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9.黒川の異変

 昨日の出来事と彼女の夢を見たこともあったが俺と黒川の関係性に変化はなかった。彼女は当初の予定通り俺に関わるつもりはないようだ。でもさぁ、あんな寂しそうな表情されたり、夢であったら意識しちゃうよな。今は体育の授業という事もあり、それとなく、バレーをしている黒川を目で追いかけていると、中村がにやにやとからかうようにいってきた。



「また、黒川さんみてるねー、セクハラで捕まるよ」

「いや、そっちよりも、吉田さんをみてるぞ。あのおっぱいで高校生は無理でしょ」

「ああ、以前告ってフラれてたもんねぇ……確かにあれはやばいね、目の毒だよ」

「うっせー、だって目とかよくあったし、消しゴム落としてた時も拾ってくれたんだぜ」

「ああ、わかる、それは惚れるね、こっちに気があると思っても仕方ないよ」

「だろ。お、あのスパイクやべえな。おっぱいバレーじゃん」

「あ?」

「「すいませんでしたー」」



 女の子こわ!! 周りの女子の視線が一瞬でこっちに殺意をみせてきたぜ。ちなみに黒川は我関せずという感じでこちらに視線も向けずにボールをトスをしようとして失敗したようだ。珍しいな、あいつ運動も結構とくいなはずなんだが……



「妻田はそういう風に何も考えないで思ったことを言わなければ少しはモテると思うよ。僕まで怒られたじゃないか」

「でも、俺がモテたら悲しいだろ」

「そうだね……最近周りにカップル増えたよね……君にまで彼女ができそうになったら僕がブルータスになってやる」

「裏切る気満々じゃねーかよ」



 俺達が雑談をしていると試合が終わったようだ。活躍していたバレー部のエースの赤坂さんが彼氏に褒めてもらってにやけている。くっそがリア充爆発しろ!!

 俺がふと出口に目をやると黒川がふらふらとしながら歩いていた。体調でも悪いんだろうか。



「ごめん、ちょっと俺の分も片づけやっといてくれない」

「え? ああ、そういう事かぁ。いいよ。ラブコメのかませ犬みたい無様にフラれるといいよ」



 何を勘違いしたのか、にやにやと笑ってきやがる。俺は「うっせー」と吐き捨てて黒川を追いかけるのであった。



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