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序章編ーストライプの回ー

 ボランティア部。源先生が設立したこの部活は、学校内外問わず奉仕活動をすることで人々の役に立つのが表上の役目だ。


──が、実際の所は源先生が異動を免れるためのポイント稼ぎのために作ったものである。


 町の役に立つ行いをすることで、学校への評価に繋がり、ポイントを貰う。さらには部員と言う名の人手を確保することで、作業効率を上げて、期限までに必要なポイントを確実に手に入れる。


 源先生の計画に抜かりはない。


 筈なのだが…………


源「……あの二人はどこ行ったのかしら?」

南「すみません……目を離した隙に……」


 町のゴミ拾い活動中、火鋏をカチカチと鳴らしながら源先生が苛立ちの声をあげる。南は深く頭を下げた。


 [30分前──]


空「助けてもらったのは良いけど、毎日ゴミ拾いゴミ拾い……やってらんねぇ!!」

真「あー、まじ【自主規制】……」

南「人が見てる場ですよ……」


 町の大きな公園にて4回目の清掃活動をしている最中、我慢が出来ずに火鋏を振り回しながら喚く空と、卑猥な用語で悪態を吐く真。


 制服を着ている以上、そんな行為はイメージダウンに繋がりかねない。


空「折角入った部活が、下働きみたいなやつばっかりだぞ?! 雑用のために青春を費やす事が幸せかよ!!」

真「それな! 俺達は女の子の尻神様と乳神様を拝みたいんだ!」

南「欲求にまみれてますね、二人共……」

真「俺らがゴミ拾いをしたところで、PVが増えるわけでもねぇのにな……」

空「お前今日PVいくつだった?」

真「0だわ。お前は?」

空「5PVあったわ。ブクマはひとつ減ってたけどな」

南「貴方達、メタ発言は控えなさい……」


 南は目を閉じ、苦々しげに語りだした。


南「こうした奉仕活動が出来る時点で、私達の評価にも繋がるんですよ? 嫌だといっても、元は私達が女子校に……」

源「お疲れ様~、ジュース買ってきたわよぉ……あら?」


 遠くから走ってきた源先生がジュースのペットボトルの入った袋を片手に、女走りでやって来る。南は先生と正面から向かい合って首をかしげた。


南「先生?」

源「二人は……?」

南「えっ?…………あっ」


 さっきまで近くにいた筈の二人がそこにはいなかった───


 *


南「すいません、目を離した隙に……」


 そして今に至る。


源「やっぱりあの二人は問題児みたいねぇ……この前も遊んでたじゃない」

南「悪い奴らじゃないんですよ……」


 ジュースを飲みながらベンチで休憩する。源先生は南を横目に尋ねた。


源「わからないわぁ。南ちゃんみたいな真面目な子が、どうしてあんな二人と仲良く出来てるのかしらぁ? 明らかに水と油な関係じゃない」


南はキョトンと話を聞いていたが、やがて小さく笑う。


南「やっぱりそう見えますか?」

源「見えない方がおかしいわぁ。南ちゃん、あの二人の尻拭いばっかりで可哀想だし……女子校だって、あなたは本来、反対していたんでしょぉ?」


 源先生は本気で南を心配しているらしい。一般的に見たら確かに南は二人の被害者にしか見えないのだろう。


 だが


南「確かに、普通なら私と彼等は相容れない性格ですが……」


 ジュースを飲み干し、穹を見上げる。


南「でも……あの二人は、いざという時……誰よりも信頼出来る。私はそれを知ってるんですよ」

源「…………?」


源は言葉の意味を理解しかねているのか、頭の上に「?」を浮かべている。しかし南は答えることなく、立ち上がるとゴミ拾いを再開しようと、ゴミ入れ用の袋を引っ張る。


 そんな南の前で、小さな足が止められた。


 南「おや?」


 南の腰くらいの背丈。黄色い帽子に黒いランドセルを背負った男の子が、こちらを見上げて目を潤ませていた。


