No.020 休憩とこの宇宙の何処かで
休息は大切
疲れた。しかも面倒くせぇ。
今日は久しぶりの休日だ。休日と言ってもわざわざ地球に戻る必要もないしそれだけで潰れそうなので、今僕はネリネの艦長室でゴロゴロとしている。他の人達はというと、大体は地球に降りるか、宇宙基地の娯楽施設に遊びに行っている。
「あかねと宗光に誘われたけどなぁ〜行く気ないしなぁ……」
でも残っても何もすることはなかったなぁ……
「……寝るか」
いつ何が起こるかわからないし寝るという行為は何も考えなくても済むので幸せだ。
「んん……」
何時間寝たんだろう……3時間ぐらい?ふと隣を見るとそこには広海がいた。
「……広海さん⁉何故いるの⁉」
「艦長を起こそうとしても起きないので起きるまで待機していました。報告です。先程メインコンピューターのAIと調査をしていたところ、気になるものを見つけました」
というか調査って……AI使えるのか?
「この艦のAIは独立して稼働していて、人間のようなもの。そしてこの艦自体がそのAIになっている」
「前にも聞いたな」
「そうですね。そしてAIを私がもう掌握しました」
得意げに言っているけどあんた高1だよな⁉
「大学科目までは一応分かっているつもりです。レーダーの仕事より、システムエンジニアのほうが仕事にあっていますけどね」
すげぇなおい。滅茶苦茶心強いじゃないか。
「それで気になるものって?」
「はい。実はここ最近になってこの地球圏に未確認機が急増しているんです」
えぇ……そんなぁ……
「マジで?そんな話聞いてないが」
「レーダーにほんの少ししか映らないですし、デブリだろうということだそうです」
「えぇ……何でそうなるの?」
「分からないです。多分侵攻予測よりもだいぶ速いからじゃないでしょうか?移動してきている痕跡もまったくありませんし」
「そうなのか……もしそれが本当に敵の艦なら偵察か?」
「多分そうですね。もしそうならステルス技術があるのではないかと」
「分かった。ありがとう。でも先輩たちに言うにしても多分知っているだろうなぁ……」
「そうでしょうね」
というかそれ言うためだけに来たのか?どちらにしてもいないはずの人が部屋ににいたら心臓に悪いからやめてくれ……
「それじゃぁ私はこれで失礼します。あと、そこまで暇そうにしているのなら、AIの身体と名前を考えてください」
「お、オゥ……」
そういりゃ起きるまで待っていたって言っていたけど何時間待っていたんだろう。
「ま、良いか……」
しかしこのときの報告がとても重要だということをあとになって僕は思い知らされた。さて、AIのキャラクターを作らないとな。と言ってもほとんど頭の中で考えていたのですぐに描いていく。
「頭は銀髪にクールな感じにして、ヘッドフォンを取り付けて、身体はちょっとマシーンっぽくして、スカートを履かせて……完全に趣味全開の絵になってしまったな。やっぱり皆に応募をかけてみるか……広海に連絡して聞いてみよう。
「広海今良いか?」
『はい。シャワー浴びている最中だったんで。』
それでそこまで声が響いていたのか。申し訳ない。
「絵は描けたけどやっぱり皆に応募を掛けてから決めてもいいか?」
『分かりました。そういう風に応募を掛けてみます』
「頼む」
ちなみに結局僕が描いたものが採用されることとなった。名前はAIだからIちゃんとした。後は広海と機械班とシステム班に任せよう。
ーところ変わってここは宇宙基地の娯楽エリアー
「……優木も来ればいいのに。そう思わない?宗光?」
「いつもあいつはあまりこういうのはこないからなぁ。あかねがもっと頑張って誘えばよかったんじゃないか?」
「それもそうだねぇ……」
私は今宇宙基地の娯楽エリアで宗光と一緒にパフェを食べている。久しぶりの休日だし、宇宙基地というものに興味を持っていたのでゆっくり遊んでやろうと優木と宗光を誘ったのだが、優木は来なかったな。
「もしかしたら今頃広海ちゃんに襲われているかもよ?」
「なぁっ‼」
「おいおいいきなり突っ込んでくるな‼」
「……広海ちゃんはあまり喋らないから大丈夫だと思う」
「本当に?」
「……たぶん」
