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4.委員長と話しあい

 彼女についていくとそこは特別教室だった。もちろん会話はない。いや俺は話そうとしたんだけど、無表情に「後で話しましょう」って何回もいわれると心折れるよな。なんかRPGの村人と話してる気分になったんだけど……



「ここなら邪魔は入らないはずよ。要件はわかっているわね」

「ああ、昨日のはやっぱり夢じゃなかったんだな」

「ええ、不快なことにあなたに私は召喚されてしまったようね……」

「そして、俺と秘密の共有をしたいと……わかるぜ、黒川、特殊な能力を持っていて他人に言えないってしんどいよな。そういう展開はエロゲは何作も知ってるから安心して相談してくれ!!」

「人の血筋をエロゲみたいって言わないで欲しいんだけど……」



 彼女はそういうと不服そうに唇を尖らす。その顔がいつもの無表情な黒川とは違って感情が見え、ふと嬉しくなって笑みがこぼれる。するとなにか勘違いされたらしくこちらをにらんでくる。俺はごまかすためにとっさに話題をふる。



「そういえば昨日のあの服なんだが……黒川って普段ああいう寝間着なのか? 他人の趣味をどうこういいたくはないけれど考えたほうがいいと思うぞ」

「そんなわけないでしょ!! 召喚されると強制的にあんなSMみたいな服になるのよ!! あれが普段着だったら変態じゃないの!!」



 バットコミュニケーション!! 黒川は俺の言葉に少し顔を真っ赤にして怒鳴られた。よかった……さすがにあれが私服だったら正気を疑ったところだった。そして、彼女の言葉から召喚という単語を聞いて目の前の少女は本当に普通の人間ではないのだなという事を改めて実感した。陶器のように白い肌、無表情だが美しい顔はそう言われると確かに人間離れしている気がする。



「まずは一つ忠告よ。私がサキュバスって言う事は他の人には黙っててほしいの。さもなくばあなたが大変なことになるわ」

「へぇー、どうなるんだ? まさか他のサキュバスに襲われるとか?」

「いえ、多分あなた痛い人だって思われるわよ。マジで……」

「ああ、そうだな……」



 俺の挑発するような言葉に彼女はちょっと気まずそうにいった。確かに正気を疑われそうだ。真面目な黒川がサキュバスなんだぜーとかいったらやばいやつ扱いされそうである。



「それとあなたは契約についてどれだけ知ってるのかしら? 魔印はあるみたいだけど」

「魔印ってなんだ?」

「あなたが授業中に触っていたやつよ。あれ、私とリンクしていて、あなたが触るとこっちもくすぐったいんだからうかつにさわらないでよね」



 あの変な入れ墨か……俺がつい触ろうとするとすさまじい殺気を感じてたので視線を上げると黒川がすさまじい目でこちらを睨みつけていた。俺はあわてて苦笑いしてごまかす。



「どうやら何も知らないようね……サキュバスを召喚したものはね、サキュバスと主従関係を争うのよ。一か月の間にあなたがサキュバスである私に手をだしたら負け。サキュバスに負けたものは一生私の奴隷になってしまうの。仮にもクラスメイトにそんなことにはなってほしくはないもの。だから、あなたは私に絶対手を出さないようにしなさい。私の方からはあなたを誘惑しないし、変な夢もみせないから安心しなさい」

「え、召喚ってそんな条件があるのかよ!!」

「当たり前でしょう……なんのリスクもなく悪魔と契約何てできるはずないでしょう……」



 驚愕の事実である。そんなこと書いてなかったんだが……ただ、エッチなサキュバスとイチャイチャできると思っていたのに……俺が呆然としていると黒川はあきれたようにいう。確かに漫画とかでも悪魔とかと契約した奴は悲惨な末路になる気がする。死神と契約したノートの人も最後はやばかったもんな……でも、気になったことがあったのを聞く。



「でもさ、それだとサキュバスの方が有利過ぎない? だって夢を操れるんだろ? 毎回サキュバスが夢に出てきたらすぐにエッチな気持ちになるぞ。そんな状態でせまられた俺は多分我慢できないと思う」

「妻田君は単純だものね……でも、男ってそんなものよね。だから魔印があるのよ。魔印を持つ者はサキュバスの能力に対して耐性を持つことが出来るわ。軽く触れただけでは精気を奪われなくなるし、何よりもサキュバスに絶対的な命令を聞かせることができるの。ただし三回だけだし、それを使い切ったら人間は負けるわ。それこそ、あなたが言ったように、無理やり性に溺れさせればいいんですもの」

