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No.028 敵が来る気配

いよいよ敵が本格的に侵攻してきたんだって。

 結果としては、その空間歪曲は限りなく黒に近いものであると分かった。

 「多分あっちがわからこじ開けて来るのではないでしょうか?こっちでもなにかアクションを起こせれば潜り込むことができると思います」

 「どういうことだ?」

 「ワープ……いや、ワームホールかと」

 「俺には違いがわからねぇ……」

 僕もだ。


 「ワープは空間を歪ませたあとに、超高速でそこを移動します。対してワームホールは時空のある一点から別の離れた一点へと直結している、いわばトンネルのようなものです。今回は空間を歪曲することによって、トンネルの出入り口を生み出したと言うか見つけたのではないでしょうか?」

 そんなこと本当にできるとはな……宇宙って怖えや。間違って入ったらどこかに放り出されるかもしれないじゃん。


 「前まではそれを使って侵攻してこなかったよな?」

 「単に技術の問題か、そもそも見つけられていなかったかですね」

 「たまたま見つけたから使っちゃえということか」

 「おそらく」

 「また来るよなぁ……」

 「そうでしょうね」

 これで1つの問題が解決したな。お父さんにはデータも合わせて報告するか……


 「あと、後ろにいる不明艦は……」

 「どうした?」

 「……てんりゅうかと。出力を落として熱源も極力控えていたので絶対とは言えませんが」

 でしょうね。移動してもついてくるかどうか様子を見ていくか……

 「とりあえず、今は放っておこう。じゃあ、通常の状態に戻ろうか」

 「了解」



 ー6時間後ー

 3時間前に引き継ぎをしたあと、仮眠をしていたが、交代の時間になったのでまた戻ってきた。

 「あかね、お疲れ」

 「優木。ワームホールに異常は特には見られないわ。飛行隊はしばらく休ませているから今は上がっていない。……てんりゅうは後ろにまだいるわ」

 なんだろう?バレていないと思っているのかな?まあ普通の船なら絶対にバレないだろうな。この船、みんなが思っている以上に高性能だから、ちょっとしたものでも拾ってしまう。

 「分かった。ありがとう」

 まだいるかぁ……仕事を放棄してるよな?いつもそんなもんなのかな?それやったらやばくね?

 「艦長、まだ後ろについてくるんですが」

 この後もずっと後ろにてんりゅうがいる状態だった。何やってんだあの人達。



 「艦長‼緊急入電、SOSです‼」

 「何だ⁉」

 「アメリカ地区軍の戦艦2隻が敵と接触!数は10隻とのことです‼」

 「場所は?」

 「第1基地より1千宇宙キロ。本艦との距離は2500宇宙キロです‼」

 「てんりゅうより通信」

『私たちも救援へ向かうわよ。付いてきてね?通信カット』

 切っちゃったよ……あの人。妙に早い通信だなあ⁉おい‼

 「どうしましょうか艦長?私たちはまだ調査を続けているけど?」

 どないしよ。今は哨戒任務より救援に向かうのが鉄則だろうけど、やっぱりなんか引っかかる。

 「DP本部と通信できるか?」

 「わかりました」


『どうしましたか?』

 「長岡さん。我らはこのまま訓練海域付近の哨戒を続けてもよろしいですか?」

『何かあるというのですか?』

 「長岡さん、アメリカ地区軍は敵とどんな感じで接触したか分かりますか?」

『突然現れたと聞いてます』

 「艦長。敵はやっぱりトンネルか何かを使っているのでしょうか?」

 「じゃあ何であの船は逃げずにエーデルワイスに突っ込んできたのだ?」

 「それが分かれば苦労しないです」

『とりあえず、あなた達は何かおかしいと思っているんですか?』

 「はい。ちょっとだけ空間がおかしい場所があります。もし前回そこから逃げようと思っていたのなら……その逆もまたできるということでは?ということです」

『しかし実際は敵は別のところから出てきたと』

 「はい。しかし10隻だけで来るとは思えません」

『……そうですね。なにかあるのかもしれません。分かりました、そこに留まることを許可します。……普通は任務優先のはずなのでこんな事なくても良いんですがね』

 「はい」

 というわけで許可は取れた。


 「今度はてんりゅうからです」

 「はぁ……頼む」

『好井艦長。何故あなたの船は一向に動こうとしないのかしら?私は救援に向かうように指示しているのですが。いくらあなた達でも看過できない行動です』

 「坏土艦長。申し訳ありませんが、私たちはこのままこの宙域を哨戒します。長岡大佐には先程許可を取らせていただきました。というより、我らはこの宙域の哨戒が任務です」

『どういうことなのだ‼お前たちは仲間を見捨てる気か?我らは哨戒をしているのだ。敵が来ないかの。でも敵が現れたのはあっちなのだぞ?』

 違うって……なんか話が噛み合わねぇ。僕悪くないよな⁉だよな⁉

 「平戸副長。こちらが手薄になっていたときに敵がもしここに来たら地球をどう防衛するのですか?ましてやここは私たちが敵艦と遭遇したところ。他のところよりも現れる可能性が高い場所です」

