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28.夢

 ああ、これは夢だなとわかる。これは二回目の感覚だ。そして、ここは……俺が通っていた中学だ。俺のクラスとは違う教室だが、見覚えある同級生がちらほらといる。そして、その中に黒川もまたいた。女子達と話しているようだ。今より無表情ではないが、どこか距離を置こうとしているそんな微妙な表情で話している。彼女とは同じクラスになった事はなかったが、男嫌いでクールで綺麗な女の子がいると聞いたことはある。今ではそんな黒川と友達になっているのだ。世の中わからないものである。



「また、あなたの夢を見るなんてね……カラオケで色々話しちゃったせいかしらね」

「黒川か!?」



 俺は背後からの声に思わず飛び跳ねた。黒川は最初に召喚したときと同じラバースーツのような衣装を着ている。やっばいなこれやっばいなこれ!! 最初の時は暗い事もあって、良く見えなかったが、白い肌と黒いラバースーツのコントラストがやばいし、なによりささやかだが谷間が見えて童貞に刺激が強すぎる……この格好で真面目な委員長とか無理ですよ。



「ハレンチ……全部声に出てるわよ」

「いや、しかたなくないか? ああーー!!」



 ピンクの煙がでると彼女の服装が中学の時の制服に代わってしまった。俺は悲しさのあまりつい情けない声をだしてしまう。どうでもいいが俺も中学の時の制服である。



「やっぱり夢の中とはいえ妻田君にこの格好を見られるのは恥ずかしいわね……話を聞いてくれたお礼にとおもってやってみたけどけど死にたくなるわね。リアルではもう絶対みせないんだから」

「心配するなよ、黒川はどんな格好していても似合うぜ」

「そんなラブコメみたいなこと言われても絶対着ないわよ……」



 そう言って顔を真っ赤にして、彼女はぶつぶつと何かつぶやいている。まさか、こいつ俺がこっちの服も見たがってたから見せようと考えてくれていたのか? 思った以上に恥ずかしかったようで現実ではみせてはくれないみたいだけれど、考えてくれたことが嬉しい。



「このあたりかしらね、私が他人と距離を取るようになったのは……私に話しかけている女の子がいるでしょう。私の友達なんだけど、彼女ね、私に告白してきた先輩の幼馴染で、先輩の事がずっと好きだったみたいなの。だから、なんで先輩を振ったの、私に気を遣ってるの? 私だったら気にしてないから大丈夫だよ』って言ってくれたの。すごくいい子でね、つらいはずなのに私に気を遣ってくれたの。その時私は思ってしまったの。そんないい子より、私みたいな女の子を選ぶなんておかしい、もしかしたら私のサキュバスの力が発動していたんではないだろうかってね。だいたい私は先輩の事なんて別に好きじゃなかったし、部活で話したくらいだったしね」



 そういって黒川は苦笑した。その表情にはさまざまのものが含まれていて、俺は必死に言葉を探す。だってさ、黒川が悪くないのにこんな顔をするのはおかしいだろ? こんないいやつなのに苦しむなんておかしいんだよ。



「そんなことないよ、俺はその女友達の事を知らないけど、黒川は魅力的だよ。美人だし、真面目かと思いきや結構ノリがいい。料理も上手で、おまけにエッチな事にも実は許容がある。そんな魅力的な女の子なんだ。少しでも話せば惚れる奴がいても無理はないだろう」

「妻田君……ありがとう……だけど、私はエッチじゃないわよ」



 黒川は一瞬目を見開いて俺の言葉を噛み締めるようにしてから彼女は一瞬だけ嬉しそうにはにかんだ後に睨んでくる。だけど、彼女に向けた言葉は俺の本音だ。サキュバスという契約がなければ俺のような男はほいほいと黒川の魅力にやられていただろう。今彼女を恋愛対象としてみないようにしているのは召喚儀式で負けないようにするためと、彼女が俺を友達と思ってくれているからだ。



「私ね……あなたに昔の事を話して本当に良かったと思ってるわ。だから今度はあなたの事も色々教えてね」

「ああ、俺も黒川の事を色々知れてよかったと思ってるよ」



 俺の言葉に彼女は満面の笑みを浮かべてそして「ありがとう」と呟いた気がする。意識がハッキリしてくるにつれてどんどん世界がぼやけてくる。

 ジリリリというスマホのアラームと同時に俺は目を覚ました。夢だったようだ。だけどやけにリアリティのある夢だった。サキュバスは夢をみせるらしい。だったらもしも……彼女が今日二人の時に聞いてきたらそれは彼女と俺の夢がリンクしているとなるのだろうか



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