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28.黒川のお母さん

 あの後カラオケで少し歌った俺達は帰路についていた。黒川は切ないラブソングが好きなようで、聞いていて中々心地よく楽しい時間を過ごせたと思う。あ、でも、切ない系が多いって言う事は遠回しに俺とはそういう関係にはならないわよってことだったりするのだろうか? まあ、友達同士だしな。



「あー、楽しかった。久々に人前で歌っちゃった。でも、わざわざ送ってくれなくていいのよ。まだそんなに暗いってわけじゃないし」

「いや、女の子が一人で歩いていたら危ないだろ。どうせ通り道だしな」

「ああ、それも……」

「そうだよ、ラブコメを参考にしてるぞ!! でも、一緒に帰りたいってのは俺の本音だよ!!」



 言ってからラブコメっぽいと思ってたら案の定突っ込まれたので、先回りをする。そんな俺を見て彼女はクスクスと楽しそうに笑っている。



「フフフ、私もあなたと一緒に帰りたかったからちょうどよかったわ。さしずめあなたは私の騎士様かしね」

「いや、マスターだろ」

「じゃあ、不審者が現れたらわたしを守ってね、マスター」



 普通マスターがサキュバスを守るのはおかしいんじゃないかって思ったが黒川が楽しそうなので特にふれないでおく。それに彼女がサキュバス系のネタに乗ってくれたのが嬉しかったのだ。だって、俺との関係を嫌だって思っていない事だからさ。



「そういえば、妻田君の好物は何かしら? 今日は昨日の晩御飯のあまりものをつめただけなんだど、たまにならお弁当のリクエストを受け付けてあげるわよ」

「え、マジ? これからももらえる上に好きなもん作ってくれるの? 黒川は神か!?」

「いいえ、サキュバスよ。好きなものっていっても、予算はあるから常識の範囲でよろしく頼むわね。ああ、でもメシマズ系の料理でも…」

「あら、聖ちゃんじゃないの」



 黒川が意地の悪い笑みを浮かべて、俺をからかおうとした瞬間だった。背後から女性に声をかけられた黒川が振り向いて、そのまま動きを止める。

 つられて、振り向くと黒髪ロングの美人なお姉さんが黒川を見てにやにやとしていた。その女性は黒川がそのまま成長したらこうなるであろうといった感じの綺麗な顔立ちの美女だ。ただし、二点だけ違うところがある。その女性は明るい笑顔を浮かべているのとその体の一部がとても大きいのだ。クラスの吉田さんを超えるかもしれない。黒川のお姉さんだろうか? その答えは黒川の口からすぐに出た。



「お母さん、なんでこんなところにいるのよ!?」

「なんでって、ここはうちの近所だし、コンビニくらいいくわよ」

「は? お母さん!? お姉さんじゃなくて!?」



 衝撃の事実に俺は思わず声を上げてしまった。その反応が嬉しかったのか、黒川さんのお母さんが満面の笑みで話しかけてくる。



「そうよ、聖ちゃんのお母さんでーす。もしかして、君が聖ちゃんの彼氏? お弁当は食べたかしら? この子ったらインターネットで何か調べてると思ったら男子が好きなおかずを検索して一生懸命作ってたのよ? いい子でしょう」

「あれ……今日のお弁当って晩御飯の残りじゃ……」

「ちょっとお母さん!! 余計な事を言わないで!! 彼はただの友達よ。それと妻田君、たまたま料理をしたくなっただけだから勘違いしないように!!」



 俺と黒川のお母さんの会話に顔を真っ赤にした聖が割り込んできた。てか、黒川のやつ俺のためにわざわざ一から作ってくれたのかよ。ちょっとキュンとしてしまった。落ち着け俺!! 惚れたら死ぬし、黒川だって悲しむんだぞ!!



「何をニヤニヤとしているのよ、妻田君!! 悪いけど私はここで帰るから、また明日学校で。ほら母さん行きましょう」

「あらあら、せっかく会ったし、聖ちゃんのお友達に挨拶だけでもしたかったのに……」



 そういうと黒川は抵抗する黒川のお母さんを無理やり引っ張っていく。今日は帰った方がよさそうだ。俺が微笑ましいものを見る気分で眺めていると、黒川のお母さんが口を開く。



「この子はちょっと変わったところもあるけど、仲良くしてあげてね。ああ、でも、もしかして変わった子だから仲良くなれたのかしらね?」

「いいから、早くいくわよ」



 黒川のお母さんの目が一瞬だけど、俺の思考を見透かす様な目で射抜いたのはきのせいだっただろうか? すぐさま満面の笑みを浮かべて軽い感じで「ばいばーい」といって手を振って黒川と一緒に帰っていった。そして、俺も帰ることにするのであった。


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