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No.039 休息

ネリネはまだ平和だなぁ……

「艦長‼いつものおやつです‼今日はドーナツです‼焼き立てです‼」

「ありがとう。ちょうど甘いものが欲しかったからグッドタイミングだな‼」

「昔も兵隊さんにドーナツを配ることで元気づけていたこともあったんですよ?」

そうなんだ……


「補給班は相変わらず?」

「いえ、流石にもうずっと船に乗っているので料理とかだけじゃなく、生活用品とかの補充にも対応しなければならないので少し忙しくなっていますね」

「無理はするなよ?」

「それは艦長だって同じですよ。ずっと情報収集や他の船の応対、飛行隊との練習とか色々しているじゃないですか」

いや、あまり忙しくはないけどな。あかねにも振っているし。今はさがみに缶詰め状態なので哨戒任務には出られていない。なので、中でネリネが復帰したときの新たな役割、まあ別のエリアに変わるだけで哨戒任務なのは変わりがないのだが。しかしそこはヨーロッパ地区の範囲と被っているので、そこに移動するためにヨーロッパ地区の船とのやり取りを行ったり、ワームホールについての情報収集、飛行隊とのネリネ7機での模擬戦闘とかしかしていないぞ?まあそれ以外にさがみに行って工事の進捗状況を聞いたり、少し手伝ったりしているが。


「……もうちょっと暇になっても良いんじゃないですか?それと艦長、システム班の子と、医療班の子のところにも行ってください」

「何でだ?」

とか言いながら、自分もあぁ……てなってしまった。

「はぁぁぁ……」

めっちゃため息つかれたぞ。

「すまん。言いたいことはわかる。どっちも1人だけだし、ちょっとは顔を出してやれということだろ?」

「そうです。まぁ出来る限り私も情報は伝えます」

「頼む……どうしても資料の山が多くて捌いてばかりで……」

「その代わり、」

なんか滅茶苦茶ニコニコしてこっちを見てくるんだが……

「これからは私の無理を少し、お願いするかもしれないですよ?」

「まぁそれぐらいだったら良いけど」

分かりました〜って言うと、結衣は艦長室から出ていった。



「……何しているんだ?」

「うぉぉ‼」

「そこまでビビらなくてもいいじゃないか……」

というわけで先に向かったのは早岐矢一、システム班がいつも待機しているコンピュータールームだ。AIのIちゃんのメインコンピューターもここにある中枢区画だ。

「艦長‼こんなところに来る人なんて珍しいのでつい」

マジで済まない。

「ごめん。忙しくて全然見にこれていなかった」

「いえ。俺の存在なんてなんかあまり無いように感じて。いつもは機関班の2人と一緒にいることはあるんですが、Iちゃん、AIの整備と更新とか、戦闘データから船の特徴とかを細かく調べたりしています」

「見せてくれないか?」

ということで見せてもらった。

「……おーん」

「……どうしました?」


いや普通にすごすぎる。戦闘データについては、自身の船をコンピューター上に表しているのだが、敵戦艦がどこにいるか、自分たちはどこを砲撃しているのかなどが分かりやすくなっている。敵戦艦もその特徴などから割り出しているのか、1つ1つに番号が割り振られていて、その戦闘力も可視化されている。ネリネのレーダーとAIが優秀だからできることか。

「……この敵戦艦を見分けているの」

「はい」

「精度はどれくらい?」

「そうですね。スキャンして調べているので、少しずつですが違う部分があるので、それが分かれば大体は何でも見分けられると思います。あとはもっと詳しく知りたければ砲撃などの特徴も読み込ませればもっと上がるかと」

