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No.038 遊撃部隊、最後の出撃

遊撃部隊の最後の戦闘が始まるんだって。

「それでどうするのだ?ブルージェ」

「このまま撤退、というわけでは無いですよね?」

「うん。副司令閣下と、司令閣下の3人で協議をして最後の作戦を決行することに決めた」


ここはワイダム連合遊撃部隊の仮設基地。しかしながら数日前に基地を攻撃されたおかげで只今絶賛復旧中だ。この攻撃からの防衛戦によって、相手は2隻撃沈、2隻を大破させた。しかしながら我が方は追加で2隻を失い、3隻も大破されたおかげで、それらの修理もしなければならない状況だ。そのせいで今残っている遊撃隊は16隻、当初より半分近くにまで減ってしまった。まさか基地を急襲されるとは思ってもみなかったが、防空用の装備も本国からケチらずに引ったくってきておいて正解だった。おかげであの暗礁宙域でもすぐに敵を探知できたし、基地を砲撃やミサイルから守ることが出来た。まあ少しだけ当てられてしまったが。(運の悪いことに1発は中枢区画に当たってしまった)オリジンに攻めるときだけ、毎回何かと付いていないな……


「先のオリジンの攻撃をはねのけたとは言え、こちらの被害も無視出来ないほど大きかったぞ」

「分かってる。そのせいで出撃がさらに4日程度遅れてしまっている」

「しかしながらこのまま撤退というわけにはいかないのは皆さんよくお分かりでしょう」

「副司令閣下‼」

「それはそうですが……」

「そこで我ら遊撃部隊は最後にもう1度挟撃作戦を実行しようと思う」

「前回は失敗しましたよね?」

「しかし今回は待ち伏せもないはずだ。すでに部隊も送ってオリジンの動向を監視してくれている」

「なら良いのだが」

「配置はどうするの?」

「ブルージェ、ウィズダム本隊で正面から攻め込み、ベイズ隊と一部のウィズダム隊で後方より攻撃をしてくれ」

「分かった」

「攻撃をするにしてもそのタイミングは?」

「そこはベイズの良いと思うタイミングで飛び出してくれ」

「了解した」

「それでいいですか?副司令閣下」

「ああ。もちろん。3人共、今回が何があっても最後の攻撃になる。これが終わったら我らは撤退をする。どちらにしても本来の敵を削るという目標はほぼ達成していると言ってもいいからな」

