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No.036 ネリネにて

ネリネにも報告が来たんだって

 

 [ピーピー]


 「どうした、孝宏?」

 「艦長。ちょっと艦橋に来て下さい」

 「分かった」

 なんか動きがあったんかな?


 「どうした?」

 「優木、さっきまで色々と動きがあったわ。情報が色々来ている」

 「何かあったのか?」

 「孝宏くん。お願い」

 「はい。先程、ヨーロッパ地区の戦艦、フローレスを旗艦とした反攻作戦が行われました」

 反攻作戦⁉

 「どこを攻撃したんだ⁉」

 「敵の補給基地です」

 「結果は‼」

 「……失敗です。9隻で強襲をしましたが、最終的に8隻で敵艦の迎撃、フローレスが基地に攻撃をかけましたが、あともう少しというところでフローレスが撃沈されました。日本地区からはてんりゅうが来ましたが、フローレス救援に惜しくも間に合わず、撃沈されてしまったため、各艦に打電をして、撤退したそうです」

 「そうか……こちらの被害は?」

 「フローレス、アドミナルが撃沈、ほか2隻が大破しました。敵は2隻撃沈。数隻を大破させ、基地にも少ないながら砲撃が届いたので、敵が侵攻するまでにまだ時間はかかるだろうとの予測です」

 「今回フローレスが撃沈されたことで、ヨーロッパ地区から発表があったわ」

 「どんなことを言われたんだ?」

 「フローレス家は今回の事態を受けて、レイザ・フローレスにフローレス家の当主になってもらうとの宣言がなされたわ」

 「レイザ・フローレス?」

 「15歳の女の子よ。私達の1つ下」

 若くないか⁉というか何でわざわざそんな事を言ってきたんだ?

 「レイザ様が新しい戦艦フローレスの艦長になったのよ。」

 えっ?

 「新しい戦艦って……そんなものすぐに作ったのか?」

 「まあいつもはそうですね。でも今回は元々からヨーロッパ地区に停泊させていた私達と同型艦が日本地区からの技術供与で製作されていたらしいです」

 「広海?まだ交代時間ではないぞ?」

 「動きがあったとIちゃんから言われたもので」

 と言うか同型艦があるなんて知らないぞ?

 「いろいろ調べてみましたが、フローレス家のドッグで建造されていたそうです。先代のフォリア・フローレスが自分になにかあった時のために娘に託せるようにと。しかしまだレイザは15歳なので下手に公表すれば、ほかからの反発があると、公にされていなかったそうです」

 日本だと後も普通に受け入れられているし、他の国でも割と(軍人ではあまりいないけど)働いているからな。世界大戦で。ヨーロッパは未だに戦争が絶えない世の中だからなぁ。

 「しかし今回こうなってしまったので公に出すしか無いと」

 「そうです。ヨーロッパの貴族の義務の一つですから。しかもあちらはヨーロッパの5大貴族。宇宙軍が一般には知られていないとはいえ、知っている人達からは何を言われるかわからないということでしょう。貴族のメンツに関わりますし」

 そんなもんなのか。

 「にしても子供しか動かせない船なんて欠陥品じゃないか。この船」

 「この船についている特殊金属が関係しているんでしょうけど」

 「ここまでくればそうよねぇ」

 「あれどっから拾ってきたもんなんだろう……」

 知らねぇよ。

 「とりあえず、そんなわけです」

 「分かった。ありがとう。どちらにしてもこの船はまだ動けないだろうし」

 「ですね……」

 今はまた修理船さがみにお世話になっている。ただ……

 「好井司令より連絡で、全体的にさがみで改装して能力を向上させろ、とのことですので、大改装するで〜」

 とのお達しがあったので、動こうにも動けない状況だ。



 「……三井さん、何をどう修理しているんですか?」

 なんかあまりにも心配だからさがみに乗り込んだ。

 「まず、前に主砲の出力を強化できるようにしておいたと言っていたよね?」

 「そうですね」

 「だから、ぶっ壊れた主砲と、全ての副砲と対空兵器を交換。主砲以外は最新のものに換えて向上させる。あとは発電機とエンジンを交換して出力を上げる、だね〜」

 「大改装じゃないすか……」

 そこまでのものもあるんかよ。というか僕らだけ得してない?他の船はそんな事しないの?

 「君たちはそれに見合った戦果を出しているし、君たちの船は拡張性が高いように設計されているから様々な実験の意味もあるんだよ。元々こんなに早く来るとは思っていなかったから最初期でも過剰だと言われていたしね」

 そうすか……

 「それと特射砲も交換するから」

 「……1回しか撃っていないですよ?」

 「今の特射砲は1発ぐらいしか1回の戦闘で撃てないでしょ?しかもほぼ真正面にしか」

 「そうですね」

 その代わり威力はバカ高いけど。

 「だから出力を落として何発も撃てるようにして、なおかつ旋回も出来るようにしたんだよ」

 「だいたいどれくらいの威力ですか?」

 「調整は一応できるようにするけれども、理論上は最大出力の40%で6秒に1回、連続で撃てるようになるよ。ただ、それでも連続で撃てるのは20発まで。そこからは冷却しなければいけないから」

