47.新しい友達
翌日の昼休み、俺と聖がいつもご飯を食べている特別教室には俺達の他にもう一つの人影があった。正確に言うと扉の前で何やら迷っているようだ。「ここは普通なテンションで入るべきかな……それとも申し訳なさそうにした方が……」などとぶつぶつとつぶやいている彼女に声をかける。
「なーにやってんだよ、五月雨」
「ひゃあ!! セクハラで訴えますよ、翔先輩!!」
「いいから、入れって。昼休みは限られているんだからさ」
「まだ、心の準備がー」
俺は抵抗する五月雨の腕をとり、強引に教室に引っ張る。
あの日の後、聖に謝りたいという五月雨から連絡がきたので昼休みに一緒に食事を取る事にしたのだ。聖の方も五月雨にいいたいことがあるそうなのでちょうどいい。
「あらあら、翔君。そんな風に女の子を乱暴にするのはラブコメの悪役みたいよ。気を付けなさいな」
「五月雨に関してはラブコメの治外法権なんだよ。それよりも、言いたいことがあるってさ」
「そう……なにかしら」
騒いでいる俺達に気づいた聖が声をかけてくる。その目は咎める様子はなくどこか微笑ましい目をしていた。俺が五月雨を前に押しやるとようやく口を開いた。
「その……黒川先輩その説は申し訳ありませんでした」
「別に気にしていないわ。サキュバスって聞いたら警戒するのが当たり前ですもの。だけど、もしもあなたが気にしないのならだけれど……」
五月雨と向き合いながら、緊張した面持ちで何かを言おうとしている聖と目が合った。仕方ないな。やはりここはラブコメのヒロインを助ける主人公のように手助けをしよう。
「聖、勇気だせって」
「わかってるわよ……その……中村さん良かったら私と友達になってくれないかしら」
「え、いいんですか? 私今回の件ですごい迷惑をかけちゃったのに……」
「気にしてないっていってるでしょう、私だってサキュバスの血を引いているけど大丈夫かしら」
「大丈夫ですよ!! 私の周りにはバカの血を引いているやつが二人いますし、サキュバスの血くらいだったら気にならないです。私も……黒川先輩と色々お話してみたかったんです」
聖が緊張しがちに言うと一瞬驚いた顔をした五月雨だったがすぐに笑顔で答えた。良かった……しかし、バカの血っていうのは中村と俺の事なんだろうが、中村が引いているっていうことは五月雨も引いているって事なんだけどわかっているだろうか。
「その……よかったらなんだけど二人の分も作ってきたからお弁当を食べてくれないかしら?」
「え、いいんですか!? すごい美味しそうです」
「おお、ありがとう」
そうして俺達は三人の時間を過ごすのであった。
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