No.018 処女航海
……勉強、嫌い。
いよいよ船に乗ってみたんだって。
「う〜わ……着るのめんどくせぇ……」
処女航海当日、僕は艦長の証である制服とネリネの花とかが描かれたマント、世界連邦軍の艦長帽を被っていた。ちなみにパワースーツにもこの服装が実装されているが、ちょっとあれ体温調節とかはできるけど息苦しいんだよな……中学の制服がめんどくさくてちょうど近くだし学力もそこそこだし私服登校ができる高校を選んだつもりが何故このような事になっているのか改めて考えるとさっぱりわからないな。
[ピーピー]
「艦長。こちらは艦橋です。まもなく時間です。艦橋にお越しください」……行くしかないよなぁ。
「分かった。今から向かう」
艦橋に行くと、みんなからすごく視線を感じた。
「……マント良いなぁ、艦長さん」
「カッコいい……」
ちなみにみんなも僕ほど派手ではないが制服を着ている。
「まぁじゃぁ行くか。あかね、総員出港準備。訓練どおりで行くぞ」
「分かった。孝宏君、これより本艦は出港します。出港前の安全確認をお願いいたします」
「分かりました。オペレーターより各班に連絡。これより本艦は出港します。各班は安全確認を行い次第ブリッジに連絡してください」
「ブリッジ各員、機関及びシステム始動、メインコンピューターにアクティブ。各部安全確認後副長に通達してて」
「分かった。機関始動、エネルギー循環回路正常に起動。広海ちゃん、メインコンピューターに繋げて!」
「了解。メインコンピューターにアクティブ。システムオールグリーン。各部にネットワークの共有を確認」
「操舵問題なし。いつでも動かせます!」
「砲術ネットワークの起動を確認。メインコンピューターとの接続異常なし!」
「オペレーターより副長へ。各部の安全を確認しました。問題ありません」
「機関出力安定値。広海ちゃんどうぞ‼」
「メインコンピューターオンラインにします。副長、準備できました」
「各部発進準備完了を確認。優木、どうぞ‼」
「了解。孝宏、管制に発進許可を」
「分かりました。こちらネリネ、発進の許可を願います」
『管制より連絡。発進をどうぞ』
「艦長、発進の許可が取れました」
「了解。有次、出力25%でメインエンジン起動、サブスラスター展開。ネリネ、発進‼」
「了解。アンカー収納。出力25%、ネリネ発進します‼」
「発進ルート離脱後、本艦は処女航海及び各種試験を行う」
「ガイド入力、本艦はただ今ガイドシーケンスを行使中」
「まもなくルート離脱をします」
「管制より連絡です。ルート離脱後、指定された行動を基に行動するように。以後、管制からの案内は帰還直前までフリーとなる」
「了解」
いよいよ宇宙か……
「ルートの離脱を確認しました」
「ガイド解除。オペレーションフリー!」
「分かった。有次、二葉、メインスタビライザー展開、スタビライザーにエネルギーの供給を開始。ライザーのモードはドライブモードへ。進路変更、面舵20、上げ舵30、機関出力70%へ。これより本艦は訓練海域へ向かう」
「了解。スタビライザー展開及び各種設定をします‼」
「面舵20、上げ舵30、サブスラスター巡航出力。メインエンジン起動。全出力を70%に設定」
「孝宏、総員に通達、アラートイエロー、レベル3に設定」
「分かりました。これより本艦は訓練海域へ向かいます。総員、イエローアラートを発令。レベル3に設定します」
「よし、孝宏、僕に無線を」
「分かりました。総員へ、艦長より通達です」
「艦長の好井です。本艦はこれより処女航海を行いながら各種訓練をいたします。各自日頃の訓練の成果を見せてください」
ま、こんなところかな。
「艦長、宙域到着予定時刻は3時間後です」
「分かった。孝宏、各班とも自分たちがこれから使うものの場所や使い方を改めて確認させといて」
「わかりました。オペレーターより各班へ。訓練海域到着は3時間後。それまで各持ち場は再度自分たちで復習するようお願いします」
「よし、有次、30分後に本艦は最初の試験、スタビライザー最大出力、最大船速で突っ走る試験をするぞ。それが終わったらアラートを解除。各自交代で休んでくれ」
「分かった」
ー30分後ー
「訓練を開始する。アラートをレッドに。レベルは3のまま」
「分かりました。警報を発令します。総員へ。これより本艦は最大船速の試験を開始する。レッドアラートを発令。レベル3。各持ち場は衝撃に注意してください」
[ビービー]
「有次、二葉、進路このまま、エンジン出力最大。スタビライザー最大出力、モードをハードドライブへ」
「「了解!」」
そんなこんなでそれを30分ほど続けた。アラートを解除した後、班の中でそれぞれ交代で当直に当たる。ちなみに艦橋班は僕、有次、広海とあかね、二葉、広、孝宏で分かれて当直任務に当たるのが基本的な流れだ。
「ちょっとしかしていないのに疲れたな……」
当直は先にあかねたちでやってくれるから僕は艦長室へ戻ってきた。「ちょっと寝るかぁ……」アニメを昨日見すぎたかな?しばらくは見れそうにないからなぁ……そう思いながら、夢の中へと入っていった。
突然だが、最近見る夢は2つある。1つは、自分が何処かで大きい魔物みたいなものと戦って、勝つところ。……自分の妄想でついに頭おかしくなったのか?と思うような夢である。もう1つは、昔行方不明になった時に一緒に行方不明になったこと遊んでいるところ。……確かひーちゃんじゃなかったかなぁ?今頃どうしているだろう?
