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No.009 経過報告

お父さんも宇宙軍の人なんだ……


[コンコンコン]

 「植木隼華少佐、入ります」

 「どうぞ」

 「うむ。今日来てもらったのは他でもないネリネの新メンバーを迎えて1ヶ月ほどになったから、訓練状況について黒矢と聞かせてもらおうと思ってな」

 「私も見ているけど、やっぱり直接教えている君たちが実際に見て感じたことも聞きたいですので、一緒に同席させてもらいます」



 私は今、この日本地区宇宙軍の司令室に来ている。この宇宙軍の指揮をしているのは好井博己中将だ。この人はDP出身の人ではないが、昔宇宙軍で艦長をしていたらしい。いつも私にも優しくしてくれて、親しげに話してくれるし、同じ宇宙で戦ってきた人としてみんなからの信頼もある人だ。


 そして、その隣に座っているのは長岡黒矢大佐。今私達が教えているネリネのクルーの指揮を執る予定の人だ。この人も宇宙軍で好井中将と一緒の船に乗って戦ってきたらしい。だから2人はよく一緒に仲良く話していることが多い。この人も優しいし、実力もあるのでみんなから一目置かれている人だ。


 「分かりました。確かネリネ艦長の好井優木は、中将のご子息ですよね?」

 「あぁ、そうだよ」

 「お会いになられないんですか?」

 「今はまだ会わないほうが良いだろう。訓練も頑張っているようだし、落ち着いたらまた会うつもりだ」


 まあ今訓練の途中で大分死にかけているし、落ち着いてから知ったほうが混乱しないかな。

 「分かりました。それでは各班の状況についてお伝えします」

 「頼む」


 「まず、飛行班についてです。この班が1番問題がありまして、各個人の技量については最低ラインをもう突破しており問題ないのですが、統率が取れずにばらばらになることが多く、連携が取れていない状況となっています」

