3.学校で委員長に呼び出される
あの後俺は五月雨と別れて、教室へと向かった。予鈴がもう少しで鳴るという事もあり教室はクラスメイト達でいっぱいだ。昨夜のことがあったからかつい黒川を気にしてしまう。それなのに、黒川のやつは普通なんだよなぁ……今朝すれ違った時もいつも通りだったし、教室でも特に変わりはない。俺の方はちょいちょい見てしまっているが彼女がこちらを見る事はなかった。
「妻田、どうしたんだい、さっきから黒川さんの事ばかり見てるけど……あ、もしかして好きになったの? ドンマイ、フラれたね」
「俺まだ何も言ってないのになんでふられるのが確定しているんだよ! 俺はラブコメやエロゲを参考にして常にレベル上げをしてるんだぞ」
「むしろそのせいで引かれてるってなんで気づかないかなぁ……」
友人の中村の言葉に俺はつっこみをいれる。彼の名前は中村光と言い我が親友であり、今朝絡んできた五月雨の兄でもある。彼はにやにやと笑いながら俺に言った。
「でもさ、あの黒川さんだよ。確かに美人だけど、男子には塩対応だし、何より真面目だから妻田とは相性が悪いと思うんだけど……」
「まあ、否定はしないが……でもさ、高嶺の花ってラブコメヒロインの鉄板だぜ。ああいう子にはたいてい誰にも言えない秘密があるのさ」
「まあ、そういうのはありがちなパターンだけれど……君はラブコメの主人公って言うよりも、主人公が秘密を知るための踏み台になるようなかませ犬みたいな性格をしてるからなぁ……まあ、夢は寝てから言った方がいいよ。君は僕と一緒に灰色の学園生活を過ごすのさ」
中村は俺の言葉を鼻で笑いやがった。ちなみに俺は不良というわけではない、ただ不真面目なだけである。まあ、勉強とかはさぼっているわけではないから成績はそこそこいい。
それに比べて黒川は学級委員をやってるくらい真面目だし、成績も優秀である。そして何よりも異性には塩対応で、エロい事は苦手そうだ。そんな黒川は今も真面目な委員長としてクラスメイトを注意していた。
「安心院君、学校にハレンチなDVDを持ってくるのはどうかと思うわ。これは先生に没収してもらうわねまったく汚らわしい。学校をなんだと思っているのかしら」
「まってくれ、黒川……これは俺のモテない哀れな友人に渡すものなんだ。この『サキュバス育成計画』だけは……モテない哀れな友人のためなんだよ。ああ、でも、冷たい目で見られるて罵られるのはちょっと癖になるな」
「サキュバス……ね……とにかく、これは没収します」
まじかよ、俺が頼んでたやつじゃん。なんとかしてやりたいのだが……俺は非力だ。何よりも女子の目線が痛すぎる。そして、無情にもチャイムがなって、俺の借りるはずだったエロDVDは黒川の手へと没収されてしまった。サキュバスとつぶやいた時に黒川が何か耐えるような顔をしたのは気のせいだっただろうか?
そして、担任の猿山先生がやってきて、朝のホームルームが始まった。猿山先生の裸を見ると今日見た夢を思い出してしまいすごいげんなりとするのであった。俺もいつの日かあんなにけむくじゃらになるんだろうか? そんな事を思いながら俺はなんとなく今朝できていた入れ墨を触る
「きゃっ」
すると猿山先生の指示で連絡事項を発表していた黒川が可愛らしい悲鳴が上げた。俺が不思議そうに見つめると、彼女は顔を真っ赤にしてなぜか俺を睨みつけていた。その反応が気になりついもう一度触ってみる。彼女は机にしがみつくながら悶えていた。おお、ちょっとエロイな!! などと思っていると彼女と目がって一言口パクで言った。
『殺すわよ』
「ひぇ!!」
「何騒いでんだ。妻田!!」
恐怖のあまり出た悲鳴が思った以上に響いて先生に怒られてしまった。結局この後俺は先生にたっぷりと叱られるのであった。
あの後俺は定期的に黒川に監視するような視線を向けられたこともあって、入れ墨に触れる事もなく、何事もなく放課後になった。
「今朝は災難だったねー、今日はうちくる? マリカーやろうよ」
「いいな、赤甲羅ぶつけまくってやるからな」
「ごめんなさい、ちょっといいかしら」
俺と中村が帰宅の準備をしながら話していると背後から声をかけられた。まさかと思って振り返るとそこには黒川がいつものように無表情で立っていた。
「妻田君少し話があるんだけど付き合ってくれないかしら」
「ああ、いいけど……」
「あれ、妻田と黒川さん仲いいんだっけ?」
「いえ、仲は別によくないわ。ちょっと用事があるだけよ。中村くんごめんなさいね」
そう言う黒川に俺はついていくことしかできなかった。おそらくサキュバス関連だろう。でも、まさかいきなり殺されるとかはないよな……などとさっきの言葉を思い出しながら歩くのであった。
今日の更新はこれで終わりです。
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