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無銘の世界~personaluniverse~リメイク  作者: ネツアッハ=ソフ
3,王都編
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9,終幕

 しかし、僕が冷静(れいせい)でいられたのはそこまでだった。


「……………………」


 王都は既に()の海、何処を見渡しても炎の(あか)に包まれていた。逃げまどう人々、そしてそれを追い殺戮に興じる(ぞく)は皆歪んだ笑みを浮かべている。


 何だ、これは?一体何なんだ?いや、分かっている。分かっている筈だ。人の世の(みにく)さなんて僕は嫌になるほど見て来た筈だろう?それなのに………


 なのに、


「………………………………」


 何だ、これは?そう思わずにいられない。


 これが人間か?これが人間(ヒト)のやる事なのか?ああ、分かっている。分かっている筈だ。


 そうだ、これもまた、人間の醜さなんだと———僕は知っていた筈だ。


 これもまた、人間のもつ醜さの一部分(ひとかけら)なんだと。


「………っ」


 胸の奥が、(きし)みを上げた気がした。そうだ、僕は………


 瞬間、僕の中にあった何かがかちりと音を立てて(はず)れた。音を立てて、砕けた。


「おお、おおおああああああああああああ‼ああああああああああぁぁぁぁぁっ‼‼‼」


 ……


 ………


 …………


 ………気付けば、其処には血の海が広がっていた。賊は皆ただの肉塊(にくかい)になりはて、そして生き残りの人たちは一様に僕に(おび)えの表情を見せている。


 当然だ、僕が賊を皆殺(みなごろ)しにしたのだから。僕が全員殺した。そう、全員を。


「ああ、そうだ———此処は地獄(じごく)だ。僕は生き地獄に()るんだ」


 そう呟いた瞬間、僕の意識は(やみ)に呑まれていった。

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