『しかし広域レーダーでも何も探知していないぞ』

 「アメリカ地区軍は敵と会敵したとき、突然現れたと言っていたそうです」

『……ワープでもしたって言うの?』

 ちょっと違うけど面倒くさいから良いや。

 「はい。その可能性が高いかと」

『分かったわ。勝手にしなさい』

『後で会ったらただじゃ置かないからな』知らんわそんな事。

 「……了解しました」



 「これで何もなかったら私たちは白い目で見られるわね……」

 「今回ここから現れなかったから、出現場所は自由の可能性が高まってしまった」

 「まあでも、エーデルワイスに突っ込んでいったのが、そこから逃げるしかできないという仮定が出来てしまっているからなぁ」

 「1隻だけで対処することになってしまうのかな……」

 みんな多分あっちに集まっているだろうしな。

 「各員に通達、先程、アメリカ地区軍が敵と遭遇した。他の船は多分殆どがその宙域に向かっていると思う。クインスも同様にだ。散々あちらから色々言われたが、本艦はこの宙域に留まって引き続き哨戒任務及び調査を続ける。各員とも一層気を引き締めて行動してくれ」

 「ここで敵が来たらしばらくは1vs何隻かになるな」

 それは言わんでくれ……



 ー40分後ー

 「艦長、あっちの戦闘は膠着状態になっていて、一進一退の攻防になっております。クエンスも到着したみたいで、ネリネも来れば撃破できたのではないかと愚痴っています」

 「前は戦闘力に含まれないような新米艦とか酷評していたくせに、都合のいいときばかり……」

 まあそんなもんだろ。

 「この宙域に異常は?」

 「現在のところ見当たりません」

 「来ないねぇ……」

 来てほしくはないがな。

 「……来てほしくはないが、来なかったら来なかったで後で面倒なことになってしまうからな」

 「どっちに転んでも1度はピンチになりますか」

 「ビンゴを引くか、リーチのまま終わるか……」

 「いつでも来いよ‼ってか?」

 「やめてくれ有次。縁起でもない」


[ビーッビーッビーッビーッ]


 「……艦長、早期警戒用のレーダーに高エネルギー反応。前方70宇宙キロに空間の歪曲が見られ始めています」

 「……」

 「……ビンゴでしたね」

 どうなってんだよ。マジでくるんかよ。

 「仕方ない。総員、戦闘配置‼レベルはすべて上限に引き上げろ‼飛行隊全機スクランブル‼フルウェポン!パーツはC装備と、ハードポイントにもありったけのミサイルを付けさせろ‼全砲門射撃体勢へ!敵が出てきたらすぐに叩くぞ‼」

 「良いの?」

 だってもう戦い始まってるじゃん。ここではないけど。

 「了解。エマージェンシー発令。総員戦闘配置。レッドアラート、レベル5です。飛行隊全機スクランブル。フルウェポンズ。C装備及びすべてのハードポイントにミサイルと増槽を付けてください」

 「通常艦橋閉鎖。戦闘艦橋へ移行」

 「了解」

 「艦長、ジャミング探知‼徐々に強くなっていきます‼」

 「緊急事態を発令しろ‼すべての回線でSOSを発令‼空間歪曲の映像も一緒に流してやれ‼人類がトンネルから出てきた敵を見る初めての瞬間だ‼」

 「度肝抜かれるでしょうね……」

 「ついでにクエンスにも名指しで送っておきます」

 いやがらせってえレベルじゃないような気がするなぁ……任務は柔軟にだろうけどあっちの失態だよなこれは。

 「許可する」


 「カタパルト1番2番展開完了。全システムオールグリーン。進路クリアー。全機、発艦どうぞ‼」

 「くれぐれも無茶はするなよ‼」

 「分かってる」

 「ジャミング完全にされました。広範囲のレーダー探索及び長距離通信完全に出来ません」

 「主砲、発射用意。オールウェポンズフリー。目標、敵艦出現予測地点。敵が1隻完全に出たらすぐに撃つ」

 「了解。主砲、1番から4番発射用意。目標、敵艦予測出現地点」


 一瞬の静けさが艦内に流れた。皆ちょっと怖いんだろうな。僕も少し震えている。

 「目標、出現‼バリアー解除しました‼」

 「よし、主砲、撃てぇい‼」


今日は特になし‼(いいねお願いします‼)

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