「普段真面目な黒川が性とかいうのなんかえっちだな」

「私はあなたのために真面目な話をしてるんだけど……」



 俺の思わずぼやいた言葉に彼女はあきれたようにいった。てかこれって某アーサー王が登場するゲームのパクりじゃ……



「ちなみにFateの令呪みたいなものよ。あなたの場合そう説明したほうが分かりやすいでしょう?」

「俺はぼかしてたのに!!」

「あなたの考える事なんてお見通しってことよ。それに昔から願い事は千夜一夜物語などでもあるように三つというのがお約束なのよ」


 

 彼女の言葉に俺は考える。つまり、俺の夢見ていたサキュバス同級生との秘密のいちゃらぶ計画は頓挫したということだろう。黒川に惚れても、エッチな事をしようとしても死ぬみたいだしな。でも、彼女の方も俺を危害を加える気はないようだ。むしろ心配をしてくれてさえいる気がする。だったら今回の事はお互い不幸な事故として割り切るべきなのだろうか?

 


「そうだな。でも、それなら、俺達はあまり接触しないほうがいいのか? 今回はお互い事故みたいなもので、黒川だって俺の身を案じてくれているみたいだし……」

「……そうね、そうしましょう。今まで通り、普通のクラスメイトとして接したほうがいいでしょうね。あと勘違いしないで。私はただ自分の力で他人が不幸になってほしくないだけよ。あなたのためじゃないわ」

「あ、今のツンデレっぽくていいな」

「私は真面目にあなたの命の心配をしているのだけれど……」



 彼女は一瞬間をあけてうなずいた。その表情が少し辛そうで俺は少し引っかかる。しかし、今まで通りでいようか……ラブコメの様なことがおきてもやはりラブコメのようにはいかないらしいな。

 まあ、サキュバス召喚して、ちょっと惹かれていた黒川と話すことができて俺は少し嬉しかったので、無駄ではないのだろう。



「そろそろいきましょうか、中村くんが待ってるんでしょう?」

「そうだな、こうして話せてよかったよ。今まであんまり話したことなかったけどさ、黒川って優しいよな。さっきから俺の心配ばかりしてくれてるよな」

「そんな風にいきなり褒めても、私の好感度は上がらないわよ、それに私は自分の力で誰かが不幸になるのを見たくないだけなの。勘違いしないで欲しいわね」

「でもさ、召喚の件でなんかあったら教えてくれよ。俺のせいで黒川に迷惑をかけちゃったみたいだし……」

「へぇー、あなた、私がサキュバスって知っても心配してくれるのね……てっきり、ハレンチなお願いをしてくるものだと思ったわ」

「俺の評価ーー!! 俺はラブコメみたいな青春がしたいだけであって無理やりとかしたいわけじゃねえよ。サキュバス召喚だってエッチな事よりも、彼女が欲しいからしただけだしな」

「フフ、その熱意をまともな方向に向ければちゃんとモテるとは思うわよ」



 そう言って楽しそうに笑う黒川の笑顔は普段の無表情とのギャップもあってか、とても可愛らしく、俺は一瞬見惚れてしまった。



「黒川って笑うと可愛いんだな」

「知ってるかしら? 対して親しくもない相手にそういうことを言うとセクハラで訴えられるわよ」

「褒めたのに辛辣!! くっそ、ラブコメだったら好感度があがるはずなのにむしろ下がった!?」

「実際ラブコメっぽい言動をされても女子としては困るわよ。あれはフィクションだしね。だけど……まあ、そんな真剣な顔で言われたら悪い気はしないわね、ありがとう、妻田君」



 俺の言葉に彼女は無表情に答えた。だけどその口元が少しほほ笑んでいるのは気のせいだっただろうか。



今日はあと一回更新します。

みなさまのおかげでランキングに乗れました。ありがとうございます。もっと上位になれたらいいなとおもうので頑張ります。


あと今回の魔印は作中でも言ってますがフェイトの令呪ですねww


続きが気になるなって思ったらブクマや評価、感想いただけると嬉しいです。

特に評価ポイントは、『小説家になろう』のランキングシステムにおいてはかなり重要視されるんですよね。









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