ー2時間後ー
[ドンドンドンっ]
「艦長、迎えに上がりました」
なんか聞こえるなぁ……
「……艦長、起きていますか?……起きてないなら強引に入りますよ」
広海の声かなぁ。いつの間にか寝てしまってた……開けなければ……めんどくせぇ。
[ウィーン]
……えっ?何で開くの……
「艦長、訓練海域に到着しましたよ」
あっ……
「あまりにも応答がなかったので副長からあいつ寝相悪いから絶対叩き起こさなければいけないって言われたのでメインコンピューターのAIにお願いしてこじ開けてもらいました」
なんと無茶苦茶な。
「……無茶苦茶かも知れないですが明らかに呼び出しに応じない艦長が悪いです」
ハイスミマセン……
「あと下着ではなくてちゃんと服を着てください」
ウッ……申し訳ねえ。いつもの調子でやってしまった。
「ちょっと艦長遅いですよ‼」
「広海ちゃんありがとうね?ちなみにどうやって起こしたの?」
「メインコンピューターのAIに頼んでドアをこじ開けて起こしました」
「エッ……」
「下手に寝ていると広海にまたこじ開けられて入られそうだ」
これはマジで。
「滅多なことでそんなことはしません。次もそういう不安があるなら下着で寝ないでください」
……それは今言わなくても良いことではないかなぁ⁉
「えっ」
「ハイ?」
「艦長……」
「優木またその格好で……」
「もう良いからその話は後ででいいから、訓練を開始する‼警報発令‼」
「ずらしよった」
……うるさい。普通入ってくるほうがおかしいでしょ‼そりゃあずっと寝とった僕も悪いけれども‼
「オペレーターより総員へ、これより訓練を開始します。レッドアラート発令、レベル3を維持。飛行隊1番機から6番機、発進準備。オプションパーツはCパーツを装着。各種ミサイルは訓練用の物を搭載してください」
[ヴィーヴィー]
「通常艦橋閉鎖。艦橋班は戦闘艦橋へ移行」
「了解。通常艦橋閉鎖します。戦闘艦橋への移行シーケンスを開始」
前にも言ったが、戦闘艦橋への移動は席に座ったままでもそのまま自動的に降りていってくれるからありがたい。また、戦闘艦橋はフルスクリーンで360°見渡すことができる。……宙に浮いているようでちょっと怖いけど。他には戦闘艦橋になったときには砲術長とレーダー士には360°の空中ディスプレイが備わっている。広は、砲撃をする対象を指定したりするためである。広海の席にあるのは、レーダーによる索敵、バリアーの展開と広を手伝ってもらうためだ。
「オペレーターより総員へ。これより通常艦橋は閉鎖。戦闘指揮は戦闘艦橋で行います」
「カタパルト展開、飛行隊準備完了後、順次発艦させて」
「発進シーケンスを開始します。1番及び2番カタパルト展開開始。…………サポートアーム、カタパルトに接続。発進用格納庫展開します。…………全システムオールグリーン。進路クリアー、戦闘機隊、順次発進してください」
「宗光達には周囲の警戒をしながら訓練させて」
「わかりました」
「じゃあ僕らは砲撃訓練をするか。面舵20。デブリ付近まで艦を進めて」
「了解。速度そのまま、面舵20」
「主砲1〜4番発射用意」
「了解。ウェポンシステム起動。主砲1番から4番発射用意、目標、前方のデブリ。3番及び4番砲塔展開。…………発射用意よし‼」
「撃てぇい‼」
[ドーン]
つーか滅茶苦茶威力大きいなこれ。さて、
「次はミサイルを撃つ。ミサイル発射管1番から3番、模擬ミサイル装填」
「了解。……ミサイル発射管1番から3番、装填完了」
「ミサイル発射‼」
「発射します‼」
後はこの艦の機動性の試験かな?
「メインコンピューターに仮想敵を表示させて、本艦の機動性の試験を行う」
「よっしゃぁ!腕が鳴るなぁ‼」
というわけでネリネを使って様々な仮想敵を撃破させていった。
「優木、そろそろ帰投する時間だよ?」
「そうだな、十分動かせたし帰るとするか」
明日からは、先輩の艦と戦うのかぁ……
というわけでこの日はちょっと振り返りをした後解散した。
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と言うか再来週って7月7日でしたね……スミマセン