 *


源「迷子なんて……」


 男の子から話を聞いた限りではこうだ。高校生の姉と共に帰っていたのだが、遊んでた途中はぐれてしまい、そこから姉と会えずにいるらしい。


源「参ったわねぇ……」

南「向こうもこの子を探しているはずです。広い公園とはいえ、すぐに見つかりそうですが……」


 男の子の頭を撫でながら周囲を見渡す南。

 すると


空「お姉さーん……どこ行っちゃったんですかぁ?……あ、南!」

源「空ちゃん!! 一体どこで何を……」

空「聞いてくれよ!!」


 源先生を当たり前のようにスルーして南に駆け寄る空。


空「聞いてくれよ!! さっき運命の出会いを果たした女性を見失ってしまったんだ!!」

南「またそうやってふざけ……」

空「本当だって!!」


 まくし立てる空。


空「さっき真と一緒に、綺麗なお姉さんを見つけたんだ! しかも困ってる様子だったから聞いたら、弟を探しているんだってよ!!」

南「またナンパ……ん? 今て?」


 空の言葉に耳を傾けると、事態が深刻であることに気づいた。そして空の横にいる少年の姿を見て、空の言葉に確信を持った。


弟「お姉ちゃん……ひぐっ……えぇーん!!」

空「いつの間に弟が……でもこれで分かっただろ?空、嘘つかないもん!」

南「わ、分かりましたよ。早いとこ見つけましょう。それよりこんな場所、女の子一人は危ない」


 星校はこの辺りでは有名な不良の掃き溜め校だ。そんな学校の奴らが彷徨く中に女子一人で歩かせては……


空「しっかし、この坊主がその弟ってか? なら後はお姉さんを見つけたらいいんだよな……真ォ!」

真『お前も働けよー』


 真はやる気のない返事をしつつ、電話を繋いだまま離れた場所を探している様子だ。

 いきなり慌ただしくなった空気に源先生は戸惑う。


源「ま、まだお姉さんが大変と決まった訳じゃ……」

空「だから? 折角の尻神様しりがみさま乳神様ちちがみさまの恩恵を他の野郎に奪われて良いってのか?」

南「最早、清々しい下衆っぷりですね……」

源「いや、でも……」


 源先生はまだ納得がいかない様子だ。

 まだお姉さんが不良達に捕まったと決まったわけでない今、下手をすれば生徒達が他校の生徒に迷惑をかけてしまうかもしれないのだ。


 それは自分達四人の首を絞めるようなもの。


 誰だって、自分の肩書きを自ら捨てるような真似は好まない。


 しかし、南と空(と、電話越しの真)の決意は揺るがない。


真『先生。15分経っても見つからなかったら、弟さん連れてどっかに隠れてろよ』

源「何を言うのよ、あなた達は……」

空「俺達の足で15分かけても見つからなかったら流石に、何かあったと見るのが普通だろ」

源「でも! 他校の生徒に手を出すなんて……」

南「先生……」


 源先生を残して颯爽と走って行く空。それを追いかけようとする源先生の肩に手を置いて制したのは、南だった。


南「もう止められませんよ。それに……」


 小さく微笑み、源先生を押し退けるようにして走り出す。別れ際、南の声だけが残された。


南「こういう時ばかりは私もあの二人同様、女の子を第一優先にしたいんです」



 To be continue




さぁて、次回のマコトさんはー!?


南「え?何このコーナー」


空です。みんなおっぱいプリンを作りました。南がココアパウダーを入れて黒ギャル風プリンになってしまいました。


南「なんか私が好きみたいでしょうが!」


さて次回はーー

真、それでも僕はやっている

空、もうゴールしてもいいよね?

南、島流しに遭う


の3本です!


南「次回もまた見て下さいねぇ」

空「やだ!」

真「貴様に未来などない!」

南「読者に謝れ!」

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