No.022 ネリネの突然の実戦
6日間連続投稿中‼
……運が悪いお兄ちゃん。
「今日もボコボコにされるのかな……」
今日も今日とて訓練のために当直任務につきながら訓練海域へ向かっている。
「最近は少しづつでも追い詰めることが出来ているから今日こそは追い詰められるんじゃないですか?」
「最初の時より戦闘時間は21分32秒増えています」
「まぁ少しずつだなぁ」
「あれ⁉艦長‼」
「どうした有次?」
「なんか前の方で光ってる!」
「広海‼何か分かるか?」
「状況不明。メインコンピューターで照合します。……艦長。通信がジャミングされて使えません」
「広海、最大望遠で見れるか?」
「はい。……なんかドンパチやっていますね。しかもエネルギー砲使ってそうですよ」
えらいこっちゃえらいこっちゃ……
「メインコンピューターの回答は戦闘の光だそうです。IFF応答ありません。どの艦が戦っているかはすいません不明です」
「広海、レッドアラート発令。レベル5‼総員戦闘配置‼有次‼スタビライザー、人口重力緊急カット、最大船速‼」
[ビービー]
「エマージェンシー発令。総員戦闘配置。訓練ではありません。総員戦闘配置、対宙戦闘用意。レッドアラート発令。レベル5です。人口重力がカットされます、気をつけて下さい‼」
「戦闘機隊に先に2機ほど出てもらって状況を見てもらう」
「遅れました‼」
「広海ありがとう。オペレーター変わる!」
「どうしたの優木?」
「あかね、前方の訓練海域あたりで戦闘と思わしき光を確認」
「ほんとだ……」
「とりあえず2機ほど先に出てもらって誰が戦っているのかを確認してもらう。ウェポンベイには増槽と対艦ミサイルを装備させてくれ。1機はCパーツ、もう1機はEパーツ換装」
「分かりました。飛行隊スクランブル。1番機および2番機は、CパーツとEパーツを換装後、発進してください」
「どうしたんだ優木⁉」
「宗光、訓練海域付近で戦闘とおぼしき光が確認された。こっちではよくわからないから情報収集を頼む。通信が使えないのもあるがIFFに応答なし。それと味方艦がやられていたら援護してやってくれ。こっちも急いで行く」
「分かった。やばかったら他の機体も出すように要請するぞ」
「了解。頼む」
やだなぁ……何でまたこんな入隊直前に。
「1番及び2番カタパルト展開。…………サポートアーム接続完了。…………発進用格納庫展開完了、全システムオールグリーン。進路クリアー、1番及び2番機、発進どうぞ!」
「了解。1番機、時井宗光発進します」
「2番機、鍵岡新地発進します」
「2機とも発進したらスタビライザーもハードドライブモードに変更、訓練海域へ急行する。通常艦橋閉鎖。艦橋班は戦闘艦橋へ移行」
「了解。通常艦橋閉鎖します。戦闘艦橋への移行シーケンスを開始します」
「ネリネ最大船速。メインエンジン出力100%、スタビライザー、ハードドライブモードに変更します」
「レーダー及び通信設備はジャミングの影響で使用不可能。しかし近距離用ならば使うことが出来ます」
「分かった。引き続き情報収集を」
しかし嫌な展開になってきたな。前に広海が言っていたことは本当だったのかな?
