プロローグ
これは、無銘の少年の所属する多元宇宙とはまた異なる別宇宙での物語。ある少年が神に成り上がるという異例のモノガタリ。全く新しい神話である。
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ひき逃げだった・・・。俺こと唯我ミコトの人生は、一台の暴走車により幕を閉じた。
痛い。そう思う間も無かった。視界が真っ赤に染まる、その瞬間俺の人生は唐突に終了。では、何故俺はこうして思考に耽るだけ余裕があるというのだろうか?
そもそも、自身の死を認識している俺がこうして存在し続けているというのが異常だろう。
それは簡単な話だ。こうして、俺自身が死んだ俺を俯瞰して眺めているから。うん、訳解らん。
だが、事実として俺はこうして死体となった俺を空中に浮かびながら眺めている。
死んだ俺を観測する俺が存在するというのも、何だかおかしい話ではあるのだが。まあ良い。
まあ、ともかく俺は死んだという事だろう。と、言う事は今こうして自分の死体を眺めている俺はつまる所幽霊という事になる、のか?まあ良い、要するに俺は死んだ。オーケイ、万事理解した。
なら、問題はこれからどうするか・・・だな。俺は死んだ。なら、生前に積み重ねてきた事は一切合切綺麗に丸ごとリセットされたと見て正しいだろう。なら、これからどうする?
俺はこれからどうすれば良いのか?そう考え、ふと思いついた。と、言うか思い出した。
・・・俺にとって、到底看過出来ない案件を。
「・・・そうだ、やっぱり俺の部屋に残したアレやコレを処分するのが先だよな?」
部屋に残したアレやコレ。即ち、ベッドの下に隠したアレや本棚の裏とかに隠したコレの事だ。
流石に、ソレを残したまま死ぬのは死んでも死にきれない。親に見つかろう物なら、何千回でも爆死出来るくらいに恥ずかしい。いや、恥ずかしいどころじゃないな。精神的に即死物だろう。
「と、言う事で・・・レッツラゴー!」
そうして、俺の人生は幕を閉じ。代わりに死後が幕を開けた。
ノリが軽い?気にするな、これが俺だ‼
これは、ミコトが神様へと成り上がる物語。一介の心霊から、神霊へと至る物語だ。




