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39.決戦 聖VS五月雨

 俺と聖は一緒に目的地へと向かっていた。さっきあんなことがあったのにって感じだがこれには理由がある。俺のスマホに五月雨から連絡が来たのである。



『二人で屋上にきてください、話したいことがあります』



 このラインを見た俺達は五月雨の誘いに乗ることにしたのだ。まあ、聖がサキュバスだなんて話は正直だれも信じる奴はいないと思うけど念のためだ。それに五月雨も大事な友人の妹であり、友達でもあるのだ。ちゃんと話し合っておきたかった。てか、そもそもなんで俺が彼女欲しいからサキュバス召喚しただけなのにラノベの最終決戦みたいになってるの? おかしくない? 俺が求めているのはラブコメであってファンタジーではないのだが……



「でもさ、聖がサキュバスだってばらさなくてもよかったんじゃないか、俺が土下座をして抱き着かせてくれとでもいっておけば……」

「それじゃあ、あの子の中での評価が最低になるでしょう? でも、やはり、デートとかお弁当とかはただのお友達にしてはやりすぎちゃったのかしらね……」

「いや、元からあいつの俺に対する評価って最低に近いと思うが……でも、これは元々俺がサキュバスを召喚したからだろ。それにさ、俺もラブコメだーって言って楽しんでたしな……」



 そのせいで五月雨に余計な心配をさせてしまった。確かに俺と聖の距離感はただの異性の友人にしては近すぎたのかもしれない。もてない男と高嶺の花の組み合わせはラブコメにならよくあるものだ。だけど、現実では五月雨が勘違いしたように俺が聖にもてあそばれているように見えてしまったのだろ。もちろん、他人に言われるのなら鼻で笑って流せばいいと思う。だけど本気で親しい奴に心配されるとなると別だ。よく考えたら、最近五月雨の様子はおかしかった。俺の事を心配してくれていたのかもしれない。



「私達距離を取ったほうがいいかしらね……」

「それは嫌だな……確かにさ、俺達の距離感はおかしかったかもしれないけどさ、元々俺達の関係がはじまったきっかけだっておかしかったからいいんじゃないか。それに俺は聖とラブコメみたいにしてるのすごい楽しかったんだ。聖はちがうのか……」

「そんなの……私だって楽しかったに決まってるじゃないの、バカ」



 そう言って彼女は嬉しそうに笑う。まったく、こいつは優しすぎるんだよ。俺に対してぶちぎれてもいいっていうのにさ……まあ、五月雨も誠心誠意説得すればなんとかなるだろう。いざとなれば俺のせいにすればいい。そう思ったのは扉を開けるまでの話だった。



「なんじゃこりゃーー、邪教の儀式か!?」

「これは……へぇー、この短期間でちゃんと準備したわね」



 なんに感心してるんだ。聖は……俺が見たのは円をえがくように等間隔に置かれている白い液体の入ったコップとその中央に立っている五月雨だった。しかも首には十字架のネックレスをかけてなんか透明の液体が入ったコップを持っている。いや、まじでなにやってんの?



「待ってましたよ、翔先輩。私があなたをサキュバスから救ってあげます」

「え、いや、まじでこれなんなの?」

「あなた、私を召喚したくせに何もしらないのね……白い液体はその……男性のあれと似ているから、サキュバスが間違えて持ってかえるといわれているの。ようはサキュバス避けよ。彼女の持っている十字架はよくある魔よけね。こっちは映画とかでもみたことあるでしょう」

「あれって、何か詳しく……冗談です。ごめんなさい。だからそんな殺人鬼みたいな目で見ないで……」



 隣の聖は少し感心したように囁いた。へえーそんなのがあったのか、だから召喚の儀式にも牛乳を準備しておけってあったんだな。でもさ、ひとつ気になることがある。



「なあ、五月雨お前こんなのどうやって準備したんだ?」

「ああ、これは如月先輩に相談したら嬉々とした表情で説明してくれて準備まで手伝ってくれましたよ」

「あいつかよぉぉぉぉぉぉ!!!」



 如月というのは俺の友人であり、サキュバス召喚を教えてくれた男だ。根っからの厨二病でこういうことには無茶苦茶詳しいのである。どうでもいいが、最近彼女ができたらしいまじで死ねばいいのに。



「先輩私の聖水で浄化して上げますから避けないでくださいね」

「お、なんか女子高生が私の聖水とかいうとなんかテンションあがるな」

「翔君……あなた最低ね……」

「く……翔先輩がサキュバスのせいで変態に!!」

「いえ、これはこの男の素よ、私にそんな能力はないわ」

「いいから喰らえーー!!」

「うお、まじかよ!!」



 声と同時に、五月雨がコップに入っている液体をこっちにむけてぶちまけてきやがった。しょせん水だが、こういう時は男がかばうものだろ。これで好感度アップだぜ。



「これぞ水も滴るいい男……ぎゃぁぁぁぁぁぁ、目がぁぁぁぁ!!」

「如月先輩からいただいたのはただの水じゃないですよ、清めの塩が入った神聖なる聖水です!! サキュバスの魅了にかかった先輩にも効果があったようですね」

「塩水って目に入ったら普通にいてえんだよぉぉぉぉ!! くっそが、如月のやつ今度会ったら絶対ぶっ殺してやるぅぅぅぅ、まじでいてぇぇぇぇぇぇ」

「大丈夫? 無茶苦茶痛そうね……」



 俺がもだえながらも目を開くと、見えたはのは少し羨ましそうな顔をして俺と五月雨をみていた聖だった。彼女は微笑みをうかべながら、床に置いてある牛乳の入ったコップを手に取りその中身を飲むところだった。彼女ののどがごくりごくりと動く。いきなりの行動に俺も五月雨も混乱したように動きを止める。



「うふふ、これで満足したわ……この男はあきらめましょう。童貞臭いし」



 くっそ棒読みでそう言った彼女は俺にウインクをして屋上から出て行った。ああ、これで俺が五月雨を説得しろってことね。でもさ、なんで呼吸をするように罵倒をするんだよ。などと思っているとすさまじい衝撃に襲われる。五月雨が抱き着いてきたのだ。



「おい、五月雨、お前も濡れるぞ。聖水で制服びちゃびちゃなんだから……」

「だって……翔先輩が黒川先輩にとりつかれていると思って……このままだったらどうしようって思って……私……私……」

「お前、俺の事をどんだけ心配していたんだよ、ありがとう……」

「だってl サキュバスは男の人を魅了して色々と搾り取って殺しちゃうんですよ、心配しますよ!! でも、よかったぁぁぁ。これで先輩がサキュバスに殺されることは無くなったんですね」



 俺はしばらく、俺の胸元で泣いている五月雨の頭を撫でるのであった。罪悪感が半端ないんだけど……




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