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2.登校中に出会った委員長はいつもどおり素っ気ない

 何もない空間にベットだけがある。なぜだろう、直感でこれは夢だとわかった。先ほどのいきなりの眠気からしてこれは黒川のサキュバスとしての力なのかもしれない。サキュバスがみせる夢なのだ。それはきっとエッチな夢なはずで……

 俺は目の前にあるベットのふくらみを見て、つい先ほどの黒川を思い出す。柔らかくて、抱きしめているだけで幸せな気持ちになったものだ。彼女のぬくもりは俺の記憶に生々しく残っている。俺はゴクリと生唾を飲みこみながら声をかける。



「これ俺の夢だからいいんだよな? だって夢だもんな。黒川ダメだったら言ってね。すぐやめるから」

「いいよ……」



 くぐもった声で返事が返ってくる。まじかよぉぉぉぉぉ。夢の中だけど、夢みたいだ!! 俺がノリノリで布団をめくるとそこには毛むくじゃらのおっさんがいた。待って。なにこれ? え? ここは普通だと黒川じゃないの?

 俺がふとんをめくったまま固まっているとおっさんと目あった。あ、この人見覚えあるわ。この人は担任の猿山先生だ。2メートルある巨体に推定100キロオーバーの髭面の30歳独身婚活パーティー無勝の男じゃん。その猿山先生はこちらを見るとニタァと笑ってこちらにやってくる。



「え、ちょっと待って……? まじなんなのこれ? うっそでしょ」

「恥ずかしがるんじゃない。お前のすべては俺が受け止めてやろう」

「そういうんじゃねーーーー!! アッーーーーー!!」



 そうして猿山先生の唇が徐々に近づいてきて……





 俺は悲鳴を上げながら目が覚めた。危ない……人として大事な何かを失う所だった……なんだよ、あの夢は!? サキュバスってエッチな夢をみせてくれるんじゃないのかよ。悪夢じゃねえかよ。そうなると昨日のあれは夢だったのだろうか。放置されたままの魔法陣が部屋に描かれたままである。モテるために参考にしようと買ったラブコメの漫画がたくさん詰まった本棚もいつもと大差はない。

 今日帰宅したらかたずけようと思って着替えていると腰に何やら不思議な三本線の入れ墨があった。何だこれ……? もちろん、俺は入れ墨をいれたりなんかしない。不思議に思いながら再度ベットに腰をかけると毛布からかすかに香る甘い匂いがした……昨日の黒川の匂いだ。不思議な入れ墨に黒川の匂い、つまり彼女は……サキュバスである黒川は本当にここに召喚されたのだ。



「フハハハハハ、夢みたいだけど夢じゃなかったーー!! 不思議な能力を持つクラスメイトの女子と秘密の共有!! まさに王道展開だ。これで俺のラブコメが始まるぞ!!」

「翔ーー!! 早くごはん食べないと遅刻するわよ。ログインボーナスいらないの?」

「あー、ちょっとまって、今行くー」



 キッチンから母の呼ぶ声が聞こえる。やっべえ、お母さんに聞かれてないといいな。つい興奮して叫んでしまった。でも仕方ないだろう? ようやく俺の非日常がはじまったのだ。当初の想定とは違ったがまあ、許容範囲だろう。それに……疎遠になった黒川とまた繋がりが出来たのは素直に嬉しかった。ちなみにログインボーナスとは昼飯代のお小遣いである。母はソシャゲ脳なのだ。

 




 サキュバス召喚の事は置いて置いて、今朝の夢はなんだったのだろうか? 本当になんなんだよ、あれ。俺にとってのエッチな夢っておっさんとイチャイチャする事なの? 俺ってば潜在的ホモだったの? などと思っていながら学校へ向かっていると背後から声をかけられる。