 「それは問題だな。隼華ちゃんはどのように感じている?」

 「私としては、エーデルワイスとネリネの飛行隊の両隊長が頑張っておりますが、事の重大性をネリネの他の飛行隊の子たちに気づかせなければならないかと」

 「だろうね。博己も痛感していただろ?飛行隊との連携が取れないとどうなることか」

 「それはそうだが……あれは私達が前に出すぎて孤立しかけていたからだろう?それで、好井艦長はどうしてるのだ」

 「ネリネの飛行隊の隊長と情報交換をしたりしてアドバイスをしているようです」

 「そうか。それで足りるかね?」

 「正直言って足りないかと。かと言って権力行使をしたら悪くなる一方でしょうし」

 「話し合いで分かれば良いんだがねぇ。艦長もまだまだ板についていないだろうね」

 「優木は優しすぎるところがあるからな」

 「それが諸刃の剣にならなければ良いんだが」

 押しに弱そうだし。



 「次にメカニック班についてです。こちらについては座学が苦手なようですが基礎知識等があったので実機を使った訓練をしていくそうです」

 「速いな」

 「今回のクルーの私の印象としては選りすぐりの子たちが集まっている様子だからね」

 「それが偶然か必然か……」

 「まあ……ここまで来るとなんとも言えない状況になっているだろうね」

 「どういうことですか?」

 「ああ……なにもない。続けたまえ」



 「はい……次は機関班です。こちらも座学を先に進めていますが、特に問題はないので、こちらも実物のエンジンを使っての実技をしはじめるそうです」

 「そうか。今回からまたメインエンジンが付いたが問題なさそうか?」

 「どちらかと言うと、我がエーデルワイスのクルーのほうが頭を抱えていました」

 私達のところは、スタビライザーで推進しているから、補助エンジンしか無いからエンジンについてのノウハウが乏しいのよね……


 「だろうな。先輩も頼りながらすすめなさい。君たちの船はスタビライザーがエンジン類の変わりを担っていて、補助エンジンしかついてないのだからね」

 「分かりました。伝えておきます。調理班については全くと言って問題がなく、今は基地の調理も手伝ってもらっている状況です」


 「確か最近の基地での調理担当も……」

 「はい。ネリネの調理班も作っています」

 「食事会のときも美味しかったな。レパートリーも豊富にあったし」

 「そうですよね‼」



 あの後うちの調理班の子たちも自主練習をはじめて、毎日艦長室に持ってこられる。美味しいから良いけど、ちょっと量が多すぎて体重が増えてきてるんだよなぁ……

 「食べたかったな……」

 「まあ中佐は1地区や2地区との往復で忙しいですしね」

 「私は満腹になるまで食べれたしな」

 「いや、黒矢はあの後私と飲みに行ったくせに」

 「まあまあ……」



 「あと医療班の人も、基礎的な知識はあったので医師免許を取得できるぐらいの技量を持たせたうえで、アンドロイドがサポートしていく予定です」

 「今回珍しく医療担当の子が1人入ってきたのか」

 「はい。いつもはアンドロイドが担当しますが、今回は条件にあった人が入ってきたそうなので」



 「そうか。後はブリッジクルーか」

 「はい。艦橋班は今は別れて別々に各担当の研修をさせています。艦長については問題がないですね」

 「そりゃ博己の息子だしね」

 「そうだよ。自慢の息子だよ。こんな事に巻き込ませたくはなかったがね。これで親子3代揃って宇宙軍で働くことになる」

 でしょうね……子供に戦争をさせたい親はいないだろう。というか中将のお父さんも宇宙軍の人だったんだ。


 「お父様も宇宙軍で働いていたんですか?」

 「そうだよ。そして父は宇宙軍創設に関わっている人なんだ。最初の防衛戦にも参加して生き残っていたんだよ」

 そんなすごい人なんだ……

 「まあでも私が17のときに飛行機の墜落で父も母も亡くなってしまったがね」

 「そうですか……」

 「いや、なんかごめんね。でも、父と同じ場所で働けて僕は嬉しいよ。それでネリネの副長はどんな感じだ?」

 「副長についても艦長と知り合いですし連携についても問題なさそうです」

 「あかねちゃんはしっかりしているから問題ないだろう。宗光くんと3人で仲が良かったし」

 「そうなんですね。では次に操舵手についてですが、少し荒っぽいところがありますがそれ以外は問題ないですね」


 「そうか。どんな無茶するんだろうな?」

 「私達もさんざんしたくせに」

 「まあな」

 「そうなんですか?」

 「ああ。博己と一緒に1隻で敵に突っ込んでいくぐらいの無茶はしていたよ」

 「よく生きれましたね……」

 バリアなんてない時代に……

 「避ければ当たらん」

 「えぇ……」

 「操舵手なんか半泣きだったしな」

 「私達は笑ってみていたがな」


 「操舵手の担当の人が可愛そうです」

 「だろうな。もう一緒の船に乗りたくねぇ、って散々その後も愚痴られたよ。すまん、続けてくれ」

 「はい。機関長については機関班と一緒に研修をしており、みんなをうまく引っ張っているようです。砲術長についても新しいシステムを上手く使いこなせているそうです」


 「そうか。新しいものだからちょっと怖いが問題はないのか」

 「そうですね。あと、レーダー士兼システムエンジニアはシステムマンのこと一緒に練習していますが、技量についてはまったく問題ないです」

 「琴丘広海か」

 「はい。しかし、コミュニケーションをあまりとらないので、そこが……」

 「それは優木が何とかしてくれるだろう」



 「あの子が入ってきたんですね」

 「そうだな。いよいよか……」

 「最後に通信士についてですが、通信やオペレーターとしては問題がなく、他の人達の手伝いができるように教えているところです」

 「そうか。ということはもうほとんど問題はないのか」

 「はい。なのでもう少ししたら艦橋班はメンバーで集まって模擬戦をしたいと思います」

 「そうだな。聞いた限りだと飛行班以外は特に問題がなさそうだな。黒矢はどう思う?」

 「私も問題はないと思うよ」

 「じゃあそのまま進めてくれ」

 「分かりました。それでは」

 「ああ、報告ありがとう」

 「失礼します」




 「……2人共同時に入ってきて、宇宙へ行くとはな」

 「まさかそんなことになるとは思わなかったよ。でも何となくそんなことになるとは思っていたけれどもね」

 「ひまりさんやあっちの親には伝えたのか?」

 「ああ。どちらにも伝えてある。あっちの家の人は興味なさそうだったがな。おばあさんにも言ってあるが、あの子を頼むと言われたよ」

 「これから地球は変わるかな?」

 「ここまで来ればそうなるだろうね」

 「黒矢。引き続き注意していて見ていてくれ。あと私の息子のことも頼む」

 「頑張るよ。……でもただでさえ私は昔にあの子達を見捨てたんだぞ?」

 「あの時は私にも発言権がそれほどなかったから止められなかったせいだ。黒矢のせいではない。それにまだ見つかってないんだろう?……DP-106ネリネとDP-107エーデルワイスの残骸は」

 「ああ。まだ生きているとしたらどこへ行ったのか」

 「さあな。そこまで簡単に死にそうな連中ではないがな」

 「違いない」


宇宙軍司令室は宇宙にあるそうで


人物紹介もちょっと変更しました‼

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