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No.35 敵基地、強襲

他の船たちで敵の基地を攻撃したんだって。

 「フォリア様。我がフローレス隊の飛行隊より連絡があります。先の宙域で基地のようなものが見つかりました。おそらくは敵の補給基地かと思われます」

 「そうか。博己の言うとおりだな。どこにあるのだ?」

 「月と火星の間です」

 ちょっと遠いな。

 「……他に手隙な艦ってあるか?」

 「問い合わせてみます」

 そこの基地を叩けば敵には打撃を与えられるはずだ。いつもやられっぱなしだからな。

 「すぐに増援をよこしてくれるそうです。増援として、我がヨーロッパよりターナー・ハワード。アメリカよりロサリオ。アジアより雲南、アドミナル。日本よりてんりゅう。アフリカからラバトが来ます」

 「8隻で強襲するのか……正直ギリギリだな」

 「今は全地区ギリギリの状況ですからね。それでもよくこれだけ送ってくれたと思います」

 「そうだな。計画立案をするか」

 「分かりました」



 貴族の家を受け継いだと思ったら何でこんな事になっているんだ……いや、俺としてはここ地球を守れて、貴族としての役目をきっちりと全うできていることについて誇りに思っている。ヨーロッパには未だに貴族がたくさん残っている。その中でも俺はヨーロッパ五大貴族のうちの一つ、フローレス家に生まれた。といっても、先の地球での大戦で、地球での権力は大分削がれてしまったのだが。


 名前はフォリア・フローレス。まあ子供の頃、貴族教育の際に宇宙の話を聞いた時は驚いたけど、国家への権力が少なくなった今、こうして世界連邦から何も言われずに貴族が残っているのは、こういう役目もあるからなのかなと思う。あと色々と情報持ってるし。



 「フォリア様。詳細な位置も特定できましたし、計画も各艦に送信させました。我らはブースターの取り付け、及び簡単な補給ができ次第出発できます」

 「分かった」


 「すべての作業が終了しました。いつでもいけます」

 「じゃあ俺たちも行くか」

 「待ってください‼あと5分でターナーとハワードが合流できます」

 「じゃあ3隻で行くか」

 多いほうが心強いし。


 「ターナー及びハワードが来ました。他の船もそれぞれの指定場所へ向かい始めております」

 「よし、ヨーロッパ地区軍は本艦を先頭に最大船速で向かうぞ‼」

 「分かりました」

 「あと、レイザは船からおろす」

 「良いのですか?」

 「あぁ。あの日本地区から技術供与を受けたあの船を動かすのは、レイザしか無理だからな」

 「良くないわよ‼お父様が実戦を積むためと行って連れてきたのでしょう‼嫌よ‼そんなこと‼」

 「しかし俺になにかあった時にお前がいなければあの船は動かせないらしいぞ。日本地区軍から言われたのは。実際にそうだったし」

 「でも……」

 「駄目だ。降ろさせろ」

 「分かりました。レイザ様、こちらへ」


 ……本音で言うと、15歳で戦争に参加させるのは嫌なのだが、貴族の家に生まれた以上、やる時はやらなければならないからな。それが私達の家が生き残るために出された条件だし。


 「小型艇に載せました。発艦させます」

 「頼む」

『お父様。頑張って下さい』

 「ああ。もちろんだ」



 「ターナー、及びハワードより連絡です」

 「繋いでくれ」

 「フォリア、基地を叩くことができれば、少しでも地球への侵攻の勢いを途絶えられるよな。格好の獲物を見つけたな」

 「ただ、奇襲作戦とはいえ、敵の反抗もあるかもしれんぞ」

 「それは承知の上だ、リザルド。どちらにしてもやらなければいずれやって来るからな」

 「それはそうだな。分かった。覚悟を決めるか」

 「これぐらいでなければな‼」

 「あぁ。2人共頼むよ」

 「あっちに泡でも吹かせられるように、せいぜい頑張るよ」



 「フォリア様。まもなく作戦開始時刻です。各艦配置に付きました」

 「よし‼全艦に連絡しろ。これより強襲作戦を開始する‼」

 「分かりました。フローレス最大船速。これより全艦、敵仮設基地を強襲する。第1目標、仮設基地。敵艦が出てきたら、ターナー、ロサリオ、雲南、アドミナル、ラバトが迎撃してください。フローレス、ハワード、てんりゅうはそのまま強襲をしてください」