「訓練海域への到着予定時間は?」
「最大船速で突っ走ってあと10分です。宗光さんたちはあと4分で到着予定」
「2番機より光信号入電。ミカタカンハエーデルワイス、タイハシコウコウフノウ。テキカンノスガタカクニンデキズ、ホカノキタイモモトム。だそうです」
宇宙は暗いから見えやすいな。
「よし、飛行隊全機スクランブル‼」
「了解。飛行隊スクランブル。全機Cパーツ換装後発進してください」
にしても先輩の船が大破したのか……強い相手なのか。
「宇宙基地の本部には連絡はつかないのか?」
「だめです。未だにジャミングが強く通信不能。エーデルワイスとの交信可能距離まであと3分」
頼むから持ってくれよ……
「主砲射程圏内へは?」
「敵艦の姿が見えないのでよく分からないです」
「メインコンピューターより、砲撃されているところの予測地点データです」
「2番機より連絡。敵艦の現在位置の予測データです」
「よし、情報統括後、主砲発射用意。初めての実戦だ。気を抜くなよ?」
「分かりました。位置予測、出ます‼」
「軸線上にいるすべての味方機に退避勧告を」
「了解」
「ウェポンシステム起動。主砲3番・4番展開完了。主砲1番から4番、発射用意よし‼」
「よし、オールウェポンズフリー。主砲、撃てぇい‼」
「主砲発射!」
[ドーン]
「射撃補正後、順次主砲と副砲を撃ちまくれ‼」
「了解‼」
「敵艦発砲‼こちらに来ます‼」
「回避運動‼対ビームミサイル発射‼」
「ミサイル発射‼」
「面舵一杯ライトターン!」
「戦闘機隊はエーデルワイスを防衛中です。しかし1機突出して戦闘している機体があります」
「誰だ?」
「5番機、大廣です」
うそーん……こんな時もかよ……
「……とりあえずエーデルワイスの状況は?」
「エーデルワイスのメインスタビライザーが大破してしまっています。3番艦は推進装置がスタビライザーに頼ってしまっているので補助エンジンで航行しており、満足に動けない状況です。艦本体についても被弾箇所多数」
最悪だなおい……
「エーデルワイスに連絡を。本艦は敵艦を牽制しつつエーデルワイスの撤退を支援する」
「分かりました」
「敵艦の注意をひきつけつつ先輩たちを逃がすぞ‼」
「先輩に貸し一つだな」
「その調子だ‼」
「レーダーに艦あり。敵艦です。IFF応答なし。メインコンピューターに該当艦なし。不明艦です」
「ストレンジャーか?」
「船の材質を調べます」
「回避運動そのまま。こっちに近づけさせるな‼」
「エーデルワイスより連絡。敵はステルス艦かと。たまたまばったり鉢合わせをしてしまって不意打ちを食らってしまったそうです。近接戦闘では敵の主砲は強力。バリアーを撃ち抜かれた、とのことです」
……バリアーを撃ち抜く砲って……
「敵艦の材質の照合完了。敵がストレンジャーである確率は78%。私達の味方を攻撃していることから撃沈も出来ます」
撃沈したら面倒くさいことになりそうだなぁ……
「なるべく敵艦の足を壊して撃沈は避ける。まぁそんな事は難しいからなるべくで」
「敵艦接近‼砲撃の威力が大きくなっている……と言うか、艦長‼」
今度は何だ⁉
「敵の主砲が‼」
よくよく見てみると、普通放題というものは動かずに、砲身だけが動く。
……あの船、主砲が船の装甲の上をスライドしながら動いているんだけど……2門しかないとはいえ、前も後ろも全方位撃てるって面倒だな……
「スタビライザーバリアーモードへ、回避運動続行‼取舵15、エーデルワイスに近づけさせるな!対ビームミサイル1番発射、対艦ミサイル2番3番、船の後方に照準して発射!」
「了解。ミサイル1番から3番装填、発射‼」
「敵艦、ミサイル発射」
「面舵20、レフトターン。チャフ、CIWS‼」
忙しいな……このまま何事もなくいってくれたらエーデルワイスは何とか逃げられるか?