「すいません、ハンカチを落としましたよ」

「え……ああ、ありがとうございます」



 考え事をしていたせいか落とし物をしたらしい。お礼を言うと微笑みながらハンカチを渡してくれるたの少女は近所の高校生なのだろう。サラサラの長い黒髪の美少女だ。お、これは青春の始まりではないだろうか? エロゲやラブコメでよく見たシーンである。



「おかげで助かりました。良かったらこの後お茶でもいかがでしょうか?」

「いやいや、私この後学校ですし、あなたもそうですよね!?」

「そんなもの君との出会いには無意味です!! ここで会ったのも運命ですよ。よければ俺のお勧めのカフェが……」

「朝っぱらからなにをやっているんですかぁぁ、翔先輩!!」

「うおおお!!」



 俺を呼ぶ声と同時に衝撃を受けて、俺はそのまま体制を崩しそうになるが、なんとか踏ん張る。いきなり頭をはたかれたけど!? ここは世紀末か?



「そこの人、この人は頭おかしいんで早く逃げた方がいいですよ」

「言い方ぁぁぁ!! マジでやべえやつみたいじゃねえかよ」

「安心してください。翔先輩はやべえやつですよ、私が保証します。大体、朝っぱらから、女の子をナンパするのが許されるのはよほどのイケメンか、相手が翔先輩に好意を抱いている場合のみですよ。そんなこともわからないから彼女ができないんです!!」

「その……なんか忙しそうなので失礼しますね……」

「ああ、俺のラブコメが……」



 俺は気まずそうに、去っていく謎の美少女を名残惜しく見つめた後に、乱入してきた少女に文句を言う。



「いきなりなにをするんだよ、五月雨。俺のラブコメ的な出会いがなくなっただろ!!」

「翔先輩が不審者として通報されるのを防いであげたんですよ。せめてメッセージアプリのIDを聞くとかだけにしてください! マジで通報されますよ!」



 そう言って俺の目の前で頭を抱えるのは俺の一つ下のゆるいパーマのかかった茶髪の少女だ。校則無視のミニスカートに制服を着崩している彼女の名前は中村五月雨なかむらさみだれ、だまっていれば可愛いのにすぐに俺を煽ってきやがる。ちなみにぱっと見ギャルっぽいが実は高校デビューである。なんでそんなに詳しいのかって? 彼女は俺の親友の妹であり、俺にとっても幼馴染でもあるのだ。モテないとかいっておいて女友達いるじゃねーかって感じかもしれないが、女友達は五月雨くらいしかいないし、付き合いが長すぎてもはや家族っていう感じである。向こうも多分そうなんだろうな…… 



「だいたいあそこから出会いに発展するわけないじゃないですか……」

「嘘だ!! 俺の知ってるラブコメやエロゲだとあの子が転校生だったり、なんかよくわからない異世界から来た少女だったりするんだよ。そして俺の新しいラブコメがはじまるんだ!!」

「寝言は寝てから言った方がいいですよ、水でもぶっかけたら正気になりますか? 今の人の制服は近所の進学校の制服ですし、同じ高校で、同じクラスにくる転校生として、美少女が来るってどれくらいの確率かわかってます? そんなんだから彼女いない歴=年齢何ですよ……」

「そういう五月雨だって、彼氏いたことないじじゃねーか、俺の仲間だろ」

「残念でしたー!! 私はこう見えても告白されたことあるんですよ、翔先輩とはちがって作れないんじゃなくて、作らないんです。もっと女心を勉強しないとだめですよーだ」



 そう言ってどや顔で胸を張る五月雨に俺はにやりと笑いながら言い返す。



「女心ねぇ……この前までぬいぐるみが無いと寝れなかったクソガキが何を言ってるんだか」

「なっ、いつの話をしているんですか!? 私だって大人のレディになったんですよ。ほら昔とは全然違うんですよ!!」



 そう言って五月雨は制服のシャツ越しに胸を寄せて得意げな顔をした。その豊かな胸元につい視線が集中してしまう。こいつの胸は中学ではそうでもなかったのだが高校から急成長を遂げたのだ。存在をアピールしている胸はなんとも魅力的である。俺はとっさに手を伸ばしそうになったが鋼の精神で耐える。長男だから我慢できた、次男だったら無理だったな。すると彼女は俺の目線と手の動きに気づいたのか、急に顔を真っ赤にして胸元を隠す。



