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27.カラオケ

 女子と二人でカラオケというのは緊張するものだ。だって、密室だぜ。やばくない? これがラブコメだったらラブソングでも歌って意識しあうとかあるんだが……



「せっかくだからなんか歌う?」

「いえ、歌わないけれど……」



 俺の誘いはばっさり切られました。ですよね。もちろん、俺も本気でカラオケをするつもりはない。少しでも緊張がほぐれたらなとおもっただけである。まあ、本当の用は彼女の話を聞くことだしな。黒川はというと、少し緊張した面持ちで俺の正面に座った。また、無表情に戻ってしまったようだ。



「五月雨から聞いたんだが、黒川が男子と距離をとったのって中学かららしいな。その時になんかあったのか?」

「ええ、そうよ。中村さんが入学する前の話よ。一年生の時に……その同じ部活の先輩に告白をされたのよ」

「まあ、中学生でも普通に告白とかあるよな……それで、その後、先輩と何かあったとか?」

「いいえ、断ったら、普通に話を聞いてくれてありがとうっていってすぐ引いてくれたわ」



 よかった……俺は心の中で安堵する。サキュバスの力が暴走して襲われかけたとかだったら、その先輩を殴りに行ってしまいそうだったからだ。じゃあ、どうしたんだろうか? 『てっきりサキュバスのせいで変な事になったのかと思っだが違うようだ。



「先輩とは確かに何もなかったけど、それを母に話したら私がサキュバスの血を引いているって言う事を聞いちゃってね……それで、サキュバスについて調べているとなんかずるいって思ったのよ」

「ずるい……か、男が怖いとかじゃなくて」

「ええ、そうよ。だって、みんながんばって好きな人を振りむかせようとしているのに、サキュバスは簡単に男性に好かれるのよ。そのせいで本来結ばれるはずの二人が結ばれないなんてなったらもうしわけないじゃないの。さっきだってもしも、力が発動して中村君が変になったのかもしれないの」

「黒川……中村を好きなやつはいないから安心していいぞ」

「そうかもしれないけど、そういう問題じゃないわ」



 俺の言葉に彼女は一瞬呆れた顔をした。わかってるさ、冗談に決まっている。彼女の表情が固くそして辛そうだったから和ませようとしただけだ。



「それに……もしも、私が人を好きになったとして、私の魅力じゃなくてサキュバスとしての魅力で惚れられたらずるいじゃないの。まあ、母曰くもう、血も薄れて今回みたいなイレギュラーがないかぎり大丈夫って言われるんだけどね。だけど、もしも力が発動したらと思うと私は……」



 そう言って笑う彼女はどこかあきらめた顔をした。その顔は今まで見た顔で一番大人びていたし綺麗だったけれどなんか気に喰わなかった。だいたいさ、こいつは優しすぎるんだよ。俺が同じ立場だったらハーレムを作ってやるかとかさ、自分の血をもっと恨むだろ。なのにさ、なんでこんなことを思えるんだよ。なんで他の人の事ばかり心配ばっかりするんだよ。



「黒川は優しいよな、でも優しすぎるよ。だいたい黒川は元々綺麗だし、サキュバスとか関係なく男性と話してりゃモテるだろ。それに、そのサキュバスの力も血が薄れていて、あるかないかくらいなんだろ? だったらそんなの個性だろ。それを言ったら元々くっそ可愛い子とかもずるいってなっちゃうだろうが!!」

「個性か……そんな風に言ってくれるなんてね……でも、私は……」

「でも、じゃねえよ。じゃあ、俺が証明してやるよ!! 黒川のサキュバスとしての力は大したことないってさ。要はこの一か月間俺がお前に惚れなければいいんだろ!! むしろ、俺が惚れされてやるよ。サキュバスを超えた男ってなんかかっこいいからな」

「あなた……馬鹿ね……だって、あなた今までがんばっても彼女ができたことないんでしょう? 私を惚れさせることができるかしら」

「そこはなんか俺の言葉に感動するとこじゃないのかよ!?」



 黒川の言葉に俺はちょっと悲しくなる。今いい事言ったと思うんだけど……それこそラブコメの主人公みたいなさ……へこんでいる俺だったが、黒川はそんな俺をみてちょっと嬉しそうに言った。



「でも……少し楽になったきがするわ」



 そういう彼女の表情は少し晴れ晴れとしていた気がした。よかった……だってさ、なんか悲しいじゃん。幼馴染がつらい思いをしてるなんてさ。別に本当に男嫌いとかならいいんだよ。でもさ、自分じゃどうしようもないことで我慢してるのはなんか違うと思うんだよな。



「あ、でも確かにあのエロい服装で黒川に迫られたらやばいかもしれないな」

「あなたね……せっかく人が感動してたって言うのに……そんなんだから彼女ができないのよ。だいたいあんなかっこう男友達にみせれるわけないじゃないの」

「どうしてもだめか?」

「……駄目よ」

「今一瞬考えなかった?」



 彼女はため息をつきながらリモコンに手をふれる。



「せっかくだし、歌いましょうか? せっかくカラオケきたし」

「ああ、俺の美声に惚れるがいい」

「妻田君……その……ありがとう、少し元気になったわ」



 小声で言った彼女の表情がすごい可愛らしくて俺はドキッとしてしまった。本当に一か月大丈夫かな? 自分で言っておいて少し不安になるのであった。 


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