 「敵からのレーダー照射を確認‼エネルギー増大‼砲撃来ます‼」

 「回避行動をしてくれ。取舵10、上げ舵20、左ロール‼」

 「分かりました‼取舵10、上げ舵20、左ロール」

 「推力最大にします‼」

 「頼む‼」

 「ミサイル来ます‼」

 「迎撃しろ‼CIWS‼」

 「分かりました‼」

 「フォリア様。前方より敵艦が接近してきております」

 「何隻だ?」

 「10隻です」

 「予定通り、本艦は基地へ向かう。敵艦は迎撃隊に任せろ」

 「分かりました‼」

 さて、どれぐらい基地に船が残っているだろうか?



 「基地まであと7分20秒‼」

 「てんりゅうより連絡。あちらで敵と会敵、交戦中とのことです」

 「分かった」

 「2隻で基地を強襲しますか?」

 「そうだな」

 てんりゅうが突破できるかどうかが分からんしな。

 「前方から敵艦3隻が来ます。青い船の部隊です」

 「ハワードより回線です‼」

 「繋いでくれ」

 「フォリア‼こっちであの3隻は何とかする‼お前の船のほうが完全だしな。後は任せてくれ‼」

 仕方ないがそうするしかなさそうだな。もう少しこちらに船を回せばよかったか。

 「すまないクロメス。頼んだ。死ぬなよ?」

 「そっちこそ」

 「本艦はそのまま基地を目指す」

 基地を破壊しなければ補給を受けた船たちがまた地球にやってくるからな。

 「艦長‼基地より迎撃の砲撃とミサイルが大量に来ています‼本艦まで後20秒‼」

 「回避行動‼補助バリアを展開‼」

 「回避しても来ます‼バリアーあと28%‼」

 くそっ‼やっぱ無理か。


[ズドドドドン‼]


 「被害報告‼」

 「ダメージコントロール‼艦首大破‼右舷砲門全滅‼戦闘機射出口使用不能‼我が戦闘機隊は3機喪失。1機小破

 ‼」

 「第2波来ます‼基地まで後60秒‼」

 「主砲撃ちまくれ‼少しでも届かせろ‼」

 「被害報告‼前面にある主砲は全て使用不能‼ミサイルなどで応戦しているので装甲板はすべて撃ち抜かれていませんが、もう時間の問題です‼あと10発も喰らえばこの船といえど撃沈します‼」

 「フォリア様は脱出して下さい‼」

 無茶言うなや。こんな中で出てもすぐ撃ち落とされるだろ。

 「無理だ。脱出しても撃ち落とされるし、射出口はもう使えないだろ?すまんなみんな」

 「いえ、少しでも地球のためにできたのならばそれで良いのです」

 「私もフォリア様に助けていただいたからここにいられるのです‼」

 「フォリア様。針路そのままで基地に向かいます。どうせ後退しても敵戦艦がいますし、ここで反転は難しいでしょう」

 「……分かった」


 「後方よりてんりゅうが接近‼」

 なに⁉一緒にやってくれるのか‼

 「いえ、それが後ろの岩に隠れました‼」

 「てんりゅうめ……ここで俺らを見殺しにするのか」

 「くそっ‼てんりゅう、あいつらは何をしたいのだ」

 「フォリア様‼第3波来ます‼」

 「装甲板破られました‼駄目だ‼爆発する‼」

 「フローレス家はレイザがなんとかしてくれる」

 「そうですね。あの子は強いです。なんとか生き延びてくれるでしょう」


 ここまでか。もう少し、生きたかったなぁ……



 てんりゅうよりもたらされたフローレス撃沈によって、この敵基地強襲作戦は失敗に終わった。基地まで後少しというところであったが、てんりゅうが駆けつけるも、あともう少しというところで撃沈されてしまった。

 このことでてんりゅうも撤退を余儀なくされた。しかし、こちらはアドミナルが撃沈されたが、敵は2隻撃沈させ、数隻を大破。フォリア・フローレスははじめての反攻作戦を実行した人物となった。

 このことは、地球、ワイダム両陣営にも衝撃を与える作戦となる。地球側ははじめての反攻作戦を実行できたこと。ワイダム連合は、補給基地近くまで侵攻され、被害をもたらされる結果となった。この事により、ワイダム連合の3部隊の補給完了は、先延ばされることとなった。


PV4000ありがとうございます‼

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