「それで本国は良いと言ってるのですか?」

「これは司令閣下から言われたことだ。まあ本国に帰っても、残存艦艇で余力のあるものは降下部隊の護衛として配属される予定らしい」

「分かりました。どちらにしても、基地の物資の消費量からして、これが我らの最後の戦いになると思われます」

「そうだろうな。じゃあこの作戦で行く。各艦、最後の準備をしてくれ」

「「「イエッサー‼」」」



「ブルージェ艦長。各艦人員を再配置して、準備を完了させました。後は外装の補修と補給、小型戦闘艇の整備を完全にできれば発進できます」

「入念に検査しておいてくれ。最後の戦闘、どうなるか分からん」

「イエッサー‼全艦、今ある物資の中で完璧に仕上げます‼」

士気は全体的に見ても高いな。ここまで船を減らしてはいるが、これなら意外となんとかなるかもしれないな。

「あとは、あの新型艦などがどう行動するのかと、真っ先に無力化しなければならないことだな」

「そうですね。あちらも機動性に長けた戦艦らしいですし」

前回の勝負は途中で終わってしまったが、今回はこちらも馬鹿正直に真正面から1騎打ちするつもりはないがな。



「ブルージェ艦長、ウィズダム様とベイズ様、それぞれから個別で通信が入っています」

「ウィズダムから通信をするか。ベイズには少し待ってくれと伝えてくれ」

「イエッサー」

「こちらをどうぞ」

「ありがとう」



「どうした?」

『ブルージェ、今回の突撃は私たちの部隊が先に行かせてもらうわ。まだそっちは修理が完全ではないでしょう?』

「駄目だ。今回は2部隊合同でいかなければ出来ん。それに、お前だけを先に行かせて死なせたくはない」

『相変わらずね……分かったわ』

「ああ。こんなクソみたいな理由で始まった侵略。早く終わらせよう」

『そうだわね。私も同感よ。じゃあまた後で』

「ああ」

この戦争が終われば、俺も船から降りようかな。後方勤務か指導教官あたりができればいいな。まぁ、その前にやらなければいけないことがいっぱいあるけど。


『ウィズダムだ。ブルージェ、ベイズ隊が突撃するタイミングだが、済まないがそちらの部隊が十分に引き付けてからこちらは攻撃を始めさせてもらう』

「分かった。……えらくおとなしいな?」

『それどころじゃないしな。俺としてもこのまま引き下がることは出来ないし、そっちを利用させてもらって、スコアを稼がせてもらうさ』

こいつ口は悪いしたまに問題行動を起こすが、根は悪くないし、めちゃくちゃ部下思いだからな。

「分かった」

『すまない。苦しいと思うが、耐えてくれ』

「分かってる。大丈夫だ」

さあこれでどこまで行けるのかな?



「艦隊旗艦より連絡しろ。全艦、発進準備」

「イエッサー‼全艦発進準備‼エンジンの圧力を上げろ‼総員、持ち場に付け‼」

「全艦、発進準備完了。いつでも発進できます」

「よし、発進しろ‼」

「イエッサー‼」

「全艦、発進してください。目標、敵宙域での敵艦の排除。各艦の健闘を祈る‼」

「補給部隊に連絡しろ。基地は即時解体、指定のポイントで待機をしておけと伝えてくれ」

「イエッサー‼」

「艦長、ベイズ隊、待機ポイントへ向かうために隊列を離れます」

「ベイズ様より入電です」

「何て来た?」

「これより我が隊は指定の場所へ向かう。ブルージェ隊の健闘を祈る。とのことです」

「ベイズ隊も頼んだと伝えておいてくれ」

「イエッサー」

あとはあっちがどれぐらい出てくるかが問題だな。あっちに大きな痛手を与えることができれば良いのだが、こちらもどれぐらいの船が残るだろうか?隊形としては確実性はあるし、テレサとのコンビは何度もやってきているからお互いのこともよく知っている。ベイズは飛び込み方が上手いからな。他の部隊で戦闘していたときも、上手いタイミング、多分敵からすれば滅茶苦茶嫌なタイミングで飛び込んで、程よい所で離脱していくからこそ、生き残れてこちらに配属されたのだろう。俺はこの船の特性をよく理解した上で、動かしているし、機動性でもどこの船よりも上だと自負している。だからこそどんな場面でもなんとかやってこれたしなぁ。まぁたまにテレサに行き過ぎだと言われるが、まだぎりぎり逃げ出せるタイミングで言ってくれるからありがたい。おかげで何度も命拾いできたしな。



「艦長、まもなくワームトンネルを抜けます。トンネル内は正常、斥候部隊からも問題がないことを確認しました」

「よし、総員、戦闘配置‼これより我が隊は敵へ最後の攻撃を仕掛ける‼我がブルージェ隊の第1目標は、敵新鋭戦艦の早急な排除‼他の船はその他艦艇の撃破を優先しろ‼最悪の場合、自分たちが沈められないような対応をしてくれ。今回は速やかな撤退が要求される。ベイズ隊が後ろからの攻撃を仕掛けてくれるまで辛抱してくれればそれでいい‼」

「イエッサー‼総員、聞いてのとおりだ‼我がブルージェ隊の底力を、敵に見せつけろ‼」

「先行しているウィズダム隊、ワームトンネルを抜けます‼本艦脱出予想時刻は6分後。まもなくウィズダム隊は敵と会敵する予定です‼」

いよいよか。俺たちが撤退しても、降下部隊の本隊がいるとは言え、俺たちが自由に動けるのはこれが最後だからな。気を引き締めないと。


こうして、遊撃部隊にとって最後の戦闘が、始まろうとしていた。


まぁ、この後に本隊が来るんだけどね。

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