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無銘の世界~personaluniverse~リメイク  作者: ネツアッハ=ソフ
3,王都編
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2,王都への支度

「……ムメイ、大丈夫(だいじょうぶ)?」


「うん?何が?」


 王都へ向かう支度(したく)の最中、リーナが聞いてきた。()り返ると、不安そうに僕を見ている。


 思わず首を傾げ、怪訝な表情をするとリーナが補足(ほそく)を入れてきた。


「いや、ほら………ムメイは確か一人になる為に家を出たんじゃ」


 ああ、うん。なるほど?


 納得して、思わず苦笑を()らす。どうやらリーナなりに僕の事を心配(しんぱい)しているらしい。まあでもそれは既に僕の中である程度覚悟(かくご)が出来ていた事だけれども。


 けど、それでも心配してくれるのは僕なりにこそばゆくはあった。だからだろうか、気付けば僕は自然と穏やかな笑みを浮かべていた。その事実に、自分自身が内心驚いた。


 ………僕ってこんな性格(せいかく)だっただろうか?


「大丈夫だよ、僕自身既に覚悟は決めていた事だから。それに、(ひと)りになりたくても独りにしてくれないお節介焼きも(そば)に居る事だしね?」


 その言葉に、あうっとリーナが(うつむ)いた。そして、不安そうに僕に問う。


「………やっぱり、ムメイにとって私は迷惑(めいわく)?」


「いや、そんな事はないさ。少しくすぐったくはあるけど、それでもリーナが傍に居てくれるのは僕からすれば嬉しくもあるから」


「……そう、なの?」


 上目遣いでやはり不安そうな視線を向けるリーナ。そんな彼女の頭をそっと()でる。


 やっぱり、僕はこれでも彼女には多少(たしょう)なりとも心を(ひら)いているんだろう。だからこそ、彼女を相手にこんなにも穏やかな気分になるんだろうし。穏やかになれるんだろうし。


 そう思った………


「それに、きっと何れ僕は自由が()かなくなるだろう事は予想出来ていたから」


「?」


 リーナが小首を(かし)げるのを、僕はやはり苦笑を浮かべながら支度を進めていた。


 そんな僕を、リーナはやはり不思議(ふしぎ)そうに見ていた。

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