「これをIちゃんに読み込ませられるか?」

「可能ですが……?」

「これで敵が来たときに見分けたり、戦闘力から突破しやすい船を探せるんじゃないか?」

「それは出来なくはないですが……」

「どうした?」

「精度は落ちますよ?」

「でもだいたい見分けられればそれでいい」

「分かりました。読み込ませます」

「あと、戦闘記録は随時僕のところへ持ってきてくれ。自分たちの船を可視化して見たい」

「分かりました。それも後で送りますね?」

「いや、艦長室に来てくれ。どうせだったら今回の戦闘、データから読み取ったことで気になったところも聞きたい」

「分かりました」

なんかやっぱり上司と部下みたいなことになってしまうなぁ。

「……敬語じゃなくて良いんだぞ?同じ年なんだし敬語はあまり使われたくない……」

「もとからこんな感じなので……」

「なら良いが……とりあえず、よろしく頼む」

「分かりました」


「どうせなら、少し軍のサーバーに入り込んで情報収集をしても良いんだぞ?」

「まあ出来なくはないですよ?ただ、1回やらかして宇宙軍が来たことがあるのでそれが……」

宇宙軍が来るってどういうことだよ……

「……何したんだ?」

「遊び半分で軍のサーバーに入ったら宇宙軍の情報を見つけて……3時間ぐらいあとに軍の人が来て色々と誓約書とかを書かされました」

何やってるんだよ……

「ネリネに入ったのも軍から言われたことなんです」

そうだったんか……

「まあ、機密情報見たんだしな……バレない程度に情報収集をしてくれ。特にてんりゅうのことについて」

「分かりました。何かあればそっちに行きます」

「ああ」

そう言うと、矢一はまたサーバールームで作業をし始めた。


「おや艦長。こんなところに来るなんて珍しいね?バテてきたのかい?それとも、恋の病でも患ったのかい?」

どっちもちゃうわ。ずっと彼女いないわ。次に来たのは医務室。伯備梨奈のところだ。

「いや、ずっと見に来れていないから、まわっている最中なんだよ。梨奈は大丈夫か?」

「あぁ、もちろん。医者がバテたら何やってんだという話だからね。たまに恋愛話とか、疲れたとか言ってくる人がいるから飽きないしね」

えぇ……今ネリネ艦内で恋愛話って。誰がどうなってるんだろう?

「……僕、何も聞いていないんだが。というか、そんなの知らなかった」

「……まあ私も機密保持があるし、何かあったら報告がいくでしょうね」

「……艦長権限であぶり出し……」

「それしたら大変なことになるわよ?」

冗談ですよ。

「ともかく、あとは医学知識をもっと学んだりしているから、暇ではないね。ただ、マジのけが人は1回も運ばれていないからそこだけは上手くやれるか心配だけど」

「まあそこは頑張ってくださいとしか言いようがない……」

「ちょっと練習に付き合ってくれる?艦長」

良いけど……



「はいじゃあ優木くん倒れてくださ〜い」

なんか間の抜けた用な感じだな。

「ぐぅっ‼」

ばたっ。いてぇ……まじで床に突っ込んでしまった。

「大丈夫‼意識がない‼すぐに運びます。アンドロイドくん達、持ち上げて‼」

なんか急に緊迫してきたぞ……こうして僕は補助のアンドロイドたちに持ち上げられて医療台に運ばれた。

「まずは服を脱がします」

……おーん、まじで脱がされたぞ……流石に下は脱がされなかったが。

「次に注射をします」

「ちょい待ちちょい待ち‼何かどんどんあらぬ方向へ行っているような気がするのだが‼」

「注射はまあ何も言われなければ睡眠薬入りのものをしようとしていたのだがねぇ」

何しようとしていたんだ……


[コンコンコン]


「はい。どうしたの?」

お客が来たようだ。

「すみません。ちょっと聞いてほしいことと、艦長がこちらにいると聞いたので」

そう言って入ってきたのは、二葉だ。あっ、服着ていない状態で、梨奈が注射器を置こうと間近で覆いかぶさるようになっているのだった。

「……」

「……」

「それでどうしたのだい?」

「すぅ〜、」

「あの、これは……」

「また来させてもらいます」

「……」

やっちまったかなぁ⁉

「……艦長はあとで艦長室に待機をしていてください」

「……はい」

どう釈明しよう。

「とりあえず、頑張ってくれたまえ」

「……梨奈のせいでもあるぞ?」

「私はどちらでも良いさ。ただ艦長は困るだろう?」

困らなくはないけど……

「二葉の顔、怖かったな」

「それはそうだねぇ……何されるのやら」

やめてくれ恐ろしい。

「とりあえず艦長の身体は健康そのものだよ。筋力的にも良さそうだ。まあ何かあったらまた来たまえ」


……ちゃんと見てくれていたんだな。


嵐の前の静けさだねこれは

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