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無銘の世界~personaluniverse~リメイク  作者: ネツアッハ=ソフ
2、エルピス領編
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10、バフォメットのアイン

「………兄貴、時間は(かせ)ぎますのでどうか()げてくだせえ」


「この阿呆(あほう)、逃げるのはお前の方だよ!リーナを連れてさっさと逃げろ!」


「イヤっ!もうムメイを()いて逃げるのは絶対に嫌っ!」


 場は混乱(こんらん)していた。しかし、そんな事言っている時間なんて全くない。故に、此処は少し手荒な真似をさせて貰う事にする。ぼそっと僕は術式(じゅつしき)を並行して唱える。


 唱える呪文は、催眠と転移の二種だ。術式を並列に(つな)げる。


「アクセス———スリーピングテレポート」


「っ、兄貴………」


「ム……メイ………………っ」


 強烈な眠気(ねむけ)の為、二人にはこれに抵抗(レジスト)するだけの余力が無い。故に、あっさり転移する。


 恐らく、今頃は街の入口にでも二人仲良く(ころ)がっているだろう。


 改めて、僕はバフォメットに向き合う。其処(そこ)には、さも愉快そうに笑うバフォメットが。


「少年、中々面白いものよの?随分と初手から上物(じょうもの)を見つけたものだ」


「上物だと?」


「うむ、先ずは名を名乗(なの)ろう。わしの名はアイン、バフォメットのアインだ」


「………シリウスだ」


 バフォメットのアイン。更に愉快そうに笑みを浮かべる。その笑みは、まるで()えた野獣がようやく見つけた獲物を見詰めるような。そんな獰猛(どうもう)な笑みだった。


 どうやら、加減(かげん)する余裕なんて一切無さそうだ。僕は、そっと魔力のリミッターを幾つか外し自身の力をかなり底上げしておく。周囲にかかる重圧が()した。


 俺の高濃度魔力によって、物理的な負荷(ふか)が周囲にかかったんだ。


 更に、アインの笑みが増す。


「愉快愉快、しかし………良いのか?わしに対して加減は(ゆる)さんぞ?」


「加減なんて、するつもりはない」


「ほう?なるほどなるほど………少年、さては自身では気付(きづ)いてないな?」


「………?」


 何だ?アインの奴、一体僕の何を()っている?


 周囲に黒い魔力の玉を複数浮かせる。バフォメットの操る魔弾(まだん)だ。


「ならば()し!わしが自ら少年に全力の出し方を(おし)えて進ぜよう‼」


「やれるならやってみろっ‼」


 言って、僕達の魔弾が衝突(しょうとつ)した。

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