 連続で使えるのは2分が限度か。それでもまだ使いやすくはなっているのか。

 「あっ、でもその場合であっても真ん中のメインエンジンは出力を大幅に落とさなければいけなくなるよ」

 「そうですか……」

 「まあでもメインエンジンも交換しているから出力は上がっているけどね。あと、特射砲を交換しても今までのように最大出力で撃つことが出来るから、状況に応じて使い分けてくれ」

 「分かりました。修理のほう、よろしくお願いします」

 「任せてくれたまえ‼それとすまないが、ネリネのメカニックと機関班、システム班の子たちも勝手に使わせてもらってもいいか?」

 「良いですよ?というか僕らの船ですし、自分たちでも修理はしなくちゃいけないので」

 「ありがとう。それだけの人手があれば修理は早ければあと3日で終わらせられるように努力するよ」

 1週間もかからずにそれだけの修理を終わらせられるのか。すごいな。


 「じゃあ私も作業に行くわ〜」

 「お願いします」

 何か戻ってくるたびにどんどん強化されていくな……僕らが程よく壊しているからなのかもしれないが。

 「3日あればなにかと出来るかもな」

 というかずっとさがみを僕ら拘束し続けているのは大丈夫なのだろうか?まあ限定的とは言え、そこそこの頻度でお世話になっているのだが。



 「艦長‼」

 ネリネを徘徊していると、後ろから二葉がやってきた。

 「司令本部より連絡があります。日本地区軍の基地で待機している船の艦長は、すぐに司令本部に出頭せよとのことです」

 「分かった」

 なんだろう?というか今ネリネは近くにいるとは言え、動けない状況なのだが。

 「僕、どうやって行ったら良いの?」

 「あぁ……誰かに送ってもらいます?」

 飛行隊に送ってもらうか……

 「いや、飛行隊は今、ネリネに必要な資材を基地との往復で運んでいて忙しいですよ?」

 「さがみに来たときに基地まで送ってもらおう。飛行隊の誰かをすぐに呼んでくれ。僕はさがみに行く」

 「分かりました」

 基地で新たな作戦を聞かされるのかな?行ってみなくちゃ分からないや。



 「艦長‼すみませんが今こっちに席無いんで後ろのオプションパーツのコンテナに乗ってもらえませんか⁉」

 ……コンテナって……最初こんな装備なかったはずだが。

 「分かった。無理言ってすまない、美咲」

 「いえ‼すみませんせわしなくて。一応仮設ですが席はあるのでそちらに座ってください」

 「分かった」

 まじでこの戦闘機なんでも出来るな。ついにコンテナまで付けられることが分かったぞ……中は暗いが、ヘルメットのライトを付けることでいくらかましになる。外が見えないから閉所恐怖症の人とかはあまり乗れないと思うが。


『発艦します』

 「頼む」

 しばらくすると、ちょっとしたショックがあって着陸したことが分かった。そしてまたしばらくするとコンテナの扉が開いた。

 「艦長。すみません到着しました。私はすぐに資材のところへ行きますね?終わったらまた呼んでください。また誰かが迎えに来ると思います」

 「ありがとう。資材運び頑張ってくれ」

 「ありがとうございます‼」

 さてと、僕も自分のやるべきことをやらんとな。降ろされたのは司令部の会議室にほど近い格納庫だ。すぐに来いとは言われたが、時間はあと20分もあるからな。まあでも早めに行く事に越したことはない。



 「あらあら、これは好井艦長じゃないですか」

 げぇ……なんか段々とこの人、本性表してきていないか?

 「……こんにちは。坏土艦長」

 「そんなに頑なにならなくてもいいのに。あなた達の活躍の噂はよく耳にするわ」

 「そちらこそ、戦闘の激しいところに沢山行ってたのに元気そうで何よりです」

 「まあでも他の船の救出も出来ていないしねぇ。残念だわ……」

 なんか本当に残念に思っているのかさえこの状況だと怪しくなってくるぞ……

 「とりあえず、会議室へ向かいましょう」

 「真面目ねぇ……まああなたのお父さんがどうするのかが気になりますし、早めに行って前の方に座ろうかしら」

 これ、副長のあいつもいたらもっと疲れていたな。マジでいなくてよかった。


 「好井くん‼久しぶりね‼」

 「隼華さん‼」

 後ろから追いかけてきたのはエーデルワイスの隼華さんだ。

 「坏土艦長もお久しぶりです」

 「お久しぶり。私は先に行くわね」

 「大丈夫?絡まれてない?あの人に」

 もうめちゃくちゃ絡まれているし、目をつけられていますわ……

 「まあ今のところは大丈夫です」

 「そう……噂ではもう1人の子とあっちでやり合って副長に危害を加えそうになったって聞いたのだけど……」

 誰がそんな情報流したんだ……

 「そんな事していませんよ。……言い争いにはなりましたが」

 「だよねぇ……あなたがそんな事黙ってみているわけ無いしね。大丈夫、DP隊の人たちはそんな事しないって言ってあるし、他の正規軍の人達の知り合いにも言ってあるから大体は問題ないと思う」

 ありがたい……まだ知り合いが少ないからな。

 「ただ、それでも信じてはいない人もいるから気をつけてね。まぁ、大多数の人はあの人を訝しんでるから問題ないけれど」

 「分かりました」

 入ったばかりの人にちょっと厳しすぎないか?ここ。


まじで個人的なものですが、来月から自分、公募推薦とか色々試験が始まるので投稿頻度遅くなります。(一応ストック分は続けますが無くなりかけたらまた考えます)

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