まぁ大丈夫だと思うけど前こじ開けて入ったみたいだしなぁ……心配だな。転校してきてすぐ優木と宗光となにかと絡まれるようになった。最初は宗光との喧嘩で出会ったので何だこいつ?と思っていたのだが、普段の優木はとても優しく気遣いができて誰にでも好意的に接してくれるいい人だ。宗光とつるんでよく一緒に私も含めて怒られているが、教師たちからも信頼されていた。
宗光?宗光は最初こそ荒んでいたが、根はいいやつだし、3人で仲良く遊んでいるうちに打ち解けたし、宗光がそうなった原因も3人で打ち倒したりもした。その時は大騒動になってだいぶまずいことになってしまったけど……
でも宗光は私の優木への気持ちにとっくに気づいてくれていて、裏から応援してくれたり、他のことと一緒に相談に乗ってくれる。だから感謝しかない。宗光は
「でも心配だなとか思っているだろ今。早くしないと寝取られるかもよ?でも最近優木に対して押しが弱いよな……他に好きな人で来た?」
…………
「ちょいちょいちょいたんまたんまたんま‼」
宗光がいちいちうるさいからでしょ。最近は広くんもよく話しかけてきていいなと思っているけど。
やっぱり前言撤回。よくそうやっておだててくる。
「あかね〜‼あれ?お邪魔でしたか?」
そうやってやってきたのは佳代だ。
「いや、大丈夫だけど」
「じゃあ遊ぼうよ!宗光さんも来てください‼」
「分かった分かった」
佳代に引っ張られて向かった先は、スポーツ施設だった。
「なんかでかいな……」
「そうね……私達の周りもそこそこ大きい街だったけどこんなにでかい施設はなかったよね」
そこには本当に様々な物があった。遊べるアトラクションから本格的なトレーニングジムまでありとあらゆる運動できるものが詰まっている。
「こんだけ揃っていれば、そりゃ大きくなるか」
その後ネリネの人達と滅茶苦茶遊んだ。ちなみに私は運動神経は良いほうなので流石に白美には勝てなかったけどそこそこ良い結果を出すことが出来た。
「対抗心燃やしているだけだろ?」
……うるさい
「……なんかあかね帰ってきてから他の人達とすげぇ会話してるな……」どうしてだろう?
ーまたところ変わってこの宇宙のどこかー
「……報告です。オリジンの新しい戦艦がまもなく実戦配備されると偵察隊からの報告がありました」
「そうか。準備の方はどうなっている?予定を早めて向かう方が良いかな」
「予定では遊撃艦隊は12日後に出発できるように各隊とも準備を整えており、降下部隊はまだ準備が整っておらず、最終調整が完了すれば向かうことが出来ます。早める必要については、偵察隊の存在にあちらはまだ気づいていないようですし、その心配はいらないかと」
「分かった。引き続き準備の方を頼む。急ぎすぎてまた失敗したら前回の失敗をして上層部に怒られてしまうからな」
「分かりました。遊撃艦隊の方は予定通りに出発いたします」
「降下艦隊の進捗状況は?」
「降下時の問題を2日前にクリアし、船の方できるように順次組み立て、搭載をし始めたところです。それと、大型艦の最終偽装ですね」
「分かった」
……今度こそ我らは勝たなければならないのだ。あの方たちのためにも。あのようなことを2度と引き起こさせないためにも。今回は新技術も搭載されているし、長らく続いていた研究計画もこれで修正できるだろう。やるべき計画が多く、それが1つたりとも失敗できないのが少し怖いがそのために私は準備してきたのだ。
[ピーピー]
「……はい。何でしょう?」
『私だ。改めていうがこの第5次研究の最終段階に入る予定を多めに見積もってはいたがそれでも15年ほど遅れてしまっている。今回で決着をつけなければならないのだ。よろしく頼むよ』
「分かりました。必ずや成功させてみせますよ」
ふぅ……今更15年とかちょっとした誤差だろうに……でも急がなければ着々と技術が発展しているから、収集がつかなくなる前にとっとと被検体たちを取らなければならないし、次の研究への準備、進化するための改造もしなくちゃいけないからな。タイミングを逃したばかりにあの事が起きて、ここまで手を焼かされているからな。……ここ最近はずっとここも薄暗いからな。お金のない平民は偉い人たちのように半永久的に生きられずに死ぬ。まぁ、私は上手く出世できるだろうし、あの方たちの覚えもめでたいから関係ないが。
「どちらにしても最善を尽くして行動しなければな。」
今日から金曜日まで連続で投稿していきます‼
よろしくおねがいします‼




