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10.保健室にて

「大丈夫か、黒川?」

「ああ、妻田君……大丈夫よ。ちょっとふらっとしただけだから……それより授業にもどったほうがいいわ。あなたはあんまり成績がよくないんだから」



 俺が声をかけると彼女は相も変わらず無表情だ。今日見た夢の中の黒川とのギャップに俺は少し寂しさを感じる。まあ、夢は所詮俺の見た夢なんだけどさ。



「成績も頭も悪いかもしれないけどさ、困っている人を放っておけるほど、悪い人間じゃないんだよ。保健室まで肩を貸すぞ。俺なら耐性があるから黒川に軽く触れても大丈夫だろ?」

「ちょっと!! もう……でも、ありがとう」



俺が彼女を支えようと肩で支えると彼女は驚いたが諦めたように体重を乗せてくれた。少しは信頼してくれているのかもしれないし、予想以上に体調が悪いのかもしれない。俺は彼女が罪悪感を抱かないように軽口を叩く。



「気にするな、保健室での看病はラブコメで必須イベントだ」

「後学のためにおしえるけどそういう事は言わない方がいいわよ。実際の所あまり仲良くないクラスメイトが、付き添いにきても警戒してしまうもの」

「辛辣にもほどがある!! まあ、確かにこわいよな……わるかった。でもさ、本当に心配だったんだよ」

「わかってるわよ、あなたは下心もあるでしょうけど、優しい人だって言うのはね。まあ、その……あなたと私はそこそこ仲の良いクラスメイトだしね、それに秘密を知ってるあなたが来てくれて助かったと思ってるのよ。ありがとう」



 普段だったらここまで強引にはしなかっただろう。だけど、昨日短い間だがゲーセンで会話したりしてて、黒川の可愛いもの好きな一面とか知って、少しだけど仲良くなった気がしたし、そして、何よりも、弱っていた彼女を放っておけないという気持ちが強くなったのだ。

 一緒に歩いている俺達に会話はない。だけど不思議とイヤな沈黙ではなかった。それにしても耳元ではぁはぁと聞こえる吐息がなんか艶めかしいな。口に出したら殺されそうだから言わないけど。



「すいませーん、だれかいませんか?」

「留守みたいね……もう、大丈夫よ」



 保健室についた俺達は先生を探すが外出中の様だ。黒川が少し安堵したように表情を緩めて、ベットに横になった。誰か休んでいるのかベットが使用中と書いてあるのでその隣のベットに黒川を座らせる。



「体調はどうだ、熱はないか?」

「ちょっと……」



 俺が思わず彼女の額に手を置くと不思議なくらい彼女はなぜか俺に吸い寄せられるように倒れてくる。待って、だきつかれたみたいになっちゃったんだけど。これってセクハラで訴えられるのかな? てか、女の子の身体ってこんなに柔らかくて、甘い匂いがするのか……

 黒川は苦しいのかううっと呻いた。俺はすぐに体を離そうとするがなぜか彼女は俺に抱き着いたままだ。てか反応したらやばいよな。これは猿山先生の裸猿山先生の裸、だめだ。全然効果がない。「ううん」といううめき声と共に漏れた吐息が色っぽい。俺が一瞬脱力した瞬間だった。彼女が俺の耳元で囁く。



「ごめんなさい、もう我慢できないの」



 その一言共に俺は彼女に力強く抱きつかれるのであった。

 


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