No.012 DP隊というもの
DP隊のことをちょっとだけ聞いたみたい
ここで突然だが、スクール隊の歴史について長岡さんから聞いたことを元にして振り返ろうと思う。
皆さん御存知の通り、この地球は40年より少し前、正確には42年前に宇宙からの侵略者、ストレンジャーがやってきた。実はそれより5年以上前に観測の結果として、何かしらの知的生命体がやってくることを地球側は予測しており、それに向けて地球の軍人さん達なりに出来得る限りのことをした上で侵略者に挑んだそうだ。
結果としては、長く宇宙に居続けていたであろうストレンジャーの方が圧倒的に有利な展開となり、地球側は大苦戦。(このときの兵器は宇宙船を改造したものに、宇宙でも使えるようにしたレールガンやミサイルなどを載せた魔改造艦を大量建造した)
結果的に、沖縄にストレンジャーの宇宙船を墜落させ、沖縄近海にあった宇宙軍本部と沖縄周辺の人たちは全員死亡、宇宙軍の損耗率は136隻中113隻、実に8割が撃沈されるという結果となってしまった。しかし突如としてストレンジャーは地球から撤退した。
これが41年前だ。このときの戦争を後に第1次地球防衛戦争と呼んでいる。この戦争の後、ストレンジャーを追い出そうと地球側は共闘して戦っていたものの、所詮は一時的なもの。ストレンジャーが撤退したことで様々な国の思惑や紛争問題、領土侵攻や奪還、僕等日本では沖縄に墜落したストレンジャーの宇宙船を強奪しようという国が軍を向けて来るなど、世界中の国が様々な考えのもと、好き勝手に戦争を始めてしまう事となった。
これが40年前に起こった世界戦争である。僕等はこのことを日本を隔てた西と東の覇権争いで起こったと教えられてきたが、真実はこのようなものだ。この事によって日本は様々な国から軍事侵略を受けることとなり、実に人口の75%もの人々が亡くなったとされる。また、世界的に見ても、推定で世界人口の5分の3ほどがこの戦争で亡くなった。このようなあまりにもひどい戦争によって、憎しみに憎しみが被さり、事態の収集がつかない状態になったり様々な兵器が使われていたものの、世界中で反戦運動や批判が集まったことによって、世界的に戦争をする余力が消えてしまったことも相まって戦争は収束へと向かった。
戦争後、各国は自分たちの国だけでは復興ができないほどにまで疲弊していた。そのため、各国は国家を廃止、地球が1つの惑星国家になることとなり、世界連邦政府が発足することとなった。これにより、地球は1つとなり、5つの地区に分かれた。それが、ヨーロッパ地区、アフリカ地区、アジア地区、アメリカ地区、そして日本地区だ。
「日本だけ何故国がそのまま地区となったかといいますと、世界連邦政府設立を主導したのが日本であったこと、戦争での被害が日本だけあまりにも大きかったことで少し優遇されこと、沖縄は他のどこの国にも獲られずにそのまま日本になっていることで、日本の重要機密扱いの島なんて持ちたくないし、そのまま独立して隔離おいたほうがいいことなどのおかげですね」ということだそうだ。
なお、オーストラリアなどはアジアに、南アメリカはアメリカ地区にそれぞれ入っている。そして復興と同時に裏では宇宙でのストレンジャーによる再侵攻を恐れて宇宙開発を発展させる運びとなり、沖縄に墜落した宇宙船の情報などを頼りに、新たな宇宙艦隊を発足、艦を作るとともに、地球にエネルギーシールドで覆う計画も進められ、4年という急ピッチでエネルギーシールドと5つの宇宙基地が完成したそうだ。
そして31年前、第2次地球防衛戦争が勃発。技術的にはまだ地球側がだいぶ下であり、かつ地球は先の地球人同士の戦争で半分以上が、世界的には大人がまだ生き残っていたが、日本では殆どの大人が亡くなっていて数が少なく、何とか消耗戦に持ち込んで撃退させたとはいえ、とても勝利とはいえない結果となってしまった。このことで、将来につなげるためにも、人類の繁栄、確実に子孫へつなげることが必要だということで、日本では子育て政策、そしてそれと同時に日本地区宇宙軍内部ではスクール隊計画が建てられた。