「本当にじっくり見ないでください!! というか今触ろうとしませんでしたか、セクハラですよ、セクハラ!!」

「お前がみせてきたんだろうが!! クソガキが」

「誰がクソガキですか!! 私はもう素敵なレディですよ。ホラー映画を観た後だって一人で寝れるんですから」

「いや、高校生なんだから当たり前だろ……」



 まじかよ、こいつ。つい最近までダメだったのかよ。俺はそれを聞いてニヤリとする。



「そうだ、この前観た映画の続きあるけど今度うちで観るか?」

「お、いいですよ。あのアーサー王が活躍するやつですね。付き合ってあげましょう。可愛い女の子と観れて翔先輩も嬉しいでしょう? あ、いくら私が可愛いからって変な事をしちゃだめですからね。社会的に抹消しますからね」

「いや、俺のエロ本みただけで赤面してパニックになるガキに変な事はしないから安心しろって」

「あれは先輩が悪いんですよ!! なんで女の子が来るって言うのに当たり前のようにベットの上に放置してるんですか、この変態!!」

「だって……五月雨だし……まあ、それに関しては悪かったって」

「わかればいいんですよ、わかれば、私は器が大きいから許してあげましょう。それにまあ、私ももう高校生ですからね、エッチな本をみせられても何ともないですよ」

「はいはい、わかった。わかった」



 そう言って得意げに腕を組んでどや顔をしている五月雨をみて俺はほくそ笑む。そんな顔をしていられるのも今の内だぜ。俺は某アーサーの活躍する映画とは一言も言っていない。ビデオからお化けが出てくる映画の続編をみせるつもりである。これからが楽しみだ。などと思っていると見知った人を見かけたので声をかける。



「おはよう、黒川」

「妻田君、中村さん、おはよう。二人とも早く行かないと遅刻するわよ。」



 そういうと彼女はさっさと学校へと向かってしまった。いつも通りの目が合ったから挨拶をする程度のクラスメイト同士の会話だ。黒川は確かに男は嫌いだが、別に会話をしないわけではない。必要最低限は返事をしてくれるのだ。本当に必要最低限だけだが……それにしてもいつも通り過ぎて昨日の出来事が夢だと錯覚しそうだ。だけど彼女が追い抜いて行った瞬間にうずいた刺青が確かに昨日の出来事が夢ではなかった証明してくれる。



「おやおや、まさか翔兄さんは黒川先輩にお熱ですか? 挨拶返されたからって勘違いをしてはダメですよ。残念ながら黒川先輩は男嫌いで有名ですからね、あきらめた方がいいですよ。中学の頃同じ文芸部だったんですが、一番人気の先輩もあっさりフラれてましたからね」

「クラスメイトに挨拶しただけだろうが!! それだけで惚れるのはお前の兄貴だけだ、やっぱり中学の頃からそんな感じだったんだな、」

「うーん、一年の頃は男子とも普通に話してたらしいですけどね、でも、困った時はちゃんと助けてくれるいい先輩ですよ」



 そういうと五月雨は何かを思い出すかのように笑う。きっと黒川と何かあったのだろう。でも彼女の表情からしてそれはいい思い出のようだ。そして、彼女は最初っから男子を遠ざけていたわけではないようだ。中一から中二になってから何かがあっただろう……もしかしたら、それはサキュバスの件と関係があるかもしれない。黒川に聞きたいこともあるし、タイミングを見計って話かけてみようとおもうのであった。



本日二話目ですー!


面白いな、先がきになるなって思ったらブクマや、評価、感想いただけると嬉しいです。

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