ないです‼」
「でも出力どんどん落ちてきている‼」
「他の船は⁉」
「2隻撃沈‼3隻大破‼よどとアイリスがやられた‼」
シッチャカメッチャカだな。
「フローレスは⁉」
「大丈夫です‼」
「フローレスに近づこう‼2隻で4隻を相手するほうがまだマシだ‼」
『1番機撃墜‼パイロットは射出座席より脱出。……パイロット重症‼』
「宗光が⁉」
「意識はありますが、飛行機の装甲に打ち付けた模様‼要救助‼」
「行けるか⁉」
「無理です‼そんな所行ったらまた袋叩きです‼」
……どうすれば良いんだ‼……自分が動くか‼
「あかね‼すまないがネリネの指揮を任せる‼」
「えぇっ‼何言ってるの⁉」
「艦長何をする気だ‼」
「予備の戦闘機が1機、ネリネにはある。それで出る‼」
「こんな状況でですか⁉」
「無茶だ‼」
「やってみなければ分からん‼あかねに権限を移す‼」
「えっ‼私は……」
「いざという時はみんなが助けてくれる‼みんな頼む‼」
「優木さん、死なないでください」
「ここはなんとかするから任せてくれ‼」
「ありがとう‼白美‼そっちの状況は⁉」
『何とか消火は終わらせた‼』
「ありがとう‼こき使わせて悪いが、すぐに予備の戦闘機を組み立ててくれ‼今から僕が出る‼」
『えぇっ‼どうして‼他の飛行隊のみんなは⁉』
「全員撃墜された‼とりあえず頼む‼パーツは詰められるだけ詰めてくれ‼それとコックピットは2人用のものの用意を‼」
『分かった‼3分で組み立て、5分後には発進できるようにする‼』
「了解‼」
さぁ、死地に向かうぞ……
「白美‼どうだ‼」
パワースーツというものは便利なもので、パイロットスーツを着なくてもすぐにパイロットスーツに変身することが出来る。エアロックを抜けて無酸素状態の格納庫へ向かうと、目の前に1機の戦闘機が組み立てられているところだった。
「後もうちょっとで組み立て終わるから‼オプションパーツはどうするの⁉」
「Cパーツで頼む‼」
「分かった‼すぐに持ってくる‼」
「艦長‼」
そう言ってタブレットを持った零也がやってきた。
「どうした?零也」
「実はあの戦闘機で新型を作っていたんです。なのでその説明を……」
また魔改造されているのかよ。あの戦闘機。
「これを見てください」
そう言うと零也が持ってきたタブレットを見せてくれた。
「まず、1番の変更点は羽の部分です。羽は全部交換して、ネリネのスタビライザーと同素材の特殊合金を加工して作りました」
「特殊合金って加工できるの?加工はすごく難しいと言うか、特殊な方法でしか出来ないって聞いたけど……」
特殊合金はその特殊性からそこまで大量に作れないし、未だに戦艦の装甲にも使うことが出来ない。
「真っ直ぐ切るだけだとそこまで難しくないんです。丸めたり精密な加工でなければ。……ちゃんと測って切っているので大丈夫ですよ?」
そうか良かった。安心した。
「全長は少し長くなっています。これは翼についていたジェネレーターを胴体に移設した関係ですね。でもオプションパーツは従来どおりに付けられます」
「ということはバリアも?」
「はい、展開できます。あとはIちゃんの補助があるので、展開は半自動的に行なえます」
そうか……ならばエネルギー砲を強化させたほうが良いか?
「白美‼やっぱりオプションパーツはDパーツを付けてくれ‼」
「分かった‼」
「零也もありがとう」
「はいっ‼」
試験とか諸々の関係で基本的に12月上旬まで休ませていただきます。
(きり悪いのでもうちょっと進めますが……)
それとPY6000ありがとうございます‼