これは将来またストレンジャーが侵攻してきた時に人がいないことを避けるために、高校生以上の人にも徴兵させて戦わせようという計画だ。次にストレンジャーが侵攻するには、20年程度は必要ではないかということでこの計画は軍の内部で内密に、そして強引に通されたものだということらしい。
「このときに、私の元上司もこの会議に参加していて、反対の立場だったのですが、表立って反対している人や、国民に知らせるべきだという人たちは暗殺されてしまって……それで嫌でも賛成をしたそうです。このとき誰の皮肉かは分かりませんが、DP、determined person”定められし者”という名前がスクール隊に付けられたそうです」
とりあえずそのようなわけで、スクール隊計画、いわゆるDP計画は進められた。そして、17年後、最初のdetermined person、スクール隊、DP隊の7隻が就役。活動を開始した。そしてその1年後、2年間に渡る第3次地球防衛戦争が勃発。これにより、DP隊は1,2,5を除く艦が撃沈、甚大な被害を被った。これによって、2番目のdetermined personが戦争の2年後以降に順次選出され、7隻体制に戻った。そしてまたその7年後に小規模な戦闘が勃発。しかし、敵は強く、1,4,6を除く艦が撃沈される事態となった。
そして3年前、僕等6地区の前の先輩と、7番艦の人達が突如として消息不明となった。そのため6番艦の新しい乗組員として選出されたのが僕達というわけだ。ちなみに7番艦の人達はまだ適している人達が居ないのと、船の建造がまだできていないということで空白の状態となっている。
「というわけです。ちなみに他の世界の地区ではこのようなことはやっていません。やろうとしている地区も少なからずありましたが、地区内で意見が別れて出来ていないそうです」これは日本が1つの国のまま地区となったことと、深刻な人手不足に悩まされていたから出来たのだろうな……
「ちなみにこの世界連邦宇宙軍日本地区のトップはあなたの父なんですよ?」これには少し驚いた。父は根っからの軍人で役所からの出向ではないため、中将で止まっているらしい。軍の偉い人って政治家が来てるらしいなあ?しかし宇宙軍は極秘扱いのため扱いが難しく、いつも軍人に押し付けているそうなのだ。……父さんも大変だなぁ……
そして宇宙に向かう基地は日本地区では沖縄にあり、宇宙エレベーターとロケットの発射基地が併設されている。ちなみに、他の地区では、それぞれの地区に1つか2つほどロケットの発射基地があり、宇宙エレベーターは太平洋、大西洋、インド洋の3大洋にあるそうだ。宇宙エレベーターは目立つので人が全くいないところにそのエリアを封鎖して基地が作られている。
「私達は基地が沖縄にあるのでそこに移動して宇宙へ向かいます。そして基本的にはその直上にある宇宙基地を拠点に活動します」
ということだそうだ。
「何でそこまでして、敵は地球を襲ってくるんですかね?」
「それを調査するために6番艦と7番艦の先輩はあちこち調べ回っていたんですが、その途中で両艦とも突然通信途絶。行方不明になってしまいました」
ふぅ〜ん……闇が深そうだな。
そんな訳でざっくりとだが歴史はこのようなものだ。父が宇宙軍の人だったことは驚いたが、もっと驚いたことは僕の祖父も宇宙軍創設時代から宇宙で戦っていたそうなのだ。しかも8割撃沈されている中で撃沈されなかったそうだ。何かとウチの家って宇宙に関係しているんだな……
「私もあなたのお父さんと一緒に宇宙軍で戦っていたんですよ?」
これも驚いたな。でもなんか昔に家に来たような気がしなくもない。
そういえばお母さんはこのことを知っているのかな?
良ければ評価、いいねもお願いします‼
学生の辛いところ→何かと体育館で三角座りで話を聞くこと(私立はホールかもしれんが)