「敵艦、なおも接近!突っ込んできます‼」
「このまま行くとどうなる⁉」
「下に行ったら私達に体当たりか、まっすぐ突っ込んでエーデルワイスに取り付いて撃沈させるか……ですかね?」
「優木、丁度いいことやしスタビライザーのあの機能を試してみたら?」
「跡形もなくなくなると思うが……」
「今回の場合は仕方ないんじゃないかな?」
そうだな……こんなことで迷っている場合じゃないし。
「よし、僕等も敵に接近する‼対艦戦闘!スタビライザー、ソードモード。あの船をぶった切ってやるぞ!!面舵20、上げ舵60‼」
「面舵20、上げ舵60‼」
「了解。ギリギリまで引き付けてモード変更します」
「敵艦の主砲に注意しろよ。いくらエーデルワイスよりもバリアーが強力とはいえ、当たったらたまったもんじゃないからな」
「分かりました」
「敵艦と交差するまであと20秒‼」
「よし、スタビライザー、モードチェンジ‼」
うわぁ……羽がすげぇ光ってる。敵は気づいて避けようとしているが、気づいたときには時すでに遅し。ぶった切られた。きれいに真っ二つになったなぁ。
「敵艦轟沈‼真っ二つになって粉々になりました」
「通信及びレーダー回復。通常通信にて本部と連絡が取れました。途中まではエーデルワイスを牽引し、途中で1番艦のダリアに交代してもらった後、艦長並びに副長は本部に即刻出頭せよとのことです」
「分かりましたと伝えてくれ」
「了解」
「……優木、私達なにか言われるかな?」
ダイジョウブデショタブン……
「とりあえず帰還する。レッドアラート解除、イエローアラートに移行、レベル4」
「了解」
なんかまずいことになってきたなぁ……とりあえず、他に船はなさそうだし、このことで他の船も巡回していることだしとっとと帰るか。
「艦長、エーデルワイスより通信です」
「回してくれ」
「優木君。今回はありがとう。もうちょっとで私達も死ぬところだったわ」
「無事で何よりです。それにしてもあの敵強かったんですか?」
「前回戦ったときと比べると圧倒的に弱い」
「じゃあ何でそんなにダメージを?」
「敵がステルスを使っていたのでね。たまたまあっちがステルスを解除してしまったのか突然目の前に出てきたんだよ。そのおかげで至近距離から急に撃ってくるから最初のその一発でこっちは大ダメージを負ってしまったんだ」
「結局あの船は何なんですか?」「敵の偵察艦というところでしょうね。あの船の乗組員や兵装はさほど強くなかったが、この感じは初めてだと思うから用意周到に準備をしているのではないかな?」
「そうですか……とりあえず、隼華さんが持っている情報をこちらに回してくれませんか?」
「分かった」
「艦長。エーデルワイスを牽引する準備、整いました」
「分かった。基地に向かって出発するぞ」
とりあえずこれで大丈夫だろう。あとはダリアに引き渡せばとっとと基地に帰れるか。
「ダリアとのランデブーまで後何分だ?」
「あと22分です」
「よし、各自警戒を怠るなよ」
「「「「「「了解」」」」」」
「よぅ、後輩くん達よ‼ご苦労さんだなぁ」
「もぅしっちゃかめっちゃかですよ……まだ戦闘機が出てこなかっただけましですが、命があって本当に良かったです」
隼華さんはそうぼやきながらダリアの艦長さんと話をしている。
「新人くんもこれで経験をつけられただろう。最初にしてはよくやったなぁ。あとで隼華ちゃんたちに奢ってもらえよ」
「はい。ありがとうございます」
「よし、あとは俺たちに任せて新人くんたちは基地に向かってくれたまえ」
「了解しました」
ダリアの艦長さんってすごく気さくな人だなぁ。
「エーデルワイスのダリアに引き渡し、終わりました」
「いつでも発進できます」
「よし、基地に戻るぞ」
やっと基地に帰れるんか。
「あ、艦長たちは呼び出しですよね?」
「……」
「……」
「……艦長?副長?」
「あー、そんなんもあったかな?」
「なんかあったような……」
「現実逃避しないでくださいよ……」
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