5.みんなとの帰宅
教室を出た俺は黒川とタイミングをずらして外へと出る。まあ、こんなところに用があるやつはそうそういないだろうが念のためというやつだ。変な噂がたったら黒川に申し訳ないしな。俺が教室に戻ると中村が暇そうにスマホをいじっていた。
「学校でエッチな写真を見てると怒られるぞー」
「何言ってるのさ、妻田じゃないんだからそんなことしないよ。それで黒川さんは何だったの? 愛の告白……はありえないね。ストーカーがばれたとか?」
「確かに愛の告白じゃないけど、俺の中のお前のイメージは何なんだよ!?」
普段の俺の言動ってそんなにやばいのか。ちょっとショックである。まあ、でもストーカーから始まるラブコメも悪くは……いや、普通に捕まるな……
「へぇー、翔先輩は黒川先輩をストーカーして説教されたんですか? だから、朝あの人はやめておけっていったじゃないですか!! 初期装備でラスボスに挑むようなものですよ!!」
「なんでナチュラルにいるんだよ。ここは二年生の教室だぞ!!むしろお前の方がストーカーだろ!!」
「失礼な!! むしろ翔先輩は私のような可愛い後輩にストーカーされたら嬉しいんじゃないですか?」
そう言って意地の悪い笑みを浮かべながら教室に入ってきたのは五月雨である。美人な黒川と話すときはちょっと緊張したが、こいつを見ると実家のような安心感があるな。
「あー、はいはい、嬉しい嬉しい」
「頭ポンポンしないでください!! セットした髪形が乱れるじゃないですか!!」
「ラブコメだと好感度あがるのにキレられた!?」
「当たり前ですよ……現実とフィクションは違うんですよ。翔先輩だって、実際ツンデレみたいな事されたらイラっとすると思いますよ」
「わからないぞ、実際やってみてよ」
「仕方ないですね……どうしよっかな。特別に翔先輩が好きそうなセリフにしてあげましょう」
俺の言葉に五月雨は何やら悩んでいる。こういう風にノリがあう所はやはり付き合いの長さだろう。彼女は鞄から何かを取り出して、俺に渡した。お、クッキーじゃん。
「今日焼いてきたのよ、別にあんたのためじゃないんだからね」
「おお、なんかいい感じじゃん。どう見ても市販だけど」
「その……味はどうかしら、気に入ってくれると嬉しいんだけど……」
「くっそ、五月雨相手に萌えてしまった」
「想定外にちょろかった!?」
ちょっと恥ずかしそうな顔をしてツンツンのするのいいな!! 五月雨相手なのに少し可愛く見えてしまった。俺は正気に戻るためにもクッキーに口をつける。なんだこれ、パサパサなんだが……
「あ、それ、実は机の中に入れっぱなしで今日捨てる予定だったんです、食べないほうがいいですよ」
「このクソガキがぁぁぁぁぁぁぁぁ!! 食う前に言えよぉぉぉぉぉぉ」
「でも、あなたにどうしてもクッキー食べて欲しかったから黙っていたわけじゃないんだからね!! 今のも萌えました?」
「うっせえわ!!」
俺が食べかけのクッキーをゴミ箱に投げつけて五月雨にお仕置きをしてやろうとすると、中村があきれたように仲裁に入る。このガキお前の後ろで舌だしてんだけど!!
「まあまあ、くだらない話をしてないで早く行こうよ。遊ぶ時間なくなっちゃうよ」
「そうだな、ボコしてやるよ!! この借りはゲームで返す!!」
「いいですよー。もちろん罰ゲームありですからね。負けた人はアイスをおごりです。どうです?」
「いいぜ、その話乗った!!」
「二人とも子供だなぁ、まあ、僕が負けるはずがないからね。いいよ」
ゲームが得意な中村が余裕の笑みを浮かべて言った。あいつは気づいていないのだ。俺と五月雨がこっそりと目くばせをしていた事を……
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