番外、遺跡の奥に眠る2
そして、リーナとティータイムを楽しんでいたその時。唐突に店のドアが荒々しく開き、店内に一人の男が押し入ってきた。筋骨隆々のモヒカン頭。
その男を僕は知っている。というより、ガンクツだった。
ガンクツは僕の姿を確認すると、一目散に僕の許へと駆け寄ってくる。何だかリーナの機嫌が一気に氷点下にまで下落した気がする。うん、リーナの視線が冷たい。
いや、僕に向けられたものでないと分かってはいるんだが。流石に冷や汗が。
「兄貴!此処に居たんですかい?捜したんですよ!」
「取り合えず兄貴って言うな!で?一体何の用だ」
「へい、それなんですが………」
取り合えず、リーナの冷ややかな視線を無視してガンクツの話を聞く。一瞬リーナが悲しそうな視線で僕を見てきたがそれも無視だ。心が痛むが、それもやはり無視だ。
そうして、ガンクツの話を聞く。
…
……
………
「えーっと?つまり、僕とバフォメットの戦いの余波で遺跡の奥に隠し部屋を見付けたと?」
「はい、そうですが。………兄貴、何だか落ち着いてますね?」
「だから、その兄貴ってのをやめろ。別に落ち着いてるわけじゃないんだがな?」
「むぅ………」
「ああ、なるほど?リーナのお嬢さんですかい………」
ガンクツがリーナの方を見て納得する。まあ、つまりそういう事だ。つまり近くにあからさまに不機嫌な人間がいるから、逆に冷静になれているだけの話だ。
要はただそれだけの話である。
「………ああ、まあそれはともかくだ。ガンクツの用事は何だ?もしかして、遺跡の調査を手伝えとでもいうんじゃないだろうな?」
「話が早くて助かります!」
「………はぁっ。で?リーナは?」
「……………………」
黙って僕の衣服の裾を握ってくる。どうやらそういう事らしい。
「ああ、まあ付いてくるようだな」
そうして、僕達は遺跡に向かう事になった………




